頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

「止まれ!」
‘ギィンッ!’
「やらせるか!」
海兵のルフィを狙ったこん棒の振り下ろしを受け止め、ルークはこん棒を押し返す。
「この!!」
‘ドカン!’
それを見たルフィは腕を伸ばし、その海兵の隙を突いて殴り飛ばす。
「すまねぇ!!」
「気にすんな!早く先に行くぞ!」
「あぁ!」
そしてルークを確認したルフィは横を向き礼を言うが、ルークの礼を言うより先に進む方が先だと言う声にルフィも勢いよく返す。
「どけぇぇぇ!!!」
「うぐっ!」
先を見て、前に進めば敵兵ばかり。それらの敵兵を前に進み、ルークはローレライの鍵を横に振り払いルフィの進路を確保する。
「モリア!!・・・厄介なのがいるな・・・!!」
「モリア?・・・あれか!」
そこでルフィは息を乱しつつ先を見て、モリアを確認して声を出す。その声につられてルークが先を見れば、そこにはゾンビ兵を繰り出して来るモリアが高笑う姿。
「来るな!!ルフィ~~~!!!」
「え・・・!!!」
「・・・くそっ!」
だがモリアを見ていたルフィはエースの必死な叫びに気を取られ、エースの方を見る。それを見てルークはルフィの前に立ち、海兵達を食い止めながら戦う。



・・・ほんの数秒、それだけであるのにルフィの声にエースの声。二つが交錯するだけの時間でどちらも互いの身を案じている事をルークは理解した。エースを助けたいルフィに、ルフィをこの場から離れさせたいエース。二人の想いはどちらもなんら遜色のない行動だ。
だが今の囚われているエースにはルフィを止められる力もないし、止まるはずがない。兄を救いたいという雑念のない想いを見て、ルークは目の前に立ち塞がる巨人のこん棒をかわすとすかさず懐に飛び込む。
「烈破掌!!」
‘ドゴン!’
赤く光る左手で巨人の腹を勢いよく殴り飛ばし、後ろの壁にめり込む程ぶっ飛ばす。巨人は目を回し起き上がらない様子から見て、気絶しているようだ。
「エ~~~ス~~~!!!好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォオ!!!」
そして改まったエースの救出に対しての想いがこもったルフィの叫びが辺り一面に響き渡った。
(死なせない、絶対・・・!)
対してルークはその意志に水を差さないようにしつつ、内心でルフィにも劣らない程の決意を秘める。
死んでもと言うルフィだがここで本当に死んでしまえば、エースが悲しむ姿は容易にルークの目に浮かんできた。ルフィの言葉は比喩にしてもそれを真実にしてはいけない、そう思っているからこそルークはルフィの進路を手助けせんと更に前に進む・・・



「なんかあっという間に目立っちまいやがったぜ!この戦争で‘麦わら’の奴・・・!」
「けど‘麦わら’の隣にいるあの朱色の髪の奴は何者だ?俺ぁあんな奴知らねーぞ・・・」
そんな様子を見て囚人服姿の海賊達はルフィの活躍に目を奪われつつも、ルークの姿に疑問を持つ。
「んなこたぁどうでもいい!・・・キャプテンバギー!おれ達だって負けてらんねぇぜ!!」
だが細かい事を考えられない海賊達はすぐさまルークから思考を逸らし、バギーの方へおめでたい持ち上げを開始する。









「だーくそっ、きりがない!!」
・・・戦いはじめて少し時間が経つが、一向に海軍の攻撃の手が緩む様子がない。そのことにルフィへの攻撃を受け止めながら、ルークは苛立ちを見せる。
「ブヘ!!!」
「・・・何!?」
すると唐突に後ろにいたルフィの攻撃を受けた声がルークの耳に届いてきた。驚きながらサッと後ろをルークが振り向くと、そこには体の一部を煙と化したスモーカーの姿があった。










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