崩壊の後の再生して混同した世界

デュオ「・・・まぁここらで話は変えるけどよ、オールドラント領の情報が入ったけど聞くか?」

シンク「・・・聞きたくないけど聞くよ。何となくあの世界もまた移住者が増えてきそうな雰囲気をあんたから感じたし」

ヒイロ「いや、現在はそこまで深刻と呼べるような物ではない。今回デュオが言おうとしているのは、ファブレから出てきた『ルーク』という人物についての総評だ」

ルーク「『ルーク』・・・ってことはアッシュじゃなくて、『ルーク』に戻ったってのか・・・被験者って奴は」

シンク「あいつの性格からして自分から戻るとは思えないけど・・・大方ヴァンに戻ってくれとでも言われたか、ルークに僕が爆弾落として消えた後の事態の沈静化の為に担ぎ出された辺りかな?」

デュオ「シンクの予想はどっちも正解だ。調査の結果としちゃな」

だが和やかな空気はデュオから切り出された話題により打ち消される。オールドラント領、それも二人にとって関係浅からぬアッシュという人物の事だった為に。






・・・アッシュ、正確には被験者ルーク。ルークは被験者を元にして生まれた存在であり、シンクからしてみれば反りが合わなかった同僚という存在である。

ルークは実際に会う事なくシンクに手を引かれる形でオールドラント領を出たが、会ったことがないのを差し引いてもアッシュに対していい感情など持てなかった。アッシュについての話を聞いていった上で他人から見ればどういった風に映るのかと、客観的に学んでいった為に。






デュオ「端から見りゃ本当に分かりやすい誤魔化しだぜ。お前らから聞いた事実も併せて考えると、キムラスカ王家を騙し今の混乱を産み出した偽者は去って本物が帰ってきたから大丈夫だ・・・なんて筋書きにしたいのが見え見えなんだからな。けど二人が起こしてきた事があるからそれは嘘だっていう噂は流れてる上に、キムラスカはまだしもマルクトからすりゃ自分達だけ除け者にして進められてきた事への同調を半ば強制に近い形で行う事が求められ、更にはアッシュ当人がその応急措置って言えるような事を強引に進められて相当機嫌を損ねてるらしい」

シンク「あいつらしいと言えばあいつらしいね」

ヒイロ「そしてそのような状況で『ルーク』として振る舞うように言われて動いてこそいるが、出てくる評判は揃って貴族らしくないだとか敵意を感じるといった到底評価されていない物ばかりだ。だがアッシュは公爵達を始めとした面々にたしなめられてもそれを改めるなどその時言葉だけで頷くばかりで、怒りを覚えた瞬間にそんなことなど知らないとばかりに怒り狂う・・・これの繰り返しで最早公然の秘密レベル以下にアッシュの評判は悪く、ファブレの屋敷に仕える人間達に話を聞いた時には公にしなければそれでいいと口を閉ざすようなことなど誰一人いない有り様だったとの事だ」

ルーク「・・・歳の事を差っ引いても散々わがまま言ってきた俺が言うのもなんだけど、それ俺よっか酷くねぇか?流石に面と向かって言われたことはねぇけど、俺もそこまで言われる程の事はしてねぇと思うんだが・・・」

デュオ「ま、そこは気にすんなよ・・・それはとにかくオールドラント領のこれからを考えると、時間が経てば経つほど移住者が増えてくる可能性は高くなってくると思うぜ。俺達の予感じゃ」

シンク「・・・十分に有り得るね。キムラスカの次の王位につくのは余程じゃないとアッシュになるのは確定だろうから、今のままじゃまずそうなるのは避けられないだろうしね」

ルーク「・・・何だかんだ言っても、元いた世界なんだしそんな理由で移住者とか増えてほしくはないな」

・・・アッシュの事で話を進めていたのだが、やはり二人にとってこの話題は嫌な物でしかなかったようだ。













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