頂上同士の騒乱に図らず乱入せし焔

(なんだろう、コイツ・・・見たとこ悪い奴には見えないけど、周りは・・・うわっ、色々いすぎてわかんねぇよどう言えばいいのか・・・)
その顔を見てよこしまな物を一切感じなかったルークはどうしようかと周りを見るが、クロコダイルにイワンコフにジンベエにバギーにMr.3に囚人服を着た団体に明らかに変態以外の言葉で表現出来ない集団がごっちゃになった物を見て、思わず目を逸らしたくなった。あまりのカオスさに。
(どんな世界に飛んだんだよ、俺・・・とりあえず見たとこコイツらどんなふうに動くのかわかんないし、少し様子見よう・・・)
しかしそうしても意味はないとルークはこの世界の不思議さはこの世界特有の物なんだと世界を飛び回って得た順応性で思いつつ、ジンベエの横で様子を見ることにした・・・












・・・そして数分後、白ひげと呼ばれる男とルフィの会話を聞いて、ルークはどうするべきかの結論を出した。
(ルフィって奴を、俺は助ける・・・!)
ルークが聞けばエースという兄を助ける為にルフィはこの戦場に現れたという。そして海賊王になるのは俺だ、という高々とした宣言も聞いた。
・・・ただ、それだけだったらルークはルフィを助けようとは思わなかっただろう。海賊王という言葉の響きだけ聞いたら明らかに物騒そのもので、ルークも危険人物だと思ってまだどうするかを悩んでいただろう。だがそれでもルークがルフィを助けようと思ったのは、クロコダイルから白ひげを守ったその献身さにあった。
(ルフィはエースって人を助けたいだけだ。だからあぁやってエースって人が気に入っているっていう白ひげって人を助けた・・・けど多分エースって人も海賊だと思うし、相手はMARINEって名前の服から見て海軍だと思う・・・正直、俺にはどっちが正しいのかこの世界に来たばっかりだからわからない。海軍と海賊、どっちが正しいのか・・・だから俺はせめて、戦いたいと思う方で戦う!あのルフィって奴を助けたいから!)
・・・今までの流れを全て総集した上で、ルークはルフィという人物がどうしても悪人だとは思えなかった。ただひたむきに、純粋な想いでルフィは真っすぐ行動している。



・・・この場でどちらが正しいのか、それがわからないからとグダグダするくらいならいっそ自分のやりたいことをやってやる・・・いっそ開き直りと言える清々しい結論をルークは導き出し、ローレライの鍵を抜いてルフィの方へと向かっていった。一緒にエースを助け出す為に・・・



「・・・あの朱色の髪の男は誰だ?私の記憶にはあのような海賊はいなかったはずだが・・・」
一方ルフィの後を急いで追い掛けるルークを見て、センゴクは心当たりがないと緊迫した面持ちで一人呟く。
「・・・まぁいい。麦わらに味方するなら敵には変わりない」
だがルークのことは小さい事だとセンゴクは思い直し、ルークから目を離し戦場全体を注視していく。









「くっそ、なんて世界だよここは・・・!」
そしてルフィを追い掛けつつ戦場の様子を見ていたルークは、この世界が改めて異様で相当凄い世界だと感じて顔を苦くしていた。
・・・白ひげをクロコダイルが砂状に変化して襲っていたのを見た時も驚きはしたが、黄猿の光速蹴りにイワンコフのまばたきにくまの口からのレーザーにヒナの袷羽檻・・・珍しいにも程がある能力の持ち主がゴロゴロといる上、そのどれもが下手を打てば自身を殺しかねない程の実力者達ばかり。それらを見て気を抜けないどころの話ではないと、ルークは感じていた・・・が、
‘ザンッ!’
「ぐあっ!」
「けど、今更知らないふりなんて!許してくれそうにもないよな、海軍が!」
襲い掛かって来る海兵を切り払いながら、ルークはもう戻れない位置にいるのだと自覚して更に走り続ける。表情を改めたその顔には実力者がたくさんいるからと言って、逃げを打つような及び腰の怯えは一切なかった。
「・・・よし、追い付いた!」
そしてルフィを追い掛けていたルークは、ようやくその隣に行き海軍達の前に立つ。






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