ワールドトラベラールーク君シリーズ TOW編

リタ「だってそうでしょ。あんたルークが嫌いだって態度を隠そうとも取り繕おうともしないじゃない。そんな姿を堂々と見せて人々の模範になると思うの、あんたは?どんな相手でも気に入らなければ人を罵るのが王族として当然の責務なんて言うようなら、誰が王族なんか敬うのかって以前に人としての常識を疑うわ。いくらギルドって身分を気にしなくてもいいところでも、場の空気や雰囲気を弁えて我慢も出来ないのかってね」

アッシュ「っ・・・!」

リタの口撃にアッシュは反論出来ず歯噛みする。まぁ確かにアッシュの遠慮のない言葉って場がどうあれって感じが多かったし、リタの言い方が変に反論すればドツボにはまりかねないような言い方ってのもあったからな。何をどうアッシュの語録で言っても論破されるような未来が見える形で・・・この辺りはリタの作戦勝ちってとこだろう。

リタ「つまりそういうこと。責務に関して言えばあんたも偉そうに人の事を言えるほどのもんじゃないのよ。そしてピオニー陛下から判断を委ねられたルークにアドリビトムの皆からの決定を受けたあんたには尚更文句を言える資格なんてないわ。それもこれもあんたも含めてナタリア達は自業自得・・・って事よ」

ルーク「ま、前は俺も確かに王族としての責務をお前に押し付けようとしてたんだけど・・・俺にもこうやって守るべきものが出来たんでな。逃げるつもりはもうねぇよ」

ライマ陣「っ!?」

リタ「ちょっ、ルーク・・・!?」

更にリタが話を続けルークがその話を受け継いだんだけど・・・唐突に肩を抱き寄せたルークにリタの頬が真っ赤になり、アッシュ達の顔が信じられない物を見る物に変わっていた。

ルーク「どうせいずれこいつらも帰ったら知らされる事だし、アドリビトム内にも知らされるだろう事だからな。それで今言っといた方がいいと思ったんだよ・・・リタが俺と婚約を結んだことはな」

アッシュ「なんだと・・・っ!?」

ガイ「どうしてだルーク!?なんでリタとお前が!?」

ルーク「なんでって好きあったから自然とそうなっただけだよ。それとちなみに言っとくけどピオニー陛下の許可も下りた正真正銘の婚約だ。嘘なんかじゃないぞ」

リタ「・・・何恥ずかしいこと言ってんのよ・・・!」

そんな空気にたまらずガイが声を大きくするけど冷静な言葉を返すルーク。しかしその言葉にリタは恥ずかしそうにうつむいていた・・・まぁいつものリタだったら嫌なことは嫌とはねのけるだろうから、リタは内心別に今のままでいいんだろう。

ティア「っ・・・」

アニス「ちょっ、ちょっとティア大丈夫!?」

それで女子三人共に愕然としてたんだけど、唐突に頭を押さえてフラッとしたティアをアニスがなんとか体を支える。

ルーク「・・・ま、色々言いたいことはあるだろうけどあんま時間をかけるのもどうかと思うからこれは言っておく・・・アッシュが俺の事を嫌いなら嫌いでもう構わない。けど俺はもうお前に遠慮なんてしないし、正当王位継承権を譲る気もない。俺は俺として責務を果たすだけだ。国に対しても民に対しても、そしてリタに対してもな。それで俺に敵対したいなら勝手にしろ・・・俺は負けるつもりは一切ない」

ライマ陣「っ・・・!」

けどそのティアを気遣うでもなくルークは話を続け、最後に気迫を全面に押し出した宣言を向けると一斉に息を呑んで何も言えなくなっていた・・・そう聞いたなら普通は食って掛かりそうなアッシュまでもだ。












・・・そしてその後、何も言わなくなったアッシュ達をジェイド達が引き連れその場を退散していった。おそらく少ししたらアッシュ達はバンエルティア号を降りる事になるだろう。その事をその場にいた皆がそう感じながら・・・



ルーク「・・・これから苦労をかけるぞ、リタ。辛くなったら言えよ」

リタ「そうなったらちゃんと言うわよ。そういうあんたもちゃんとしなさいよ」

・・・それでその場に残った俺達は様々な流れがある中に確かに見ていた。ルークとリタの二人が確かな約束を交わす場面を・・・








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