ワールドトラベラールーク君シリーズ TOW編

・・・アッシュ達はもう余程じゃなければ戻ることはない。そうアドリビトムの皆に言うと決めたルークと俺は、そのままアンジュの元に行きそれを発表する旨を告げた。それで何故そうするのかと理由を問われてユーリからの言葉もあってと詳しく説明し、アンジュは結果的に納得はしてくれた。



ただその事を発表するために全員を一ヶ所に集めるのは無理があるってことで、ロックスに各自の部屋を回ってもらって説明をしてもらった上で、ルーク本人に詳しく話をしてほしいなら明日の朝食が終わった後に三階の展望室に来るようにするって事になった・・・まぁこの辺りは変な混雑を避けるって意味じゃ当然かなって、アンジュの発案に俺は納得していた。















・・・そして翌日、朝早々に起きた俺とルークはロックスから簡単な朝食をもらった上で展望室の方へと向かった。



ルーク「・・・お、来たか・・・ってあれ?」

ベル「なんか・・・予想よっか少ないな」

・・・それで二人で待ってた俺達なんだけど、数人程度しか来てない事に俺達はどこか肩透かしを食らったような気になった。それに何か意気込んで来てるのも先頭のエステルくらいで、ユーリにウッドロウっていう理解してるんじゃないかって思えるようなメンバーばっかなんだけど・・・

エステル「・・・ルーク・・・ロックスが言ってたこと、本当なんですか?」

ルーク「・・・あぁ、本当だよ」

・・・けどエステルが話を求めてきてる以上、話をしない訳にはいかない。そうなるからこそ、ルークはエステルと真剣な面持ちで相対する。

エステル「・・・それをどうにかすることは出来ないんですか?」

ルーク「・・・無理だな。どうしてもあいつらをこっちに戻したいって言うなら、俺が入れ替わりでライマに戻るしかない。ただもしもエステルが俺よりあいつらがここにいる方がいいって言うなら俺は手紙を出してここを出るぞ」

エステル「そんな・・・私はそんなこと望んでません!私は皆に仲良くしてほしいんです!ルークにも、アッシュにも!」

ウッドロウ「・・・エステル君、落ち着きなさい」

エステル「なんで止めるんですか、ウッドロウ!」

ウッドロウ「ルーク君を真に理解する仲になるのはもう無理と、そうピオニー陛下にルーク君自身が判断したからこそ彼らはそう簡単に戻れなくなったのだ。それに想像してみたまえ・・・君はルーク君に負けたアッシュ君が素直にルーク君の事を対等な関係として見ると思うかい?いつもルーク君と衝突しては引く事はしなかったというのに、そんな彼が?」

エステル「・・・それは・・・でも、仲良くするように言えば・・・」

ウッドロウ「・・・君に酷なことを言うようだが、彼にそう言っても無理だろう。彼はルーク君に対してだけは絶対に対等と言うものを求めてはいない」

エステル「・・・そんな・・・」

ユーリ「ウッドロウの言う通りだと俺も思うぞ、エステル」

エステル「ユーリまで・・・!」

・・・なんか俺達が意気込んで話そうとしてたのが嘘みたいだ・・・俺達が話してる途中からなんか周りの皆がエステルを説得してるし・・・

ユーリ「勝ち負けにこだわる奴ってのは同時に相手と上か下かってのを決めようとするもんだ。大抵な。そういった領域を越えりゃ上か下かなんて関係無くなるもんだが、あいつは自分がルークより上だってしか思ってない。そんな奴が仲良くなんざどうやったって無理だ」

ウッドロウ「それに正当王位継承権をルーク君が得た今、そうなる前だったらアドリビトム内にいた時でも些細な喧嘩くらいは大目に見られただろうがこれからはそうもいかない。いかに兄弟で見知った仲とは言え余程の事がなければアッシュ君はルーク君の下と言う立場を覆す事も、反論することも許されない・・・だがアッシュ君はそんなこと関係なくルーク君に挑み続けるだろう。その自身の未来を潰してまでナタリア君と彼を結ばせようとしたルーク君の事を気にかけない形でね」

エステル「!!」

ウッドロウ「・・・そんな彼らをこのままアドリビトムに帰すわけにはいかない。そう思ったからこそピオニー陛下は彼らを試すことにしたんだ。本当に彼ら、そしてルーク君の事を思うなら彼らの心変わりを待つしかないんだ。分かるかい、エステル君?」

エステル「・・・はい。少し辛いですが、アッシュ達がルークの事を思い直してくれることを願って待ちます・・・」

・・・なんか結果、ウッドロウとユーリのおかげで説得をほとんどすることなく終わったんだけど・・・いいのかな・・・?









43/72ページ
スキ