ユーリ「・・・その様子じゃ黙っててもらうようにって言われてたみたいだな。まぁ気にすんな。俺は何も言わないからな。それにここに確認をしに来たのも今言ったエステルにどう説明をするかってのを決めるためだし」

ベル「・・・どうやって説明するんだ？」

ユーリ「・・・ま、しばらく待てと言うしかないな。今言った訳じゃないならそれで言おうと思ったが、そんな事正直に言っちまったら確実に騒ぎになっちまう。そんなの酷いです！ってな」

ベル「あぁ、言いそう・・・」

ユーリ「俺はそんな面倒な事は御免なんでな。出来るならそっちからいずれ問題ないように発表するようにあのお坊っちゃんに言ってくれないか？」

ベル「・・・わかった、言っておくよ」

確かにユーリの言うことは分かる。このままいったらエステルじゃなくても誰かが色々言い出すことは確実だろうし・・・だからこそ俺は頷いた。ユーリの願いに。















・・・その後ユーリは部屋から出ていき、俺が手紙を書き終わった頃にルークが部屋に戻ってきたのでさっきの事を俺は話した。



ルーク「・・・あいつらの事を発表、ね。それにそうしなければいずれギルドで騒ぎが、か・・・確かにそうなるだろうな・・・」

ベル「・・・どうする、ルーク？」

ルーク「・・・やるしかないだろ。そうでもしないとアドリビトムの中で変な騒ぎが起こるのはまず間違いないからな・・・それにあいつらの事をどうするのかってのは、俺の裁量に任せるって手紙に書いてあったからな・・・多分ピオニー陛下はそれも見越して、俺にそう言ったんだろ」

ベル「・・・そう、だろうな・・・」

・・・間違いなくピオニー陛下はそれを確信してルークに権利を渡したんだと、俺もルークもそうだろうと思った。

ルーク「・・・ケジメ、つけないとな。もう俺はあいつらの思う俺を演じられない、だから俺はあいつらを突き放す。他ならない俺の手で・・・そうすることが俺のあいつらへの最後の、情けだ・・・昔の俺を忘れてもらうために・・・今の俺を嫌う形になっても、あいつらがそれを受け入れてもらうために・・・」

ベル「っ・・・ルーク・・・！」

ベル「っ、ベル・・・」

アッシュ達を自分の手で突き放さなければならない、そう言うルークの顔はあまりにも悲しく歪んでいた・・・それを見て俺はたまらず、ルークの頭を抱いて引き寄せてしまっていた。

ベル「辛いんだろ・・・だったら泣けよ・・・いいんだ、お前は泣いたって・・・大丈夫だ、俺はお前が泣くのを許すから・・・だから、いいんだ・・・！」

ルーク「！・・・うっ・・・うっ、くっ・・・うわあぁぁぁっ・・・！」

・・・俺だからルークの苦しみがわかった。現実逃避に泣くことを許されないのに、でも泣くしか出来なかったから俺はアクゼリュスの時に泣いた・・・泣くのは現実逃避に思えるかもしれない、でも泣くしか想いを解放する事が出来ない時はある・・・だから俺はあの時の俺のようにならないよう、ルークを許した。誰もいないまま孤独に苦しみながら泣くのより、誰か共にいて支えになってやれる人がいるかどうかは雲泥の差なんだから・・・

ルークは俺の言葉に堰をきったよう俺の胸の中で慟哭をあげ始めた・・・辛いという想いを体ごと俺に預ける形で・・・















ベル「・・・落ち着いたか？」

ルーク「・・・あぁ」

・・・そして数分後、泣き止んだルークと距離を取り再び話を始める。

ルーク「・・・ありがとう、お前のおかげだ。これで・・・俺も覚悟が出来た、俺はやるよ」

ベル「うん」

迷いのない真っ直ぐな瞳を受けながら俺はその意志を受け取り頷く、ルークの覚悟を・・・








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