ワールドトラベラールーク君シリーズ TOW編

ピオニー「ルールに関しちゃそのくらいだ・・・後は今から決闘を始めればそれで済むんだが、一つ俺から追加のルールというよりある権利を与えることにした」

ベル「・・・権利?」

ピオニー「そうだ。本来なら二人の王位継承権を正式に決める時はもう少し先でライマに帰ってからということになっていたんだが、ここで決めるということになったからにはまだライマに二人を帰せない分、どちらが勝つにせよ気まずくなることには変わりない。だから気まずさを我慢する代わりという意味で、勝っても負けても俺の叶える事の出来る範囲で望みを一つ叶えよう。ただ負けた方が正当王位継承権をもらいたいだとか、決闘の意味を失わせるような願いは無しだとも言っておく・・・分かったか、二人とも?」

アッシュ「・・・承知しました・・・!」

ルーク「・・・はい」

・・・ピオニー陛下からの発案に二人ともに頷くが、明らかにアッシュの目にやる気がこもる・・・多分アッシュはナタリアをもらいたい、と言うつもり。俺はそう感じていた、その様子から。

ピオニー「わかったならいい・・・さぁ、言うべきことは全て言った。後はアスランから刃を潰した剣を二人とも受け取れ。それから俺が合図を出す・・・その時が決闘の始まりだ」

ルーク、アッシュ「「はい・・・っ!」」

それでピオニー陛下の言ったことに頷き、二人は陛下の横で両手に一本づつ持ったフリングス少将の元へと近付き剣を取る。そして決闘の為に空けられたスペースに戻り、二人は対峙する。開始の合図を待ち・・・

ピオニー「・・・始めっ!」

ルーク、アッシュ「「おぉぉぉぉぉぉっ!」」

・・・そしてピオニー陛下により火蓋は落とされ、二人は叫び声と共に駆け出した。目の前の相手と戦う為に・・・















‘キィン、キィンッ!’

一同「「「「・・・」」」」

・・・それで戦いが始まって数分が経った。未だに二人は戦いを続けていて、周りの皆はその戦いを固唾を飲んで見守っている・・・けど俺は一人、おそらく来るだろう結果がなんとなく分かっている気がした・・・それはルークは負ける、という事。

ルークは昔からアッシュに負けるように力の調整をしていて全然バレなかったと言っていたし、世辞を抜きで言っても今戦ってるアッシュの剣筋と俺が知る本当のルークの剣筋とではルークの剣の方が数段鋭い。なのに徐々に押され始めた劣勢と言うことは、ルークは手を抜いていると言うこと・・・つまり勝つ気がないと言うこと。

このまま行くならルークはわざと負けてアッシュに王位継承権を譲ると言った流れが出来る・・・そうなると思う。けど多分俺だけじゃなくルークも何か嫌な予感を感じてるはずだ。今のこの状況がどこか不気味だってことは・・・









‘ズザッ’

ルーク「・・・くっ・・・!」

アッシュ「・・・ふん、どうやらここまでのようだな」

・・・そんな風に思いながら見てると、とうとうやられたって形でルークは倒れこみアッシュは喉元に剣を突き付ける。

ピオニー「・・・やめ!決闘はそこまでだ」

アッシュ「・・・はっ、その程度か!所詮テメェは王になる器じゃねぇってことだ!」

ルーク「・・・くそっ・・・」

ピオニー陛下の制止の声にアッシュはルークを罵り、ルークは悔しそうに視線を背ける・・・これでいい、のか・・・?

ピオニー「・・・アッシュ、気分はどうだ?」

アッシュ「・・・悪くは、ありません・・・!」

ピオニー「そうか・・・ルーク、お前は?」

ルーク「・・・気分がいいはず、ありません・・・!」

‘フッ’

ルーク「・・・えっ?」

ピオニー「・・・成程、そっちがお前の本音か」

それで終わった後の気分を尋ねるピオニー陛下にアッシュは満更でもないと溢れ出る感情を滲ませ返し、続いてルークにも聞くとルークは悔しそうに答える・・・だがその瞬間ルークの持っていた剣が青く淡く光った事で、ルークは呆気に取られポカンとして対照的にピオニー陛下の顔に笑顔が浮かんだ。

ピオニー「流石にお前でも見抜けなかったようだな。その剣が特製の嘘発見器になっていることはな」

ベル「!?」

ルーク「っ!?・・・嘘発見器って、そんなものあるわけが・・・」

ハロルド「それに関しちゃあたしが説明するわ」

ルーク「ハロルド・・・!?」

嘘発見器・・・そう言われて驚く俺を尻目にそんなものあるわけないと言おうとしたルークに、ハロルドが出てきた事で嫌な予感が増大した・・・コイツなら本当に作れると、そう思った為に。









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