ワールドトラベラールーク君シリーズ TOW編

ウッドロウ「・・・私は王族らしい王族という意味ではアッシュ君の方だと思っている。それは今でもそうだと思っている・・・だがどちらが王に相応しいかと言うなら、私はルーク君の方だと思っている。いや正確には、相応しいと知らされた・・・彼がその顔の裏に何を隠していたのか、そう聞かされた為に」

ベル「っ!?」

嘘だろ、つーかウッドロウまで知ってたっつーのか・・・レイヴンの依頼人から、ルークの事を・・・!?

クレス「えっ・・・それってどういうことなんですか、ウッドロウさん・・・?」

ウッドロウ「・・・私はアドリビトム内に流れる噂が誰が流したものか、それが気になり探していた・・・彼ら二人がどのような人物か、少なからず知っていた身だからこそ二人の仲の為にも流れる噂を止める為に。そして私は突き止めた・・・誰が噂を流したのかを・・・」

クレス「・・・それで、誰が?」

ウッドロウ「・・・そこで私はその者に聞いた。何故噂を流したのかと。そうしたら言ったんだ。『自分を偽ってるあの馬鹿の本当の顔を引き出したい』と・・・私は正直、信じられなかった。今までルーク君が見せていた顔があえてそうしているものなどと」

ベル「っ!嘘だ、そんな話は作り話だ!あいつはあいつだ!あえてなんてそんなことしてない!」

ウッドロウ「・・・だが私はその話をあながち否定も出来なかった。思い返せばそう言った面を隠していたと感じた為に。だからこそ私はその隠してる面さえ公に出せばルーク君の方が王に相応しい、と思っている・・・だからこそ私は望んでいる。ルーク君がその王位継承者を決める場で本当の顔を出すことを」

ベル「っ!」

・・・ウッドロウまで、そんなことを・・・!

ウッドロウ「・・・ううんっ!・・・いや、済まないね。独り言に大分時間をかけてしまった、バンエルティア号に戻ろうか」

クレス「ウッドロウさん、僕はまだ聞いてません・・・噂を誰が流したのかということを・・・」

ウッドロウ「・・・すまない。独り言で何を言っていたのか思い出せないな」

クレス「ウッドロウさん・・・!」

・・・そんな中でウッドロウに正体を言えと詰め寄るクレスに、本意でないとすぐにわかるような悲しい目でウッドロウは目を反らすが、クレスはそうするくらいならと尚も詰め寄る。

アンジュ「やめて、クレス・・・この事についてはしばらく内密にお願い」

クレス「どうして!?」

アンジュ「・・・多分もうすぐに明らかになることよ。ルークとアッシュ・・・どちらが王位継承者に相応しいか、その時に噂を誰が流したのかもルークの真実も・・・そしてその時はもうすぐのはず・・・だからクレス、今は退いて。納得は出来ないかもしれないけど、ここで噂を流したのが誰かだけ聞いても何の解決にもならないわ」

クレス「・・・わかりました・・・」

アンジュ「・・・ベルも今日の事はルークに言わないでね。貴方がどういった立ち位置なのかわからないけど、これ以上事態が混乱するのは避けたいから・・・」

ベル「・・・わかってるよ・・・」

けど間に仲裁に入ったアンジュの言葉にクレスは渋々といった様子で引き下がり、続けて俺に口止めを依頼してくる・・・けど口でわかってると言いつつも、この状況をどうにかするためにはルークに話をする以外にない。そう思いながら俺はバンエルティア号に帰ったらどうルークに話をつけるかと考え始めた・・・















・・・そんな今までになく微妙な空気の中、バンエルティア号に戻ってきた俺達。それで早速受付を済ませて部屋に行こうと、俺はそう思っていた・・・

ベル「・・・え、あれって・・・あの人ってまさか・・・」

?????「・・・お帰りなさいませ、貴方がベル様ですね?」

ベル「っ・・・もしかして、貴方がライマの使者、なんですか・・・?」

?????「はい、そうですが・・・正直驚きましたね。まさか一発で私がそうだとわかるなんて・・・」

・・・けどチャットの前に立っている人を見た瞬間、俺は驚くと共に理解をしていた。俺を見て丁寧に柔らかい笑みを浮かべた・・・フリングス少将がライマよりの使者であると同時に、もう時間を使って何かをやることが出来ないのだと。






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