ワールドトラベラールーク君シリーズ TOW編

ルーク「まぁ多分じゃあるけど、お前の依頼人にとっても意外な展開だったんじゃないのか?こうやって俺が隔離される状況ってのはな」

レイヴン「多分そうだと思うよ、オッサンその事について聞いてないし。そしてそれがオッサンの依頼人にとっても好都合だってのも予想はついてるけどね」

ルーク「は・・・?」

レイヴン「んー、わかるっしょ?応援したい気持ちってさ、裏がない限りは好意がないと出来ない行動よ?んでさ、そんなオッサンの依頼人から見たらスパーダ達の行動って嬉しい物のはずなのよ。ルーク君を想っての行動だってさ」

ルーク「・・・いや、それがどうしてそうなるんだよ・・・?」

レイヴン「・・・案外鈍いわねー、ルーク君。スパーダ達は噂を知ってルーク君をアッシュから引き剥がしてくれたのよ?例え混乱が嫌だって言っても、ルーク君を重きにおいて気を使う形でね。それわかんなかった?」

ベル「・・・あ・・・!」

・・・なんかレイヴンの言ってることが分かる気がした・・・スパーダ達がこの部屋替えに対して強い意志が見えたのって、そういった事があって・・・!

レイヴン「・・・どうやらベル君は分かったみたいね。スパーダ達の行動がルーク君を想ってだって。まぁそうなるに至ったのは噂が広まって二人の問題がアドリビトム内で無視出来ないくらいに大きくなったのがあるんだけど、それでもルーク君を少しでも離そうとしてるのはそういった物があるからなんだよ」

ルーク「・・・嘘をつくな」

レイヴン「嘘じゃないよ。だってスパーダ達にも色々オッサン聞いたしさ。多分オッサンになら言ってもいいと思ったんだろうね。四人とも言葉は違っても同じような事言ってたし・・・結構愛されてるのよ、ルーク君は。そして、オッサンの依頼人にもね」

ルーク「・・・愛されてる、ね。そう言うことを言うなら今すぐそいつを俺の前に引きずり出してくるか、正体を俺に教えろよ。愛されてっていうなら、それくらいの事出来るはずだろ・・・?」

レイヴン「んー、それはダメ。だってルーク君そうしたらすぐに今までのように振る舞いながら、噂の流れを断ち切るつもりでいるでしょ?警戒心バリバリのルーク君相手にそんな事、オッサンは出来ないわ」

ルーク「チッ・・・」

・・・警戒心バリバリと、そう評された鋭い目付きのルークの舌打ち・・・それが俺には本気だと分かった。レイヴンの言うように依頼人を明かすなりして噂を断ち切るつもりでいたと。

レイヴン「・・・ま、いいか。今日は挨拶に来ただけだし、また遊びに来るわ。んじゃね~」

そんな様子を見てレイヴンはまた食えない笑みを浮かべて、部屋から出ていく・・・

ルーク「・・・んだよ、あのオッサン。のらりくらりと・・・やりにくくて仕方ねぇ・・・」

ベル「・・・まぁ気にすんなよ、今はゆっくりしようぜ」

ルーク「・・・そうだな。とりあえず寝るわ、お休み」

ベル「・・・うん、お休み」

・・・寝るって言って布団に寝転んだその眉間には深いシワが刻まれていた、それがふて寝っていうのはその様子から明らかに分かった・・・俺にはどう言えばいいか分からなかったから、ルークもこれからどうなるか分からないと思ったんだろう・・・でも本当にこれからどうなるんだ、この状況・・・俺は不安で何とも言えない想いを抱いていた。









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