ワールドトラベラールーク君シリーズ

「・・・嵐のような時間じゃったな、シオン」
「あぁ・・・しかしそれで戻ってきた物も、新たに得られた物もある。私はこの僥倖を感謝したい。そしてルークにもな」
「そんな・・・俺はそんなことを言われるようなことはしていません」
「謙遜することはない。君がきっかけになって我々はまた出会えたのだ、この仲間達にな」
老師とシオンがその光景にしみじみと幸せを噛み締めながら笑顔を見せ、俺の名前も言われて俺は首を横に振るけど、シオンさんから指を指された先にいた黄金聖闘士が全員笑顔を見せていたことに少し俺は気恥ずかしくなって顔に熱を感じていた。
「かわいいもんじゃのう・・・だが残念じゃ。シオン、わしは役目の為にそろそろ五老峰に行く。後は頼むぞ」
「あぁ・・・ではな」
そんな俺に微笑みを浮かべてくれる老師だったけど、少し寂しげに出発を口にして教皇の間を後にしていく・・・そうだった、確か老師って聖戦終わった後からずっと五老峰に座りっぱなしだったって紫龍が言ってたっけ。ハーデスが復活するのを見張るためって。
「・・・お前達はどうする?」
「さぁな。小宇宙を使えねぇんじゃ聖闘士としては活動出来ねぇし、身の振り方を考えてみるわ。しばらくは聖域にいるけど、お前らもそうするだろ?」
「そうだな、今まで聖闘士として生きてきたのだ・・・故郷に戻るか、小宇宙を使えないなりに聖域の為に何かをやるかを見定めるべきだ。もう牡牛座の聖闘士として動けんのならアルデバランと名乗る訳にもいかんのだからな」
「そうか・・・そうなるか、アルデバラン。いやハスガードだったな、お前の元の名は」
それで今度は他の黄金聖闘士達にどうするかってシオンさんが言うけど、アルデバランって名前って牡牛座を受け継ぐ人間の名前なのか?シオンさんがちょっと思い出したように言ってるけど・・・まぁ向こうのアルデバランと区別つけられるから別にいいんだけどな、俺からすれば。けど今はそんなこと些細な事だ、重要なのはこれからなんだ。黄金聖闘士達にとってこれからどう生きるのかって事は・・・


















・・・過去と未来の聖闘士に女神が会したあの日から大分時が経った。そしてそんな時間の経過と共にこちらの黄金聖闘士達は各々の道を歩き出した。

まず最初にどうするかを決めたのは蟹座のマニゴルドだった。マニゴルドは前教皇との縁もあるし、聖域から今更離れるのもなんなのでとシオンさんの補佐をするって形で聖域に残ることになった。

次に決めたのはアスミタさん。アスミタさんの言ってることはシャカさんと同じくらい分からなかったけど、要約したら故郷に戻り静かに悟りを開く事を選んだらしい・・・あの人を理解出来る人はそういないから自信は皆ないらしい。その通訳でも。

その次はアスプロスにデフテロスの二人。この二人は長いこと聖域にいなかった双子座が今更戻って来たときの反応が面倒と思い、聖域を出ることを選んだ。もう大規模な喧嘩をすることはないだろうから大丈夫、と俺は思ってる。

その次に決めたのはハスガードさんにレグルスにシジフォスさんの三人。ハスガードさんとシジフォスさんの二人は縁もあって、年若いレグルスの新たな道を保護者として共に見つけ歩んでいく為聖域を出ることになった。

その次はエルシドさんにデジェルさんにアルバフィカさんの三人。この三人はシジフォスさん達が旅に出ると聞き聖域を出ることを選んだ。ただそれぞれ理由は違ってエルシドさんは修行の為で、デジェルさんは故郷に戻る為で、アルバフィカさんは後々判明したことだけどカルディアと同じように小宇宙が扱えなくなった影響なのかその体の中の血が毒でなくなったと分かりシオンさんに送り出される形で聖域を出ることになった。世界を回って、人々との交流をするようにと言われ。

・・・そして最後にカルディアだけど、何故か俺がいなくなるまでは聖域に残ると言ってきた。俺がいなくなったらすぐに旅に出るって言ってたけど・・・俺カルディアになんかしたっけ?特に何かした覚えないけど・・・



・・・まぁとにかくシオンさんにマニゴルドにカルディアの三人に、聖域に仕える人達と俺は結構な時間を過ごした。そして俺は時が来て再び別の世界に飛んだ、今度は聖闘士達のいない世界に・・・



・・・熱き血潮の流れる聖闘士達との会合。俺はあの時を忘れることはないだろう。そしてそれを胸に俺は諦めずに生きていくんだ、元の世界に戻るために・・・







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