ワールドトラベラールーク君シリーズ

「もうよいのではないか、アスプロス」
「アスミタ・・・」
そこにシャカさんに似たアスミタって人がアスプロスに近づき話しかける。
「最早君を縛る物などもうない。メフィストフェレスやらが投じた邪悪の一滴とやらももう君を縛ってはいない。奇跡とも呼べる確率でもう一度アテナによって与えられた生だ。もう教皇の立場に捕らわれる必要もあるまい・・・そして偽悪的に振る舞う必要も」
「偽悪的に?どういう事だよ、アスミタ?」
「何、簡単な事だよレグルス。以前教皇の間で対した時のアスプロスと違うと私は感じたまでだ。もう魔道に堕ちてはいないとな。おそらくメフィストフェレスとやらと対峙し、全てと決着をつけた事で変わったのだろう」
「・・・フッ、随分と賢しく物を言うところは変わっていないなアスミタ」
「だが事実だろう。もう君の心の中には教皇の座も地上の掌握も興味がなく、ただデフテロスに付き合ってそれらしく振る舞っていたに過ぎない。私はそう感じているよ」
「・・・アスプロス・・・」
「・・・」
・・・なんだろう、この空気。アスミタさんすっごくアスプロスの事を分かってる感じで話しててデフテロスもその話聞いて妙な顔してアスプロス見てるけど、何も反論しないで目をつぶってるし・・・もしかしてアスミタさんの言うこと、当たってるのか?
「・・・すみませんが、アテナに次代の聖闘士達にルーク。教皇の間でお待ちいただけませんか?おそらく争いにはならないでしょうが、しばらく時間が必要かと思われます。アスプロスとデフテロスの二人が分かりあうには・・・」
「・・・いいでしょう、分かりました。では参りましょう」
「「「「・・・」」」」
そんな空気にシオンさんが自分達で二人の事を解決したいと教皇の間に行って欲しいと言い、アテナさんもそれに頷いた事で俺達は無言で教皇の間に歩き出す・・・あの二人に何か言うには部外者である俺達じゃ無理と、そんな考えに俺は至っていた為に・・・












「・・・因果な物だな。まさか先代の双子座が教皇の座を狙い、地上を掌握しようとしていたとは」
「ハーデスにより再び生き返ったと言っていましたが、それすらもメフィストフェレスの思惑の内だった可能性がありますね・・・それにしてもクロノスの弟神、ですか・・・」
「クロノス・・・その名を聞くと妙な気になるな」
・・・それで教皇の間に入った俺達だけど、カノン達黄金聖闘士三人は固まって話を始める。けどなんだろ、アイオリアさんだけなんか毛色が違う気がするんだけど・・・
「・・・ふぅ、あんな堅苦しい場所になんかいられるか」
「・・・貴方は・・・」
「ん?あぁお前アンドロメダだったか?俺は蠍座のカルディアだ。しっかしなよっちくて弱そうだな~、お前」
「・・・いきなりなんですか」
すると教皇の間に頭をかきながらミロさんに似た人が入ってきて瞬に絡みだしたけど、普通に聞いたら喧嘩を売ってるとしか思えないそのカルディアの言い種に少し瞬はムッとしたように返す。
「・・・先代の蠍座、向こうにいなくていいのですか?」
「そういうお前は次代の牡羊座か。確かシオンの弟子なんだってな・・・俺があんな真面目な場にいてもやることなんてないんでね。適当にフケてきた」
「は?・・・ホントにミロの先代なのか、コイツ。ミロのような真面目さが全く見えねぇんだけど」
「聞こえてんぞ、天馬星座」
そんな二人にムウさんが仕方なさそうにここに来た訳を聞くけどダルそうに抜け出したと返したカルディアに側にいた星矢がミロさんに似てないと呟くけど、そこは同意しとく。地獄耳っぽいから言わないけど。
「おっ、いたいた」
「へ・・・?」
けど星矢の方に視線が向けられたと思ったらなんか明らかに俺の方に近付いてきた・・・俺なんかしたっけ、この人に?






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