ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・その後、上機嫌になったアフロディーテさんから手厚いもてなしを受けて双魚宮の夜を終えた。

それで翌日、俺とカノンはアフロディーテさんと別れ教皇の間へと向かった。



「・・・皆はよくしてくれましたか、ルーク?」
「はい、皆さんすごくよくしてくれました」
「そうですか?まだシュラはいいですけど、アイオリアにシャカは特にもてなしなどしなかったと聞いてますよ?」
「・・・はは・・・」
「・・・」
・・・そこで再びシュラさんとシオンさんを横につけたアテナと対峙した俺だけど、早速確信犯で二人はもてなしてないだろうと笑顔を浮かべながら言ってくる。苦笑いしか出来ない俺に、さりげに攻撃されたシュラさんはそっと視線を背ける・・・よかった、シュラさん元気そうで。
「・・・それはそうと、今日は私から貴方にプレゼントがあります」
「え・・・プレゼント?そんな、悪いです。黄金聖闘士にも色々してもらったのに・・・」
「気にしないでください、仕事の合間に息抜きに私が作った物ですから・・・シオン、ルークに渡してもらえますか?」
「はっ」
だけどここでプレゼントと言い出したアテナにちょっと俺は申し訳ない気になったけど、そんなこと構わず命令をされたシオンさんが俺に近づいてくるけど・・・え?手にあるのって、花輪?
「・・・うむ、似合うではないか」
「えぇ、とても」
それでシオンさんに腕に花輪をつけてもらい、二人は優しく笑ってくれてるけどこれって・・・
「・・・これ、アテナが作ったんですか?」
「えぇ、こう見えて手先は器用なんですよ」
いや、俺が言いたいのってそういう疑いじゃなくって・・・これ、ポンポン手渡していい部類のもんじゃないんじゃって思ったんだけど・・・
「大切に持っていてくださいね」
「・・・はい、ありがとうございます」
けどこの笑顔のごり押しに抵抗する手段を俺は持たない・・・花輪を返すことも出来ず、礼を言うしか出来なかった。
















・・・そんなアテナから花輪をもらった後はやたら猫可愛がりされ、一通り十二宮を回って黄金聖闘士全員からいつでも泊まりに来ていいと言われたことから俺は十二宮内で自由に行動出来る権利をもらった。

ただそんな権利をもらった物のシャカさんの元には正直行きたくはなかった。けど場所の関係で処女宮を通らずに済む訳もなく、処女宮に入る時ちゃんと挨拶して座禅を組んで静かにしてたら意外に何も言われずにすんだ。座禅の良さを知っておいてよかった・・・けどどうしても一輝の事が気になったので一輝の事を聞いてみたら「フッ、一輝なら今頃時空のねじ曲がったすごく面倒な所にいるだろう。心配せずとも一輝ならどこに飛んでも誰の力も借りず、自ら舞い戻って来るさ」って、微笑で返された・・・うん、カノンの言ってた意味がよくわかった。色々規格外だよ、ホントに一輝は。

・・・まぁそんなシャカさんとの緊迫感のある一時もあったけど、結構気ままに俺は十二宮内で時を過ごしてた・・・その時間はホントに楽しい物だった・・・



・・・けどやっぱ終わりって来るんだって、知らされるんだよな。唐突に。
「っ・・・飛ぶのか・・・」
・・・貴鬼と修行した後(サイコキネシスで飛ばされた岩をバコバコぶち壊していくのはいい修行だった。貴鬼にとっても俺にとっても)、白羊宮から上の宮に向かう途中光に包まれた俺・・・その瞬間俺は理解した、世界を飛ぶ時が来たんだと。
「・・・別れを言えないのは辛いけど、こればっかしはな・・・せめて言わせてください。ありがとうございました」
・・・誰になんて言わない、この聖域で思い出は沢山もらった。だから光に包まれ消える前に礼を言わせてもらった。この場所全てに・・・


















「・・・え?あれ?」
・・・そして光が収まり次はどんな世界に来たのかと周りを見たら、なんかすっごい見覚えのある光景だった。それもついさっき見たような光景が。
「ここって聖域、だよな?」
そう、その光景ってのはさっきまでいた聖域の光景そのもの。場所で言ったら教皇の間の前っぽいけど・・・
「・・・妙な力を感じたと思えば、子供だと?」
「・・・なんじゃ、この子供は?見たところ冥闘士には見えんが・・・」
「えっ・・・老師に、シオンさん・・・?・・・ってなんかちょっとまずい気がしてきた・・・」
それで教皇の間から出てきたのはシオンさんと老師なんだけど、なんか俺を見て訝しげな顔を見せるその様子に嫌な予感を感じていた。








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