ワールドトラベラールーク君シリーズ

「・・・いきなりどうしたんだ、アフロディーテ・・・?」
そして俺が思ったことが間違いではないと言わんばかりに、カノンがそんなアフロディーテさんに何があったと疑うような視線を向ける。
「いや、私の茶を飲んで美味しいと言ってくれる者がいなくてな・・・嬉しかったんだ。デスマスクにシュラはローズティーを飲んで美味しいなんて言ってくれないからな」
あ・・・なんか分かる気がする。デスマスクがローズティーを絶対好むわけないし、シュラさんは香りがいいのとかより単純に美味しいって思えるようなの好きそうだし。
「アイオリアにミロにアイオロスなどはそれこそバラの香りなど気にして飲むようなタチではないからな。あいつらには逆に飲ませたくない」
・・・これも分かるな。なんかグイッて飲んではい終わり、みたいなメンツだし。
「ムウにアルデバランにサガに老師にカミュは分かってはくれる方だが、カミュ以外は行くのにも来てくれるのにも時間がかかるからな。そうそう茶に誘う事が出来ん」
まぁ今のメンツもアフロディーテさんの言うような感じにはなるだろうな・・・けどアルデバランがローズティーの味分かるって、知らない人が聞いたら驚くだろうな。
「シャカに至っては論外だ。あれに味を聞いてもまともに返してくれん上に、気に入らなければ歯に衣着せず物を言うからな。誘う気も起きん」
・・・うん、一人だけ別扱いにされてた時点でなんとなくわかってたよシャカさん。
「教皇は双魚宮に滞在することはほとんどないし・・・そんなものだから随分久しぶりに誉め言葉を聞いたのでな・・・つい舞い上がってしまったんだ」
「そうだったのか」
それで久しぶりの評価に喜んだって言うアフロディーテさんにカノンは納得してるけど・・・なんとなく乙女な感じがするって思っちゃったよ、俺。顔もすっげぇ美人な女の人って言ってもいいくらい綺麗だし、お茶美味しいって言っただけですっげぇ喜ぶし。まぁそんなこと言ったらどんな目にあうかわからないから言わないけど。
「・・・いや、悪いな。つい君を無視して話を進めていた。少し待っていてくれ・・・」
「・・・?」
そんなこと思ってたらアフロディーテさんが俺の方を向いて微笑を浮かべると、宮の奥へと消えていく。仕方ないからローズティーに口を含む俺。
「・・・待たせたな」
はやっ!・・・ってあれ?手に1本づつ赤と白のバラ持ってるけど、アフロディーテさん。
「・・・おい、赤い方は普通のバラと分かるがもう片方の白いバラはブラッディローズだろう。お前ルークに何をする気だ?」
えっ・・・!?確かブラッディローズって話だと心臓に突き立てられたら血を吸い取って死ぬんだろ!?なんでそんなもんを持ってきてんの・・・!?
「心配するな。私が小宇宙を込めて放たなければ、ブラッディローズもただのバラに過ぎない。それで私がこのバラ2つを持ってきたのはルークにプレゼントするためだ」
「え、バラを・・・って、えっ?」
たまらず疑惑の目を向けるカノンにアフロディーテさんは安心だと言いながら俺に近付き、服の上に2つのバラを刺す。流石に肉体に刺さっちゃいないけど・・・なんでいきなり・・・
「うむ、見立て通りだな。やはり黒よりは白の方が似合うな、君は」
「・・・黒をそこでチョイスするなら小宇宙を込めなくても危ないと俺は止めていたぞ」
それで2つ並んだバラを見て満足げな表情のアフロディーテさんだけど、カノンのツッコミに俺も内心賛同した。話聞いただけだけどピラニアンローズなんて物理的に危険な物、身に付けたくねーよ。
「一応どちらも生花だが私の小宇宙が込められているから、余程時間が経つか物理的に壊そうとしない限り枯れることはない。もしも危ない時はブラッディローズは使っても構わん。大事に持っていてくれ」
「・・・はい、ありがとうございます」
そんなツッコミも何のそのとアフロディーテさんは嬉しそうに俺にバラの事を教えてくれた。ここまでされたんだからバラはありがたく受け取る事にしたけど、なんだろうこの人・・・案外この人もマイペースな人なんじゃないか、シャカさんほどじゃなくても。そう思えてならなかった。











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