ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・結局シュラさんが戻って来ないまま、磨羯宮での夜は過ぎた。



「・・・待たせたな」
「・・・迎えはお前か、氷河?カミュはどうしたんだ?」
二人ゆっくりしてた所に今度迎えに来たのは何故か氷河一人。カノンは宝瓶宮の主だろうカミュさんの所在を聞いてみる。
「カミュはルークを出迎える準備をしている。それでまだ時間がかかるから俺が迎えに行ってくれとの事だ」
「出迎え・・・?まぁいい、行くぞルーク」
「うん・・・」
出迎え?何をするんだろう、出来れば老師達の二の舞は避けたい・・・そう思いながら俺達は氷河の後を付いていった・・・
















・・・そして辿り着いた宝瓶宮。中に入った瞬間俺達はある異変に気付く。
「なんだ、この匂いは・・・」
「けどいい匂いがする。すごく美味しそうな匂いが・・・」
その異変ってのはズバリ匂い、それも食べ物が発する美味しそうな匂いだ。
「よく来たな二人とも」
「・・・カミュ、お前その格好・・・」
「なんだ?料理をするのにこれは必要だろう」
そんな風に立ち止まっていたらカミュさんがその・・・黄金聖衣の上にエプロンを着用した状態で、俺らの前に来た。激しくミスマッチ・・・そう思う俺の意志を代弁するようカノンが指摘をしようとするが、カミュさんは全く気にした様子もなく当然だろうと返した。
「まぁいい、ちょうど準備が済んだ所だ。こっちに来なさい」
「はぁ・・・」
それでさっさと来るようにと手招きをするカミュさんにどこか妙な気持ちを覚えながら、俺達はその後に付いていく・・・



「・・・うおぉ・・・美味しそう・・・」
・・・それで後に付いてきてみると、そこにはテーブルに乗せられた美味しそうなホカホカした料理の山があった。
「お腹は空いているか?お代わりはたくさんあるから遠慮なく食べるといい。私は食器を取ってくる」
「・・・これ全部、カミュさんが作ったのか?」
「あぁ。俺の修行時代にカミュがよく作ってくれたからな。味は俺が保証する。カミュのロシア料理は美味いぞ」
それでカミュさんは優しく言いながら退出していくけど、氷河にこの料理の山をホントに作ったのか聞いてみたら自信を持って美味いと返された。
「・・・さぁ席に着くといい。冷めない内が美味しいからな。ロシア料理は」
「・・・はい、いただきます!」
そうしてたらカミュさんが食器を持ってきてセッティングを始めたので、俺は遠慮なく椅子に座り食事を楽しむ事にした。















・・・数十分後、俺達はあらかた食事を済ませ人心地つかせて椅子に体を預けていた。氷河の言った通りカミュさんの料理の腕は本当に良くて、特にボルシチなんかめちゃめちゃ絶品だった。

ただ気を遣ってくれるのは嬉しいんだけど目ざとく口をナプキンで拭いてくれたり、こっちの方が大きいからってでかい肉をわざわざ取り換えたりしなくてもいいんだけど・・・他にも色々手取り足取りって言った感じで気を遣ってくれたのはありがたいけど、なんかむず痒かったよ。

食器を片付けるカミュさんを尻目に氷河にいつもこんななのかと聞いてみたら、修行自体は厳しいけれど普段は非常に面倒見が良くて小さい頃は今の俺のように接していたらしい・・・まぁこれだけ料理美味くて優しくて強くてってなるんならそりゃ氷河も尊敬するわな、ちょっと構いすぎな気もしないでもないけど・・・










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