暗の知略に招かれる戦
「その際中にいたマルクト軍の兵士達は不意を突かれたという事もあり全て私を除き殺されてしまい、我々も後一歩という所で殺される間際でした・・・そちらにいる『ルーク様』と共に」
「!・・・それは真か、『ルーク』?」
ジェイドは話を続けつつもさりげなくアッシュに話を持っていくよう先導し、インゴベルトもその声に驚いたよう真意を問う。
「・・・はい、その通りです。我々に神託の盾は攻撃を仕掛けて参り、気絶させられた後に牢へと投獄されました。カーティス大佐によれば我々を攻撃したのは六神将の・・・『アッシュ』だった、とのことです・・・」
「!!」
その問い掛けに今は『ルーク』として扱われているアッシュは暗い面持ちで『アッシュ』に襲われたと告げ、モースを焦らせ後ずらせる。
「・・・そして獄に繋がれた我々はカーティス大佐の機転により辛くもタルタロスから脱出して、難を逃れこうやってバチカルに戻って来た訳ですが・・・」
「タルタロス襲撃の顛末をピオニー陛下に報告した手紙をカーティス大佐が送りましたら、いたく陛下は憤慨されていた模様で私に手紙を送ってこられました・・・」
アッシュが辛そうに言葉を紡ぐ中、イオンが途中から話を引き継ぐ。
「内容としては『ダアト内部が二つに別れているのは知ってはいたが、それでも穏健派と言われ教団のトップでもある導師を奪おうと、我が軍の兵士全てを虐殺するというこちらに被害をもたらすやり方は到底許される物ではない。更に言うならファブレ公爵の子息であるルーク殿にまで被害をもたらしたことはいよいよを持って、看過出来る問題ではない。故にこれらの所業全てを世界に公表してダアトに宣戦布告をしてもいいのだが、あくまでもそれらがダアトの本意ではないと導師がおっしゃるならこれよりあげる条件を全てクリア出来るのなら宣戦布告はしないでおこう』・・・と言われ、これらの条件をピオニー陛下は出されました・・・」
「・・・っ!」
ピオニーから送られたと言われる手紙の中身は簡略化されているとは言えダアトにとってどれだけ不利な内容を示しているのか、それがわかりすぎるだけにモースはひと区切りされたイオンの言葉にカチカチ震えながら怯えている。
「まずタルタロスが襲撃され失われた命に対する慰謝料の支払いが命じられました。そして今回の事件の首謀者並びにタルタロス襲撃の実行者達をタルタロスとともに雁首並べ、ダアトの人間の手でマルクトに引き渡すようにと。出来なければ戦争は到底避けられる物ではないと、ピオニー陛下はこの手紙にしたためられています・・・」
条件を言い終え懐から手紙を取り出すと、イオンはモースにそれを向ける。
「モース、これはダアトの一大事と言える事はお分かりでしょう。その上でお聞きしますが、貴方がタルタロスを襲撃するよう配下の六神将に指示を出したのですか?」
「!い、いえ!そのようなことは全く身に覚えがありません!私は全く関係ありません!」
直にお前は首謀者なのかと問い掛けるイオンの声に、命を選んだモースは即座に首をブンブンと横に振りながら慌てて否定する・・・その行動は読めているからこそ、官兵衛の策は活きて来る。
「そうですか・・・なら首謀者は誰なのでしょうね?六神将を纏める位置にいるヴァンはマルクトの取り調べでは、知らないと言っているらしいですからね・・・」
「っ!?」
「ヴァンがマルクトの取り調べ!?どういう事なのですか、導師!?」
その慌てたモースの否定からイオンは深刻そうに首を傾げ、ヴァンの事を口にする。そうしたら案の定、モースは聞いていないと強く問い詰めてくる。そしてアッシュもそんなことは聞いてなかった為、一人驚いていた。
「カイツールで『ルーク殿』を待っていたらしいヴァンを見つけたマルクト軍の方々がタルタロス襲撃の件について、色々捕縛して問い質したらしいのです。どうやら彼は六神将との関わりを否定したらしいですので、こちらとしてもそうなると誰が指示を出したのかわからないので困っているのです・・・」
「捕縛!?ならまだ、ヴァンはマルクトに捕まっているのですか!?」
「えぇ、マルクトからすれば彼は否定しているとは言え六神将の指揮を取ったと思われる第一の容疑者です。そうおいそれとこちらに戻す訳にはいかないと言われました。どうしてもヴァンを戻して欲しいならまず先の条件を満たせ・・・そう言われました。もしそれが聞けないようでしたら即座に開戦しても構わないと・・・」
「・・・っ!」
・・・自分の最強の手駒が囚われていて、解放をするにはどうにか条件を満たす以外にない。そのことにモースはどうするべきかと視線をキョロキョロさ迷わせる。
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「!・・・それは真か、『ルーク』?」
ジェイドは話を続けつつもさりげなくアッシュに話を持っていくよう先導し、インゴベルトもその声に驚いたよう真意を問う。
「・・・はい、その通りです。我々に神託の盾は攻撃を仕掛けて参り、気絶させられた後に牢へと投獄されました。カーティス大佐によれば我々を攻撃したのは六神将の・・・『アッシュ』だった、とのことです・・・」
「!!」
その問い掛けに今は『ルーク』として扱われているアッシュは暗い面持ちで『アッシュ』に襲われたと告げ、モースを焦らせ後ずらせる。
「・・・そして獄に繋がれた我々はカーティス大佐の機転により辛くもタルタロスから脱出して、難を逃れこうやってバチカルに戻って来た訳ですが・・・」
「タルタロス襲撃の顛末をピオニー陛下に報告した手紙をカーティス大佐が送りましたら、いたく陛下は憤慨されていた模様で私に手紙を送ってこられました・・・」
アッシュが辛そうに言葉を紡ぐ中、イオンが途中から話を引き継ぐ。
「内容としては『ダアト内部が二つに別れているのは知ってはいたが、それでも穏健派と言われ教団のトップでもある導師を奪おうと、我が軍の兵士全てを虐殺するというこちらに被害をもたらすやり方は到底許される物ではない。更に言うならファブレ公爵の子息であるルーク殿にまで被害をもたらしたことはいよいよを持って、看過出来る問題ではない。故にこれらの所業全てを世界に公表してダアトに宣戦布告をしてもいいのだが、あくまでもそれらがダアトの本意ではないと導師がおっしゃるならこれよりあげる条件を全てクリア出来るのなら宣戦布告はしないでおこう』・・・と言われ、これらの条件をピオニー陛下は出されました・・・」
「・・・っ!」
ピオニーから送られたと言われる手紙の中身は簡略化されているとは言えダアトにとってどれだけ不利な内容を示しているのか、それがわかりすぎるだけにモースはひと区切りされたイオンの言葉にカチカチ震えながら怯えている。
「まずタルタロスが襲撃され失われた命に対する慰謝料の支払いが命じられました。そして今回の事件の首謀者並びにタルタロス襲撃の実行者達をタルタロスとともに雁首並べ、ダアトの人間の手でマルクトに引き渡すようにと。出来なければ戦争は到底避けられる物ではないと、ピオニー陛下はこの手紙にしたためられています・・・」
条件を言い終え懐から手紙を取り出すと、イオンはモースにそれを向ける。
「モース、これはダアトの一大事と言える事はお分かりでしょう。その上でお聞きしますが、貴方がタルタロスを襲撃するよう配下の六神将に指示を出したのですか?」
「!い、いえ!そのようなことは全く身に覚えがありません!私は全く関係ありません!」
直にお前は首謀者なのかと問い掛けるイオンの声に、命を選んだモースは即座に首をブンブンと横に振りながら慌てて否定する・・・その行動は読めているからこそ、官兵衛の策は活きて来る。
「そうですか・・・なら首謀者は誰なのでしょうね?六神将を纏める位置にいるヴァンはマルクトの取り調べでは、知らないと言っているらしいですからね・・・」
「っ!?」
「ヴァンがマルクトの取り調べ!?どういう事なのですか、導師!?」
その慌てたモースの否定からイオンは深刻そうに首を傾げ、ヴァンの事を口にする。そうしたら案の定、モースは聞いていないと強く問い詰めてくる。そしてアッシュもそんなことは聞いてなかった為、一人驚いていた。
「カイツールで『ルーク殿』を待っていたらしいヴァンを見つけたマルクト軍の方々がタルタロス襲撃の件について、色々捕縛して問い質したらしいのです。どうやら彼は六神将との関わりを否定したらしいですので、こちらとしてもそうなると誰が指示を出したのかわからないので困っているのです・・・」
「捕縛!?ならまだ、ヴァンはマルクトに捕まっているのですか!?」
「えぇ、マルクトからすれば彼は否定しているとは言え六神将の指揮を取ったと思われる第一の容疑者です。そうおいそれとこちらに戻す訳にはいかないと言われました。どうしてもヴァンを戻して欲しいならまず先の条件を満たせ・・・そう言われました。もしそれが聞けないようでしたら即座に開戦しても構わないと・・・」
「・・・っ!」
・・・自分の最強の手駒が囚われていて、解放をするにはどうにか条件を満たす以外にない。そのことにモースはどうするべきかと視線をキョロキョロさ迷わせる。
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