ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・天秤宮で眠りから覚めた時には既にシオンさんとムウさんはそこにはいなかった。カノンの話ではシオンさんは教皇の間に行き、ムウさんは白羊宮に戻ったらしい。



「おうカノン、起きてたか!」
「あぁ、わざわざ出迎えご苦労だなミロ」
そうこうしている内に今度は上の天蠍宮からミロさんがすっげぇいい笑顔で降りてきた。つーかこんな人があの時リストリクションってやってたのか・・・
「おぉミロ、早いの」
「これは老師、おはようございます!」
「今日はお主がルークをもてなす番じゃからな。かといってあまり無理をするでないぞ?」
「「「「・・・」」」」
そこに老師が紫龍を伴って登場したけど、無理をするなってあんたが言えるセリフじゃねーよ。ミロさんも微妙に表情ひきつってるし。
「・・・わかっていますよ。では行こうかカノン、ルーク!」
「はい。お世話になりました老師、紫龍」
「おぉ、気にするでない。落ち着いたらまた来るがよい。今度はとっておきの話をシオンとまたするからの」
「・・・はい」
・・・うん、二度とあんな場はごめんだ。けどこんないい笑顔で頭撫でてくる人に断るなんてちょっときつい。一応肯定だけを残して俺はカノンにミロさんと一緒に天蠍宮の方へと上がっていった・・・









・・・天蠍宮に登るまでの間、ミロさんはすっげぇ明るく接してくれた。カノンが言うにはミロさんは敵味方の区別がはっきりしていて、味方にはすごくよくしてくれるらしい。その上言いたいことははっきりと言って、裏表のない性格らしい。うん、確かにこの人変に嘘つけない感じするよな。



「おう、遅かったなミロ!」
「えっ・・・?」
「・・・何をしてるんだ、アイオロス。人馬宮から降りてきて」
・・・天蠍宮に着いた時、何故かアイオリアさんに似てる黄金聖闘士がが満面の笑顔で俺達を出迎えてくれた。すぐさま俺に近付き何故か俺を持ち上げた事にカノンがアイオロスと疑う視線を向けてくる。
「いやなに、教皇も戻ってこられてルークの話を嬉しそうにされてたのでな。それで待ちきれなくて天蠍宮まで来たんだ・・・ハハハ、それにしてもかわいいなぁ!アイオリアが小さい頃を思い出すよ!」
「・・・」
・・・うん、誰かに似てるとは思ってたけどアイオリアさんだったんだ。けどカノンの言葉ほぼ流してまで俺を高い高いしないでくれ、こんな行動もアイオリアさんとの血の繋がりめっちゃ感じるしさ。
「とりあえず天蠍宮の中に入るぞ、アイオロス。昨日の事もあって出来れば早く休憩したいんだ」
「あぁ、昨日は老師に教皇と一緒に天秤宮にいたんだよな。なら疲れているのも当然だな。ミロ、入っていいか?」
「あぁ、勿論だ。今日はゆっくり過ごしてくれ」
そこにカノンが昨日の事を引き合いに出して休憩したいって言うけど、結構な割合で俺が絡まれてたと思うんだけど・・・まぁいいや。ミロさんの優しさに甘えて今日はゆっくりしよう。ただアイオロスさん、俺は下に下ろしてくれ。なんかイヤだ・・・









「さ、何もないところだがゆっくりしてくれ」
「はい、ありがとうございます・・・アイオロスさん、下ろしてください」
「ハハハ、いいじゃないか!」
ミロさんに椅子を勧められ自分で座ろうとした俺だったけど、アイオロスさんに抱き上げられたまま椅子に座る・・・うん、わかっちゃいたけどこの人笑うばっかで言うこと聞いちゃくれないや。
「少し我慢してくれ、ルーク。小さい頃にアイオリアを構えなかったからアイオロスは少し年下に飢えてるんだよ」
「飢えてるとはなんだミロ。まぁ死んでる間はアイオリアに構えなかったのは事実だからな」
「えっ?アイオロスさんっていうか黄金聖闘士が死んだのってそのハーデスとの戦いの時じゃないんですか?」
・・・と思ってたらなんか微妙にここに来てから聞いた事と違う話が聞こえてきたから、俺は素直に疑問をぶつける。
「・・・全部話してなかったのか、カノン?」
「いや、正確には全部話してはいなかったからな・・・この際だ、それぞれ当事者の目から見た視点で全部話すか。いいか、アイオロス?」
「あぁ、俺は構わないぞ」
そんな俺にミロさんもカノンもアイオロスも真剣な様子で全部を話すことを決め、語りだす。13年前の聖域での事件の事を・・・








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