ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・アイオリアさんと星矢が共倒れになりカノンと瞬の二人と共に看病をして夜が過ぎた後、看病を続けるという理由で瞬が獅子宮に残る事になった。



「フッ、久しぶりだな。アンドロメダ」
「あっ、シャカ・・・久しぶりだね」
・・・そんなことを決めて処女宮に向かう時に次の処女宮から足を運んできたシャカさんの登場に、瞬の表情が一気に強張る。つーかなんで目を閉じてんだろ、この人?
「ペガサスはアイオリアと共に寝所か・・・まぁ今回は見逃してやろう。そこの子供との顔合わせは済んでいるようだからな」
「・・・もし済んでなかったら、どうするつもりだったの?」
「決まっている、アテナの呼び出しに答えられなかったものとして聖域を引きずり回しこの子供と引き合わせるつもりだ」
「「「・・・」」」
・・・一瞬で瞬が強張る理由がわかった。この人確かに忠誠心はあるんだろうけど、物の考え方がすげぇ極端な人だと。だからあの時デスマスクに躊躇いなく攻撃したんだろうな、声から察するに天魔降伏って。
現に引いたような目をする俺にカノンも瞬も微妙な表情になる。
「・・・相変わらずだよね、貴方は。ハーデスとの戦いで少しは慈悲を覚えたんじゃないかって思ったんだけど・・・」
「フッ、慈悲を与えろと言うなら今すぐ二人の息の根を止めてやろう。そうすればこれ以上苦しむ道理もあるまい」
「どこをどうしたらそんな道理に発展するの!?ホントに相変わらずだよ、貴方の論理の飛躍の仕方!」
・・・うん、これは瞬の意見に賛成。必死にツッコミを入れられているのに一切揺るぐことのない涼しい表情のシャカさんはマジでマイペース通り越し過ぎだろ。
「まぁいい・・・話は変わるが一輝は来ていないのかね?」
「兄さん?・・・またどこかに行ったから僕は知らないよ」
「そうか・・・なら一輝の代わりに君の成長を私が直々に体感してやろう。遠慮なくかかってきたまえ」
「はっ!?なんでなの!?」
「・・・え、あ、カノン・・・?」
そこで昨日も話題に出てきた一輝さんに話題を変えてきたシャカさん。知らないと言った瞬間理不尽に戦えと言ったシャカさんに瞬が声を荒くして俺もなんでだよと思う中、カノンが俺の体を引き寄せそっとその場から離れていく。
「何すんだよ、カノン・・・?」
「命が惜しいなら下手にあの場に近づくな。今から一輝召喚の儀式が始まる」
「へ・・・?」
召喚?儀式?・・・人に使うような言葉じゃないじゃん、それ。
「さぁ、来たまえ」
「くっ、ホントに相変わらず訳のわからない人だ!仕方ない・・・・・・ネビュラチェーン!」
「甘い・・・カーン」
「うわぁっ!」
そんなこんなしてたら瞬がさっと聖衣に着替え戦いを始めたけど、シャカさんの一声で瞬の体には攻撃したはずのネビュラチェーンが巻き付いていた。なんだよあれ・・・
「あれが最も神に近い男と呼ばれる男の力だ。いくら瞬が腕を上げたとは言え流石にシャカ相手では分が悪いな・・・」
「・・・大丈夫だよな、瞬は?なんかシャカさんの人柄感じて思ったけど、あの人手加減とかそんなことするようには見えないんだけど・・・」
「心配するな、シャカもあれでいて引き際は見極められる男・・・のはずだ」
「ちょっ、はずって・・・」
「それに言っただろう。あれは一輝召喚の儀式だ。そろそろ来るぞ・・・」
「え・・・?」
シャカさんの力と容赦なさとカノンの話に瞬の命が心配になるけど、指差した先の二人の戦いの場を見て明らかな変化を俺は感じ取った。瞬がチェーンの拘束から逃れ、シャカさんが血の滴り落ちている指を見ている。そして二人の間に何かすげぇ気迫っつーか、熱い小宇宙が現れたんだけど・・・もしかして、あれが・・・
「ふむ、来たか・・・早かったな」
「・・・貴様・・・どういうつもりだ、シャカ・・・!?」
「やっぱり来てくれたんだね、兄さん!」
そんな小宇宙から現れた姿に満足げな笑みを浮かべるシャカさんに嬉しそうな笑みを浮かべる瞬。だがその熱い小宇宙の持ち主である赤い聖衣を着た人はシャカさんを殺さんばかりの視線を向けている。あれが・・・
「・・・あれが一輝さんなのか?」
「あぁ、召喚成功だ」
「・・・」
一輝という存在だと確信した俺にカノンは尚も召喚と言葉を変えず、返す・・・この人、獣扱いが正しい扱いなのか?










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