ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・その後、双児宮で時を過ごした俺だが夜になり飯を食った後風呂の時間という時にカノンが金牛宮に行こうと俺を連れ出した。何でなのかを聞けばサガさんは風呂が好きらしく、長風呂な上に人に邪魔されるのが嫌らしくて風呂はサガさんとタイミングが合わない限りはどこかの宮に入りに行くのが日課になってるらしい。

どんだけ入るのかとかどれだけ嫌がるのかと聞いてみれば最低2時間以上風呂に入り、余程の用でなければ場所を構わずギャラクシアンエクスプロージョンという技をタメ無しでぶっぱなしてくるらしい・・・その度つまらないことで喧嘩になるらしいが、後でアルデバランに聞いた所によるとサガさんが濡れた体の真っ裸で双子座の聖衣を纏う姿は正直痛々しい物があるとのことだ。ちなみにカノンは聖闘士に戻りはしても海闘士時代の海龍の鱗衣という物を海龍はカノン以外にいないということで持っており、いざというときに双子座の聖衣がない場合は鱗衣を纏って戦ってるらしい。とはいっても大抵サガさんとの喧嘩の時らしいが・・・サガさん、あんたまともだって思ってたのに・・・

ついでに言うなら金牛宮から双児宮に戻った時サガさんは風呂に入っていて少なくとも1時間以上は出てこなかった。それでやっと出てきた時はちゃんとしたローブのような物を着ていたが、その下は全裸だとカノンが真剣に嘆く顔をしていたことに一層何でそうなったと俺も思わずにいられなかった・・・

あ、ちなみに双児宮の主である二人が力を使えばこの双児宮はけして誰も抜けることの出来ない迷宮に変わるらしい。俺もサガさんにカノンの好意で一回ジェミニの迷宮に挑戦してみたけど、確かにまともに攻略するのは無理だった。なので別の所に飛んだ時にもらったラーの鏡を使って双児宮の真実の姿を映し出し、迷宮を突破した。二人はその事に酷く驚いていたけど、まぁ真実の姿を映し出す力のある鏡だからやれるとは思ってたんだけどな。俺は。



・・・そんな双児宮での落差の激しい一夜を過ごした後、サガさんに見送られながら俺はカノンに連れられ上の宮に向かった。
「・・・今回上から迎え来なかったけどなんで?」
「・・・サガか俺が連れてくると踏んで巨蟹宮でふんぞり返ってるんだろう。デスマスクはそういうヤツだ」
「デスマスク・・・うわ、怒ってるだろうな。あの人・・・」
だが今までになく迎えがない事を疑問を呟けば、カノンの答えに俺は苦い顔になる・・・あんな目に俺のせいであったんじゃ会いにくいよ。
「あぁ、その時の話は聞いている・・・まぁ気にするな、あいつはあれでいて意外とさっぱりした性格だ。自分を攻撃したムウとシャカとミロにカミュならともかく、敵ではない相手に一々攻撃するほど分別がない訳でもなく狂暴ではない・・・敵なら別、だがな」
「・・・えっとあの時、四人も一気に攻撃してたのか?」
「あぁ。確かリストリクションで一瞬動きを止めダイヤモンドダストで足元を固めた後、ムウとシャカで攻撃したとか言ってたな」
「・・・よく死ななかったなって思うけど、それ以上に俺のせいでって思うと・・・ホントに申し訳が立たない気がしてくるんだけど・・・」
「気にするな、聖域ではよくあることだ」
「・・・そうか」
・・・明らかになった流れるような連携、そしてそれがよくあることと言われた・・・改めて思う、色々な意味で大丈夫なのかここ?つーか特にデスマスク・・・












・・・まぁそんな話をしてる内に、俺らは巨蟹宮に辿り着いた訳だけど・・・
「おう、来たかガキにカノン」
「よう、デスマスク」
・・・ホントにピンピンしてるよ。全く怪我ない感じで俺達をフランクに出迎えてくれてるし。でも一応謝っとかなきゃな、やっぱり・・・
「・・・なんか俺のせいで、すみませんでした」
「あ?あぁ、あの時か・・・別に気にしちゃいねーよ、手ぇ出したのはあいつらだ。まぁ、いずれあいつらには落とし前をつけてもらう気じゃあるけどな・・・」
「叶わんことをするな。特にシャカに復讐など絶対俺はやりたくない」
「・・・はは・・・」
頭を下げりゃ復讐に目を光らせるデスマスクだがシャカと名を出し肩を竦めるカノンに、俺は乾いた笑いしか出なかった。
「ま、それは今は別としてだ・・・今腹減ってるか、ガキ?」
「え・・・まぁ減ってますけど・・・」
「なら宮の中に入りな。飯を作ってあるから食いたいだけ食え」
「・・・え?」
・・・だけど目の前のいかにもガラの悪いにいちゃんにしか見えないデスマスクから出てきた楽し気な飯という言葉に俺は何を、と信じられなかった。だって飯用意するとかましてや作るようにも思えないんだけど、コイツ・・・








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