ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・今現在俺はすっげぇ困った場所にいる。その場所ってのは石造りの立派な神殿っぽいところで、やたら強そうな黄金の鎧を身に纏った男12人に囲まれながらその12人の男達の主っぽい目の前の椅子に座る女の人が俺を見下ろしているところだ。あ、見下ろされてるってそんなでかい女の人なのかって思ってないか?・・・なんでかしんねーけど、たまにあんだよ。世界越えたら俺が実年齢の姿にまで体が退行するっていう現象がさ。

それでまぁ、そんな姿でこの石造りの場所に飛んできた訳だけど・・・女の人にその時の姿を見られて、それで異変を察知してきた黄金鎧の連中がぞろぞろ来て取り囲まれたんだ。

・・・まぁ最初はどうにかこうにか逃げようとしたんだけど子供の姿になっちまったんじゃうまく逃げれねーし、その上メチャメチャ動きの早い黄金鎧の一人に簡単に取っ捕まって神殿の中央に戻されちまったんだよ・・・んで俺が何者かでどうやってここに侵入してきたかを話せってなったから別の世界を飛び回ってるって経緯を話してんだけど、こんな奴ら相手だとどうにも出来そうにないから覚悟しなきゃいけないかって思ってんだよな・・・内心・・・



「・・・成程、貴方の話はわかりました」
「・・・アテナよ、この子供の話を信じるのですか?異世界の者などという言葉を・・・」
「その辺りは異次元空間を開ける貴方が言っても、説得力がないのではないですか?サガ」
「それは、そうですが・・・」
・・・俺の話が終わった所でアテナって女の人と近くにいたサガって男が話始めるが、異次元空間を開けるって何?動きからしてただ者じゃないって思ったけど、何ここ?
「しかしそんな世界までもを越えて来るなどと言った話は聞いたことはありません」
「しかし事実こうやって世界を越えてきたというのです・・・私は信じますよ、ルーク」
「えっと・・・あの・・・すいません、俺の話を信じるんですか?こう言ったら何ですけど、信じられないと思うんですけど・・・普通」
そんなサガが尚も眉間にシワを寄せ詰めるが、アテナは揺るぎなく慈愛に満ちた瞳で俺を見てくる・・・だがそんな掛け値抜きの想いを向けられるいわれのない俺は疑わないのかと首を傾げる。
「・・・私には分かります。貴方の中には小宇宙と違う優しい力が渦巻いていることを、それが故に貴方が異世界を渡り歩いていることを」
「えっ・・・!?」
・・・驚いた。アテナには何かまたすげぇ力があんのか?って思った。俺を見ただけでそんな風に感じた人なんていなかったから、驚く以外に出来なかった。俺は。
「それに私は分かります・・・貴方は嘘をつけるような子供ではありません」
「・・・信じてくれてありがとうございます」
「あら?別に敬語なんていりませんわ。気軽に喋ってください、そちらの方が私は嬉しいです」
「・・・でもアテナさん、すごい人に見えたから敬語じゃないといけないのかなって・・・」
「アテナさんというのもおやめなさい、子供にさん付けされるのも嫌です。なんなら、気軽におねえちゃんって言ってもいいんですよ?」
「・・・遠慮します」
・・・なんか段々話が変な方向に行ってないか?真面目かと思ったらどんどんとコロコロ表情が楽しそうに変わっていくし。周りに至っちゃおねえちゃん発言の時結構驚いてる気配あったし・・・うん、何はともあれとりあえずここから出よう。予想よっか何か危険じゃなさそうだし、ここ。
「・・・じゃあすみません、色々ご迷惑をおかけしました。またちょっと時間経ったら世界飛ぶと思うんで、それまでこの世界を見て回りたいと思います。迷惑はかけませんので気にしないでください」
「捕まえてください、サガ」
「っ、はい」
「えっ、ちょっ、ちょっと・・・」
なんだよ丁寧に挨拶してお暇しようとしたじゃん、なのになんで即答で止めんだよアテナさん。そしてサガさん、襟首掴んで猫っぽくぶら下げるの止めて。
「行く宛のない子供をそんなポンと放り出すような事は致しません、折角ですからしばらく聖域に留まってください・・・ではサガ、私の寝室にまでルークを連れてきてください。今日はもう遅いから、私と一緒に寝ます」
「・・・はい」
「はいってちょっと待ってサガさん!それダメ!それダメだから!」
だがそれ以上にとんでもない爆弾を投げつけてきたアテナに俺は精一杯声を上げて抗議した。一緒に寝る!?やれるかそんなこと!・・・と。



・・・そんな一幕から始まったのだ、俺と聖闘士の生活の日々は・・・










29/63ページ
スキ