ワールドトラベラールーク君シリーズ

視点~キッド~















「んじゃな、ルーク」
「おう、んじゃな」
・・・飯も食い終わり、また変装もし直した所で飯屋から出てルークと別れを告げその後ろ姿を見送る・・・さて・・・
「いるんだろ?名探偵」
「・・・気付いてたのか、お前」
「あぁ、ルークが頻繁に出かけるってなったらお前は不審に思うだろうからな。そろそろかなって思ったから声をかけたんだよ」
「・・・カマをかけたのかよ」
ビルの影にアタリをつけ適当に声をかけてみりゃ案の定ちっさい探偵の姿が出てきたけど、ジト目で抗議すんな。見つかるとこにいるお前がわりーんだよ。












・・・そして場所を変え公園のベンチで俺と名探偵は並んで座っていた。
「俺を捕まえなくていいのか、名探偵?」
「出来りゃそうしてーとこだけど、今のお前つきだした所でキッドの要素ねーから変装好きの若い男で終わるのがオチだろ・・・それにお前もただルークと遊んで飯食べてるだけだし、尚更捕まえる理由なんざねーからな」
「じゃあ何で俺らをつけてたんだよ?」
「・・・心配だったからだよ。あいつ子供だし、お前犯罪者だからな」
「はは、何言ってんだよ。誰より立派なガキのくせしやがって、保護者ぶんじゃねーよ」
「バーロー、俺はガキじゃねーよ」
・・・そこから軽口を叩きあう俺ら。まぁこのちっさい探偵さんは本来なら俺と同年代だから普通に話す分には別に違和感感じねーんだよな、姿形はやっぱガキだけど。
「・・・ありがとな、キッド」
「ん・・・なんだよ、急に?」
・・・と思ったらいきなり急に真剣な顔で礼を言ってきたけど、なんだ?。
「なんだかんだでルークはあんまり外に出ることはなかったからな。あんまり目立つと別のとこにいく時に辛くなるってな。けどあいつは見た目あんなだけど、やっぱ子供だからな・・・我慢せずに誰かと一緒にいてもらいたいんだよ。それが悲しい思い出を越える程の思い出になるくらいに・・・」
「いいのか?俺は泥棒なんだぜ?」
「・・・ま、最初はそう思っちゃいたんだけどルークがそう簡単にお前に悪影響を受ける訳ないって思い直したんだよ。それに下手にルークをどうこうしようとしても、まず返り討ちにあうのがオチだろうしな」
「・・・それは否定出来ねーな」
・・・そりゃ通天閣の時に懲りてるからな。あれ以上の動きされたら確実にボコボコにされてお縄だよ。変に小細工したって通じないだろうし。
「更に言うならルークの様子見る限りじゃ悪影響なんてないしな、お前と会うって決まっただろう時はわかりやすかったけど」
「あぁ、隠し事してるってのが後ろめたいっていうのが出てたんだな。苦手そうだしな、嘘つくの」
あぁ、目に浮かぶな。なんか他愛ないこと話しかけられた時、やたら意味なく動揺する姿が。
「だからまぁこうやってルークと遊ぶだけならお前は捕まえなくていいかって思ったんだよ、勿論盗みの現場にかち合ったら捕まえてやるけどな」
「・・・はは、そうか。まぁそんなことにはならないけどな」
・・・結果としてルークにプラスになるなら、そう判断したから。名探偵のその妥協ではないが自身と関わることを認めながらも最低限譲れないラインを提示され、俺は笑みを浮かべる。負ける気なんか更々ない、そんな笑みを。















・・・その後何度かルークと会っていた俺だったが、時が経ってルークが別の世界に旅立ったと名探偵から聞いた。別れはいつか来る、親父の死を経験している俺はそう理解しちゃいたがルークは生きている・・・生きているから心配は必要ない、あいつなら大丈夫だ。そう思いながら・・・















~オマケ~



コ「・・・なぁ、お前ルークと飯食ってる時間長かったけどずっと話だけで間を繋いでるのか?」

キ「ん?いや、手品見せたりしてるぞ。ルークは反応がいいからな、ついつい色々見せたくなってな。時間が経つのが早いんだよ。『うぉーっ!』とか『すげーっ!』とかな。だから次どんな手品見せようとかいっぱい種持ってくからつい、な」

コ「(・・・変装しててもわかりやすいな、こいつも心底楽しんでる感じが強い。つーかこいつの目ってなんつーか、弟を見るような見てる感じがすんな・・・・・・まぁいいか、こいつが面倒見のいい兄貴なら俺はこの姿の分で一層出来のいい弟分でいてやろう・・・)」






・・・その日を境にコナンのルークに対する態度は一層子供っぽい甘えた物へと変わった。何故だと正体を知るルークは困惑し、自分に甘えて来る頻度が減った事に蘭は少しむくれるようになった。その裏にキッドに対する対抗心があったことを、誰も知らない・・・










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