ワールドトラベラールーク君シリーズ

・・・通天閣でのキッドの事件が収束を迎えた後、俺達は服部達と別れて東京に戻った。それで阿笠博士の元に戻った後、コナンも交えて一連の流れを話した。その際灰原には仕方ないと言う目で見られたが、灰原もコナンと同じだと思うとなんか無性に頭を撫でずにいられず撫でてしまった・・・なんだろう、灰原なら冷静な反応して返すかと思ってたんだけど「・・・ありがとう」って頬赤くしてそっぽ向かれたその仕草をすっげぇ可愛いと不意に思ってしまった。流石に抱き付いたらダメだろうと思ったから耐えたけど、抱き締めたかったな。

・・・まぁなんだかんだありつつもコナン達の秘密を知った俺は、それ以外にある1つの変化も受け入れながら阿笠博士の家で生活していた。その変化とは・・・












「よう、来たな」
「来たな、じゃねーよ。一応見つからねーように気を遣ってるみたいだけど、なんで知ってんだよ。阿笠博士とか灰原がいなくて俺がいる時を」
「そこはまぁ奇術師って事でいいじゃん。とりあえず飯でも食いに行こうぜ、奢るからさ」
「・・・ま、いいか」
・・・とある公園の中、ベンチに座っていたどこにでもいそうなサラリーマンの男に俺が近付けば中年にしては子供の声色をしながら笑顔で迎えてきた。それに答えりゃ男は飄々と楽しそうに肩を組んできて、俺はただなすがままに連れてかれる・・・



・・・さて、コナン達以外にこの世界で知り合いのいない俺にただのサラリーマンとの関係などあるわけがない。ならこのサラリーマンは誰か、と問われたら答えは・・・怪盗キッドの変装した姿だ。

大阪から戻ってきてからちょっとした時、1人留守番していた俺は家の電話が鳴ったのを聞いて受話器を取ったんだけどそこから聞こえた声は・・・キッドの声だった。

驚くしかなかった俺にキッドは明日1人で暇ならここに来るからどこか行こうぜ、と俺の気持ちと真逆にめちゃめちゃフランクに遊びの誘いをしてきた・・・初めはどういうことだ?としか思えなかったけど、キッドの狙いがわかんなかったからそれを探るためにも行くことにした。ただこれはコナン達に言ったらキッドは来ないんじゃないかと何か思ったから黙っていて、翌日1人になった時をドキドキしながら待ってたんだけど・・・ホントに警戒してた俺が馬鹿だった、としか思えなかった。

何せ家に来たキッドは最初は冴えない男の顔に変装しては来たものの、キッドだって言うからそれを信じて家を出て個室のある飯屋に入った瞬間・・・変装のマスクをいきなり外して、素顔をさらしたんだから。それでその顔がキッドの姿をしてる時の物と一緒だと確信出来たから余計に驚いたんだけど、理由聞いたら俺には事情を話したいと言う物だった。

・・・キッド。いや、正確には本名の黒羽快斗として人の踏み込んではいけない領域に知らず知らずとは言え勝手に踏みいった事が心苦しかったから・・・だから俺に全てを話したいと言った快斗のキッドになるに至った話を、俺は黙って聞いていった・・・父親が先代のキッドで父親はある組織に殺されたこと、その組織の潰すためにキッドとしての名と姿を引き継いだことからの経緯を・・・

・・・それで全部聞き終わった後、むごい過去だと思ったのもあるが自身の事を正直に明かしてしまってそれをコナン達に俺が明かすと考えなかったのかと聞いた。そうしたら快斗はそれでも話さずにいられなかった、だからこれはルークが良ければの話になるけど言わないでくれと頼むよう言われ・・・俺は自分の中にコナン達にキッドの真実を話すと言う選択肢を失っていた、快斗の行動を一概に非難が出来なかった為に・・・



・・・そんなことがあったから俺はコナン達に何か言うことも出来ず、遊びに誘ってくる快斗と度々会っていた・・・










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