ワールドトラベラールーク君シリーズ

「どや!ええとこやろ、大阪は?」
「うん、食べ物もうめぇしいいとこだよ!」
・・・場所は変わり、大阪の道頓堀を歩く俺達三人。服部を中心に右が俺で左がコナンと言った形で歩いている。つーかたこ焼きうめぇ。
「でもよかったのか、コナン?小五郎のオッサンや蘭に和葉と離れて行動して」
「別に構わないよ。今日はお兄さんと一緒に行くって言ってるしね」
たこ焼きを程々に頬張りながらコナンに質問すれば、可愛いげある顔で見上げながら答えてくれる。



・・・小五郎のオッサンに蘭と言うのは東京で世話になってる博士の知り合いで、コナンを今預かってる毛利家の父娘だけど・・・正直初めて小五郎のオッサン見た時、絶対名探偵なんかじゃねぇと思ったのは俺の秘密だ。あんないい加減なチョビヒゲオッサンが名探偵と思えなかったしな。

代わりに蘭はそんなオッサンの娘って事を感じさせない程しっかりしてっけど、なんか不穏な気配察したら攻撃する癖止めて欲しいな。この前肩のゴミ後ろから取ろうとしたら回し蹴り食らいそうになったしな。避けたけど。

そして和葉は服部の幼なじみらしいけど、明らかに服部が好きだって雰囲気が出てるのが第一印象ってくらいだな。服部と違ってこっちで会ったばっかで、よく話せてないしな。









視点変更~コナンサイド~



「・・・楽しんでるみたいやな」
「あぁ、ありがとな服部。わざわざ大阪にルークを連れて来てくれて」
「気にすんな。お前から話聞いてなんか出来へんかって思ったんや。ルークをちょっとでも楽しませればってな」
今俺達はデパートの長椅子に座り、ルークはトイレに行っている・・・その時間の中で服部がコナンとしてでなく、『工藤新一』として俺に話しかけてきた。横並びで話し、普通に振る舞うその姿からは別に怪しまれる要素はないはずだ。
「・・・お前の話を聞いてビックリしたで。まさか異世界人なんて存在が来るなんてって思うたからな・・・」
「あぁ、それもクローン人間・・・向こうの言い方じゃレプリカって言い方だが、そうやって創られた理由が本物が死んだって思わせる為の替え玉だっつーんだからな・・・しかも預言に詠まれた死に方ってのが一万人もの人間を巻き込んで、共に死ぬ・・・そんなことを実年齢7才のガキなのに無理矢理やらされたんだ、あいつは・・・」
「・・・ヘドが出るわ、そんなやり方」
・・・服部がルークの事を知ったのはいつものごとくいきなり探偵事務所に連絡なしに来て、大阪に来るよう誘った後世間話で蘭がルークの事を話した事からによる。それに加えて蘭が俺がルークの事をよく知ってるからと話を振ったから、もう興味を持った服部を止める事は出来なかった・・・ただルークの事を蘭達の前で話すのは流石にマズイと思ったから博士の所で話をしたら、灰原も証言者になってくれたのもあって服部は憤慨しながらもちゃんと信じてくれた。
・・・現にルークの事を話す服部には利用した奴らに対する怒りはあっても、ルークに対しては思いやりがある言い方をしている。
「・・・それでもアイツはそんな困難を乗り越えて来たんだ。だから少しでも報われて欲しいから俺の目の届く所にいてもらいたい、せめて世界を越えるまでは休んで欲しいんだ。ルークには・・・」
「俺もや。だからこうやって大阪まで来てもらったんやけど・・・お前がそうまでルークを心配するんは自分と近くて遠い存在やからか、工藤?」
「・・・かもな」
近くて遠い存在、服部のその表現に俺は苦笑を浮かべ頷く。
・・・実際は17才なのに7才の体に戻された俺、実際は7才なのに17才の体のルーク。対極の立場に立っているからこそ、肉体と実年齢の差が同じ事もあるがその異質さに似たものを感じているのも事実だった。
「・・・あの、服部平次さんですよね?」
「ん?そやけど、なんか用か?」
と、俺と服部の前にデパートの女店員が手紙を持って現れた。
「この手紙を渡して欲しいと言われて持ってきたんですけど」
「誰からや?」
「帽子を深く被っててよく見えませんでしたけど、若い男の人でした。名前はわかりませんけど・・・」
「そっか・・・あんがとな、ねえちゃん」
店員が話すその姿に服部は誰が差出人かを聞くが、若い男と言う特徴くらいしか出てこない事に服部は手紙を受け取り店員さんに礼を言い場からいなくなるのを見てから手紙を開け中身を確認していく。
「・・・おい、工藤。面白い招待状が来たで」
「招待状?」
「あぁ」



「怪盗キッドからや」



「・・・はぁっ!?」
・・・その名前を聞いた時、俺の脳裏にはハッキリと浮かんでいた。キザな笑顔を見せるあのドロボウの姿が。






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