始まる恋と分かる物を始まらせたいと願うか?
「そこに関してはアッシュだけの責任という訳ではなく、ナタリアの方にもあるだろう。と言ってもあいつの場合はルークという本来の婚約者っていう存在と、本当に好きな相手であるアッシュ・・・二つの存在に対して板挟みになった上で二人は兄弟であって、二人共に昔から知っている間柄だ。だからこそあいつからしたらどちらにも嫌われたくないというように振る舞う以外になかったんだろうが、その結果はどっち付かずというにはあまりにもアッシュに寄りすぎた物だった・・・アッシュの事を好きだからこそ時折許されない恋に身を焦がす程に想いを見せるが、そんな想いまでは抱けないが婚約者であるルークを突き放す事は将来的な関係も併せて考えると、不仲であるようなことは望ましくない・・・けれどアッシュの怒りを買うような事は避けたいから、アッシュに同調はしないけれど庇い立てもしないでただ自分はルークを嫌っている訳ではないというように振る舞うことで、どちらに対しても悪感情を持ってないと示そうとするのがナタリアとしては最善じゃなくても次善だと思う形でだ」
「・・・それもこれもアッシュに嫌われたくないからこそナタリアは臆病になったということなのでしょうが、そういった姿勢が却ってアッシュのルークに対する態度の激化に繋がったのではと思いますが・・・」
「そういった保身に入るのはアッシュが相手というのもそうだが、そもそもナタリアに人に嫌われてもなんていうような覚悟がないからだよ。あいつは清廉潔白であるようにと育てられてきてそうあるようにというよう考えてきたんだろうが、だからこそライマで王族として活動している時は自分が嫌われる筈がないというような自信満々の態度でいた。この辺りは自分に後ろめたい事などないといった強い自負があったからこそだが、そういった活動は言ってしまえばこうすればいいという模範解答のある答えを選べる選択肢のある問い掛けのような物だ。だがルークとアッシュの二人の関係についてはこの中のどれかを選べば正解かなんて選択肢なんか存在しないばかりか、下手な答えを出せばどちらかはおろかどちらともの不興を買って嫌われたなんてことも有り得るような相当な難易度の問題だ・・・そんなルークもそうだが特にアッシュに嫌われる事を避けたいナタリアが出せる答えが、積極的にどちらの味方だと振る舞わずどちらの敵でもないというように振る舞ってその状況に悲しむという、いわば悲劇のヒロイン気取りでその光景を見てるだけだったというわけだ」
「・・・確かに人にわざわざ嫌われたくないという考えは私も分からないとは言いませんが、そうされた上で陛下から今のように聞いたルークはどう思うんだ・・・?」
ただピオニーはナタリアにもそこで言及していかに考えて動いてきたのかについてを話していき、その中身にクロエも納得しつつもルークへと視線と疑問の声を向けると・・・寂しげに頭をかくルークが目に入った。
「・・・あいつがそんな感じだったのは昔からだったから別に責める気なんか元々俺にはねーし、何ならそういったようにアッシュだけに寄らない態度を取った事で少しはマシな気持ちになったんだよ・・・完全にアッシュの味方だって風な姿勢を見せられてたら、多分とかそんなんじゃなくナタリアとの結婚なんざ出来るかって滅茶苦茶拒否ってただろうからな」
「それは・・・」
「分かってんだよ。今の話もあってあいつからしたらどっち付かずでいて、保険を張ったような態度だって事はな。けどそれでもそうですらなかったなら俺はナタリアの事を婚約者としてもだけど、幼馴染みとしてすら見れなかったと思う・・・絶対にもうあいつの事なんか好きになれねーってな・・・」
「ルーク・・・」
そこから出てきたルークのナタリアへの少なからずの想いがこもった言葉の数々に、クロエはつられて悲し気な顔を浮かばせるしかなかった・・・どっち付かずな態度だと今は分かってはいるが、それでもそうですらなかったらルークはナタリアを嫌いにしかなれなかったという悲しさを感じて。
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「・・・それもこれもアッシュに嫌われたくないからこそナタリアは臆病になったということなのでしょうが、そういった姿勢が却ってアッシュのルークに対する態度の激化に繋がったのではと思いますが・・・」
「そういった保身に入るのはアッシュが相手というのもそうだが、そもそもナタリアに人に嫌われてもなんていうような覚悟がないからだよ。あいつは清廉潔白であるようにと育てられてきてそうあるようにというよう考えてきたんだろうが、だからこそライマで王族として活動している時は自分が嫌われる筈がないというような自信満々の態度でいた。この辺りは自分に後ろめたい事などないといった強い自負があったからこそだが、そういった活動は言ってしまえばこうすればいいという模範解答のある答えを選べる選択肢のある問い掛けのような物だ。だがルークとアッシュの二人の関係についてはこの中のどれかを選べば正解かなんて選択肢なんか存在しないばかりか、下手な答えを出せばどちらかはおろかどちらともの不興を買って嫌われたなんてことも有り得るような相当な難易度の問題だ・・・そんなルークもそうだが特にアッシュに嫌われる事を避けたいナタリアが出せる答えが、積極的にどちらの味方だと振る舞わずどちらの敵でもないというように振る舞ってその状況に悲しむという、いわば悲劇のヒロイン気取りでその光景を見てるだけだったというわけだ」
「・・・確かに人にわざわざ嫌われたくないという考えは私も分からないとは言いませんが、そうされた上で陛下から今のように聞いたルークはどう思うんだ・・・?」
ただピオニーはナタリアにもそこで言及していかに考えて動いてきたのかについてを話していき、その中身にクロエも納得しつつもルークへと視線と疑問の声を向けると・・・寂しげに頭をかくルークが目に入った。
「・・・あいつがそんな感じだったのは昔からだったから別に責める気なんか元々俺にはねーし、何ならそういったようにアッシュだけに寄らない態度を取った事で少しはマシな気持ちになったんだよ・・・完全にアッシュの味方だって風な姿勢を見せられてたら、多分とかそんなんじゃなくナタリアとの結婚なんざ出来るかって滅茶苦茶拒否ってただろうからな」
「それは・・・」
「分かってんだよ。今の話もあってあいつからしたらどっち付かずでいて、保険を張ったような態度だって事はな。けどそれでもそうですらなかったなら俺はナタリアの事を婚約者としてもだけど、幼馴染みとしてすら見れなかったと思う・・・絶対にもうあいつの事なんか好きになれねーってな・・・」
「ルーク・・・」
そこから出てきたルークのナタリアへの少なからずの想いがこもった言葉の数々に、クロエはつられて悲し気な顔を浮かばせるしかなかった・・・どっち付かずな態度だと今は分かってはいるが、それでもそうですらなかったらルークはナタリアを嫌いにしかなれなかったという悲しさを感じて。
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