始まる恋と分かる物を始まらせたいと願うか?

「・・・さぁ、私の考えはお話ししました。次は貴女の考えを聞かせてください、クロエ」
「・・・私は・・・」
ただジェイドはすぐに気を取り直してクロエの番だと投げ掛けると、目を閉じた後に意を決して目と共に口を開いた・・・


















・・・そうしてしばらくの時間が経ち、ルミナシア全部を巻き込んだ騒動をアドリビトムのメンバーが解決したことにより国に帰れなかったり、果たすべき目的の為にアドリビトムに来ていたメンバー達はこれで一段落したからということで各々の帰るべき場所に帰ろうとなったのだが・・・



「・・・ここがバンエルティア号で、アドリビトムの本拠地か。成程、いい場所のようだな」
「ピ、ピオニー陛下!?な、何でアドリビトムに!?」
・・・そうしてバンエルティア号で世界各地にメンバーを送ろうとなっていた矢先に、護衛にフリングスをつけたピオニーがバンエルティア号の受付に入ってきた。
それで中を満足そうに眺める様子に受付前の集団の中にいたナタリアが動揺に満ちた声を大きく漏らし、周りにいたアドリビトムのメンバーも一部を除いて驚きを浮かべる中でジェイドが前に出た。
「・・・この度はご足労いただきありがとうございます、ピオニー陛下」
「何、俺としても一度ここに来てみたかったし世界を救ってくれたギルドに対して労いの言葉をかけるのもいいと思ってな。だからまずはルミナシアに生きる者として言わせてくれ・・・この度は良くやってくれた。世界の危機を救ってくれた事に心から感謝させてもらう」
「ピ、ピオニー陛下・・・!」
そのままジェイドが冷静に頭を下げて来訪についての礼を述べるのだが、気にしてないと気さくな笑顔を浮かばせて言うばかりか、むしろ礼を言うと真剣な表情になって頭を下げた姿に一部を除いた面々は恐れ多いとばかりに動揺していく。
「・・・すまんな、却って恐縮させたか。ただすまないが今日ここに俺が来たのは単なる興味本位でもお前達の労を労う為でもない・・・このメンバーが解散する前に是非とも聞きたいことがあってであって、この事は代表であるアンジュにも話してある。だからこうして俺がここに来たんだ」
「えっ・・・き、聞いてませんわよアンジュ・・・ピオニー陛下が来ることなんて・・・」
そこから頭を上げて苦笑気味に話を進めるピオニーだが、その中身にナタリアだけでなく一部を除いた面々がどういうことかとアンジュに視線を向ける。何故ここに来るというのを何も言わなかったのかというよう。
「・・・ピオニー陛下の来訪に関しては言わないようにとお願いされていたのよ。理由は事前に話を変に皆もそうだけど、特にライマに所属している面々が身構えてしまうことを避けるためにとの事でね」
「・・・私達が身構える事を避ける・・・?」
「そこに関しては後で説明してやるから、一先ずジェイド以外のライマの面々はここに滞在していた時の部屋に行って待機していてくれ」
「な、何故そのような命令を出すのですか・・・?」
「お前達がいると色々な意味で俺が求める物を引き出すのが難しくなるんでな・・・取り敢えず部屋に行ってしばらく待機していてくれ。それが済んだらお前らを呼ぶようにして、何のために来たのか話をしよう」
「・・・わ、分かりましたわ・・・」
アンジュが少し何とも言いがたそうな様子になる声にナタリアや他のライマ陣も怪訝そうな顔をするが、話を引き継いだピオニーが進めていった話の中でしばらくの退出を命じてきたことに、ライマ陣はただ戸惑いながらも頷くしかなかった。何だかんだ言いたいことはあるがピオニーという自国の王が相手である事から、理不尽な命令でないこともあって歯向かう理由もないと。









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