「・・・俺がナタリアとの婚約を告げられたのは大分前の事だけど、最初はよく分かってなかったんだよ。婚約なんてただの約束だろとか、後でどーせアッシュに相手が変わるんじゃねーかとかってな・・・でも時間が経っていってそんなことないんじゃねーかって周りの様子から感じてったんだよ。父上達や叔父上達の様子だったりもそうだし、実際に俺よりアッシュの方がナタリアと結婚した方がいいんじゃみたいに言っても、それは駄目だって風に言われ続けてきてな・・・」
「・・・二人の方が似合ってるからそうした方がいいと思っていたのに、そんな主張が通らなかったのか・・・」
「叔父上としちゃ兄って立場にいる俺が普通なら次のライマの国王になるから、ナタリアをその相手にして女王って立場にしたいって気持ちもあったんだろうけどな・・・そこまで顔を合わせることは無かったけど、それでも叔父上がナタリアの事を大事にって感じにしてたのは覚えてんだ。でもナタリアが望んでた相手はアッシュで、そのナタリアは俺との婚約についてを決められた事だからって本心から喜んだ様子なんか見せなかったし、アッシュもアッシュで俺の事をすげぇ嫌うようになっていったんだが・・・本当は二人が一番にそんなもん嫌だって言いてー筈なのに、そんなこと決まったことだからってんで何も叔父上達には言おうともしなかった・・・でもそれはクロエの話を受けてから感じたこととして、あいつらとしちゃ俺よっかその状態に関して受け入れてたつもりなんだろうが、それで叔父上達が死んだってのもあるからっつっても俺に対してしかそういった事を遠回しにしか態度に現さなかった・・・だからだろうけど、俺が色々と不満を言うことが無駄だとかみたいな気持ちになっていったと思うんだよ。俺がんなこと言い続けてもなんの意味もねーんだって風にな・・・」
「「っ・・・」」
・・・そうしてルークが重い表情で語っていく自身から見ての体験に過去といった事からの気持ちを話していくのだが、その中身が当人だからこそ語れる事なのは確かだが・・・二人が思わず息を呑むくらいに重いモノであった。クロエが言ったことではあるが、ルークが諦めるには当然と言わざるを得ない程の中身だった為に。
「・・・つってもお前にはもう関係無い事だろ。一応お前はアッシュの婚約者を辞めるってことにしたんだしよ」
「そ、それはそうだがお前はどうにかしたいと思わないのか？自分の立場だとか色々なことについてを・・・」
「・・・それが簡単に出来るんならお前が言ったように諦めるなんて言葉が出てくるような状態になんてならねーってのを今俺が一番実感してんだし、ならお前がどうこう言えばどうこうなるかなんてのも立場的にも自由な立場になって、他国出身のお前の言葉を聞くなんて絶対貴族達がやるなんて有り得ねーとしか思えねーしよ」
「・・・確かに話に出たような貴族達がそんなことをクロエから言われた所で、はいそうしますと受け入れるなんて有り得ないでしょうね。むしろアッシュとの婚約破棄についてを明かした上でそんなことまでを切り出したなら、貴女に対しての風当たりは相当酷いことになるばかりか論点が貴女のやった事への批難へ移り変わる可能性の方が高くなるでしょう。ルークの立場をどうこうなんて問題をどうするかに焦点を合わせさせないためにもです」
「っ・・・だから私が何かを言っても何にもならないばかりか、むしろ余計なことになりかねないという可能性は極めて高いということか・・・」
「そうなると思われます」
ただルークはもうこの話題を終わらせようと切り出すとクロエは納得出来ないと抗議するが、ルークだけでなくジェイドも止めておくべきだと真剣に理由もつけて言ったことにたまらず苦い顔を浮かばせ納得するしかなかった。クロエの立場からではどうあがいてもルークの事をどうしようもないというか、むしろクロエが攻撃されるだけで終わる可能性が高いと言うことに。









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