始まる恋と分かる物を始まらせたいと願うか?

「ねぇ、クロエ。最近どうしたの?何かルークとアッシュの事をよく見ている気がするんだけれど」
「えっ゛」
・・・だがルークとアッシュにはバレずとも、近い位置でクロエと仲良くしていたシェリアにはその行動はバレていた・・・この辺りであまり嘘だったり秘密に行動するのが得意とは言えないクロエの行動が近しい者にバレるのは仕方無いというか、ある意味では必然であった。
そんなシェリアからの言葉にクロエはたまらずまずいと言った声を漏らしてしまうが、それでも何とか誤魔化そうと必死に言葉を紡ごうとする。
「あ、あー・・・ちょ、ちょっと最近あの二人の事を考えてたんだ・・・双子だというのによく喧嘩をしてるから何でなのかとな・・・」
「あら?そっちの方なの?私はてっきりルークかアッシュかのどっちかを好きになったのかと思ったけれど・・・」
「そんなことある筈ないだろう・・・ルークはまだしもアッシュに関してはその、ナタリアの事があるのはシェリアも知っているだろう?」
「あ~・・・確かにナタリアの事はね~・・・」
クロエが何とか二人が喧嘩ばかりの様子について考えてたと口にする様にシェリアはらしく恋バナかというよう嬉々と繋げようとするが、少し声を抑えてアッシュとナタリアについてを言われてすぐさま何とも言いがたげに表情を歪めた・・・恋バナ好きなシェリアから見ても二人の関係に関しては明らかに声高に話してもいいと見ることが出来ない、正しく地雷以外の何物でもなかった為に。
「分かってくれたならいいんだが、そういった事を考えていたからあの二人の事をちょっと見ていたんだ・・・あの二人は確かに双子なだけあって似たところがあるのも確かだが、どうにもあの仲の悪さだったりが気になってな・・・」
「そういうことかぁ・・・でもその辺りの気持ちっていうか実例があるから私は分かる気はするのよ。アスベルの事があったから・・・」
「ラントのこと?」
クロエは誤魔化しが成功したことに落ち着きを取り戻しつつ話を進めるのだが、そこでシェリアが複雑そうにアスベルの名を出したことに眉を寄せる。
「・・・この事は周りに言わないで欲しいんだけれど、アスベルにもヒューバートっていう弟がいるの。でもアスベルのお父さんがヒューバートを養子に出したことから、久し振りに再会した時にヒューバートがアスベルの事を敵視してたの・・・アスベル自身はその養子の事には口出しも何もしてなくて、今は亡くなってしまったお父さんがやったことなんだけれど、それでもヒューバートからしたらアスベルがいたからそうなってしまったって部分もあったと思ったからそうなったの・・・兄さんがいたからってことでってね・・・」
「そんなことがラントにあったのか・・・」
「えぇ。でも今はヒューバートとの仲は戻ったから私もホッとしてるんだけれど、あの二人はお父さんの事から行き違いもあったって分かったからそうなった・・・だからルークとアッシュの二人に関してはアッシュからの一方的な気持ちからっていうのは否定出来ない部分はあると思うけれど、二人もそういった行き違いっていう部分があるのは確かだとは思うのよ。と言ってもその行き違いの原因は全部じゃないにしても、ナタリアがルークの婚約者になったっていうのが結構な割合を占めているのは間違いないというのもね」
「・・・シェリアから見てもやはりナタリアの事が大きいと思うのか。二人の仲の悪さは」
「加えて言うならアスベル達の事を例えに出したように、二人の婚約を決めた人達も今のような状態になってほしいなんて思ってはいなかっただろうとは思うけど、本人達の気持ちや考えを優先しないことをしてしまったことにあると思うの。だからこそ今のような状態になってしまったとね」
「・・・そうだな。確かにシェリアの言葉を聞いてそういったように私も感じたよ・・・」
そこからシェリアがアスベルの家族の事も交えて自身がどう考えたのかについてを話していくその中身に、クロエも理解出来るという実感を込めつつ重く返した・・・実際クロエも望まぬ婚約をさせられてこうなっている身として、王族や貴族は上の意向に振り回されることはあることなのだと感じて。









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