「・・・その辺りはこれまでの話と同様周りに広めないようにしていただくということを前提に話しますが、そこはインゴベルト前陛下の意向が強かったこと及び、前陛下のその意向を大切にするべきだという方々の根強い声が数々あったからになります。これに関しては前陛下とルーク達の親であるファブレ夫妻が早くに亡くなるといった事もあって、亡くなられた前陛下の遺志を蔑ろにするな・・・という声がある上でナタリアは前陛下の意向が遺言のような形になったことで、彼女がルークとの結婚を拒否しない姿勢を見せていることもあって、もうライマの中では二人の将来的な結婚は揺るぐことはないと見られているんですよ。我々の間で認知されている不和だったり将来的な危険性に関してその人物達は決して当事者になろうとしないのに、その事から反する事に関しては声高にふざけるなと叫ぶだろうということからです」
「・・・それだけ前陛下の影響があったということか・・・」
「これが前陛下か最低でもファブレ夫妻が存命であったなら、ルーク達の婚約は当人達の状態からどうするかの見直しをすることも考えられた可能性もあったと思われますが、そうでないからこそ婚約解消というのはまずそういった方々の反発は起きることは間違いないと思われます」
「・・・そういうことから婚約解消といったことは容易ではないということなのか・・・」
それでジェイドが下手に言わないようにと前置きをした上で話す婚約に関するライマの中での裏事情に、クロエも何とも言いがたそうに納得するしかなかった・・・貴族として慣習だったりもだが忠節を貫くような美談といった行動を取る人物達が多いことは知っているが、自分がその立場に立つのなら楽だが相手側にそういった人物達がいることがどれだけ面倒なのかをクロエも分かった為に。
「んな話はもういいだろ。お前らが聞きたかったのは俺がいつもと違わねーかってことだって話だけど、そんな奴らの事とかあっから何も言わねーようにしといた方がめんどくさくねーって思ってただけで、俺もそうだしピオニー陛下もそんな将来面倒になるって分かりきってることに、クロエを巻き込むのはって思ったから言ったんだろうしよ」
「成程・・・よく分かりました。クロエの事を秘密にしなければならない傍らで貴方も貴方でどれだけ考えたかもですが、だからこそ貴方としてもクロエをそんなことに巻き込むようなことはと思ったのは」
「納得したか？ならもう戻ろうぜ。ちょっと時間かけすぎたからそろそろ戻らねぇといい加減怪しまれっと思うしよ」
「そうですね。では戻りましょうか」
そんな会話にルークは面倒そうに話を終わらせて帰ろうと切り出し、ジェイドも納得したのもあって二人は揃って出口の方に向かう。
(・・・カーティスは昔から考えていたということで納得していたが、やはりルークのアドリビトムで見せる姿と今のルークの違いはかなりの物だと思うのだがどうしてなのか・・・それが気になるな・・・)
そしてクロエも二人の後を追うように付いていくのだが、ルークの後ろ姿を見ながら何故なのかという考えに浸っていく。自身に対しての考えを聞いたからこそ、気になって仕方無いというよう・・・


















・・・そうしてバンエルティア号に戻ってきた三人は表向きは大して変わったことはないようにしつつ、ルーク達はアッシュ達他のライマ陣にバレないようにとライマへと手紙を送った。一応アッシュは婚約の事は当事者であるために知ってはいるのだが、他の面々もバレたら面倒だが特にアッシュにバレたらより面倒になるのは目に見えていた為に。

そんな風に手紙を送ってしばらくする中でクロエは適度に当人達にバレないくらいにルークもだが、アッシュの観察を行っていった。ルークだけを見るのもいいかと思ったのだがアッシュのことも見ていった方が色々と考えることが出来るのではないかと見てだ。









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