「そういうことになりますけれど、だからこそアッシュからすればナタリアの事を断ち切るなんていうような心積もりにはなれないのは私にも目に見えていますから、結婚に乗り気になれないというのでしたら早めにそう言われた方がよろしいと思いますよ。これに関しては慰めでもなんでもなくアッシュが不満を持たずに結婚するなんて図は貴女に限らずナタリア以外の女性が誰だろうと私には見えませんからね・・・ですからそうしたいならそうすると早く言わないと、アッシュの性格上自分は結婚には及び腰ではないと示すようにまだそうしないのかと催促し出す可能性が出てくると思いますよ」
「・・・あくまで役割だからということで結婚自体をしたくないと言っている訳ではないと示すためか」
「まぁ一応役割は役割だとそれを果たそうとするくらいには彼も王族としての自覚はありますからね・・・ただこれまでの話の中に出たよう結婚した所でナタリアとの許されない恋を吹っ切れるとは思えませんし、それこそ夫婦として愛し合うような生活など到底望みようはないと思います。むしろ自分との距離は自分の思う形で保てと子作りをする時以外は会話をすることすら稀でいて、アッシュが必要だからで勝手に来て勝手に離れていくといった距離感の生活を強いられる可能性すら有り得ると私は見ています」
「っ・・・嫌な想像だが、アッシュが変わらなければそういった生活になりそうだというのは私にも想像出来るが・・・一番想像したくないところだが、時間が経てば経つほどに二人が不貞を起こす可能性というものは大きくなっていきそうという不安感は否定出来なくなっていくだろうな・・・」
故にこそ断るなら早くするべきという考えを明かしていくジェイドにクロエも納得出来ると俯きつつも重く漏らしていくのだが、その中身にジェイドは意外そうな様子を見せる。
「・・・なんというか先程から思ってはいましたが、アドリビトムで見る貴女と随分と違う物だと感じますね。普段の貴女の様子から見たら今言ったような不貞の事だったりは言わないというか、むしろ考えることすら有り得ないというようなイメージだったのですが・・・」
「・・・確かに私としてもそんなことを普通だったら考えるようなことすらしなかったことだろう。だが言い方は悪いのを承知で言うが、私は国と国の仲を取り持つために売られた身だ。そしてその上でルークや陛下にも色々言われてきたことに加えて、アドリビトムで二人がどんな風に逢い引きしていたのかも見ている・・・そういったことから想いあうだけで結ばれる人達ばかりじゃないことは学んだし、二人が本当の意味で割り切れないだろう以上は不貞行為を起こす可能性は決して否定出来ないんじゃないかとしか思えなくなったんだ・・・むしろそうなるという必然を感じているくらいにな・・・」
「「っ・・・」」
そのままジェイドは自身がいかにクロエの様子を見て感じたのかと口にするのだが、甘い経験ばかりをしてきた訳じゃないこともだが何よりアッシュとナタリアの二人の将来的に起こしそうな行動について・・・それは必然的に起こり得る事と思っていると語ったその中身に、ルークも共に苦そうな表情を浮かばせるしかなかった。言ってしまえば二人も互いに結婚したと言うのにアッシュとナタリアが将来的に不倫に不貞行為を行う事を否定出来なかった為に。






・・・クロエは元来の性格的には正しくあろうとすることを基準にするが、その考え方も国に売られるような形でライマに送られた事で真っ直ぐな部分はいくらか曲がることになってしまった。ただそれでもアドリビトム内で真っ直ぐで向こう見ずな部分が目立つ人間というように見られているが、この辺りはこうあるべきと育ってきた元来の素質が簡単には変わらなかったからだ。

ただそれでも婚姻に関連するような事、それもアッシュに関してはもう完全にクロエの中では夢見るというか期待するような事はなくなると共に・・・ナタリアとの様子を見たからこそ考えたのである。将来的に互いに結婚した後に今のように密会した時、不貞行為を行う可能性はもう頭の中から振り払う事は出来ないと。そしてルークもジェイドもそれらを否定出来なかったのである。









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