始まる恋と分かる物を始まらせたいと願うか?

「・・・まぁ前に会った時はまだ何とでも変わる可能性ってヤツもねー訳じゃねーとは一応は思っちゃいたが、結果は見ての通りって訳だ・・・だからっつーのもなんだが、まだお前あいつと婚約を続けるってつもりはあんのか?」
「っ・・・言いたいことは分かるが、流石にここで今すぐに決めろというのはいくらなんでも気が早いだろう・・・それにピオニー陛下に話もせずに独断でなんていうようにやってしまうのも、色々な意味で問題になると思うのだが・・・」
「あー・・・確かにそう言われりゃそうか・・・」
そうしてルークが本格的に婚約を続けるか否かを投げ掛けるのだが、苦心という様子を見せながらもピオニーの名前を出したクロエに確かにと何とも言いがたそうに頭をかく。
「・・・わーったよ。取り敢えず今回の事に関しちゃ俺から陛下に手紙を送るから、お前はしばらくどうするか考えながら暮らしとけ。陛下もまさかアドリビトムでお前と再会するなんて思っちゃいないだろうし、この際だからって事で何か言ってくる可能性もあるからこれからどうするかとかどうしたいかって事をアッシュ達の様子を観察がてらな」
「・・・分かった。陛下からどういった返事が返ってくるかはまだ分からないが、そういったことを考えようと思う・・・」
そして考えをまとめて手紙を送って返事が来るまで考えろと口にするルークに、クロエも妥当としながらも力無く頷いた。偶然が生んだ事とは言え、色々と考えなければならないことが多い為に・・・



















・・・それでクロエはアドリビトムに戻ってそれまで通りに過ごしていくのだが、クロエはしばらくの間を何とも言い難い気持ちを抱く事になった。それはルークから言われたようにアッシュとナタリアの隠しているようにしているが、明らかに想いあっているといった様子を見ていったからだ。

一応というか前に会った時の事もあるがアドリビトムで久し振りで会った後に声をかけることすらしてこなかった態度に、自分に関心が無いことは十二分に承知している・・・だがそれでも本当に一応は婚約者であるからには将来的には結婚する可能性があるという事を認識しなければならないのではと思うし、ナタリアはルークという兄の婚約者なのだ。

なのにナタリア共々そんなアッシュはそんな背徳感もあって燃えてるとばかりに、本人達からして隠しているといったような様子でバレバレで想いあってるという様子を見せていた。この事に関してクロエは持ち前の正義感もあるから色々言いたいという部分もあったが、それでも何とか行動には起こさずに押し止める事は出来た・・・だがそれで更に心がざわつくというより、困惑せざるを得ない状況になったのはその光景がアドリビトムの他のメンバーの中でも暗黙の了解になっているということだ。

そういったことになっているのはいくつかの理由があるが、最もな理由が何なのかと言えば下手にアドリビトム内がゴタゴタに見舞われるような事態になるのを、所属している面々が自然と避けるようになっていったからだ・・・何せルークとアッシュの仲は双子であるというのにというか、双子であるからこそとばかりにアッシュがルークに喧嘩をしょっちゅう仕掛ける光景が日常的な物なのだ。それも険悪と言わざるを得ないレベルにである。

これに関してはアッシュがルークに対して一方的に近い因縁から取っている行動とクロエは見ているのだが、それと同時にアッシュが他のアドリビトムメンバーに対してルーク程ではないにしてもそこまで友好的な態度を取っている訳でもないということもまた見ていた・・・だからこそアッシュとナタリア、そしてルークとの関係についてを指摘もだがからかうようなことなどしたらアッシュの怒りがとんでもないことになるのは明白だから、普段ならふざける筆頭のメンバーでも二人の関係についてを刺激しないようにと暗黙の了解とする以外に無いのである。

実際この辺りで二人の関係についてを見た時におふざけを好むメンバーからも、クロエの性格的に色々言いたいかもしれないけれどアッシュが怒るから止めてというように言われていたのである・・・最早三人の事に関しては他のメンバーからしてもアンタッチャブルな領域にしないと面倒以外に無いからと。

・・・ただ本来あってはならないことを本人達が気遣われるという形で何も言われていないというだけで、隠しきれてない事をやっている・・・その事にクロエも何とも言えない気持ちを抱いていたのだが、そんな時にルークからピオニーの手紙が来たので少し時間を取って話し合おうと言われたことでクロエは頷き、誤魔化しのクエストに向かうことにした。









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