始まる恋と分かる物を始まらせたいと願うか?

『・・・今回の件に関してはお前の立場からすれば断れない、断りようのない婚約を持ち掛けられたんだろう。だからもし結婚するまでに結婚したくないと考えたのなら断っても構わないし、そうしたとしても俺が責任を持ってお前が以降に普通に生活出来るようにする・・・だから今はゆっくりと心を落ち着けろ。いいな?』
・・・ライマの国王陛下からかけられた言葉は貴族や王族などから出てくるには型破りな言葉遣いでありながら、あまりにも甘く優しい物だった。望まぬ結婚などしなくていいし、自分がどうにかすると。



『・・・あー・・・俺も一応陛下から話は聞いてっけど、無理すんなよ・・・まだ何か吹っ切れてねーって顔してるってのもそうだけど、あいつと合うかどうかってのもあるしあんまりすぐにどうこうしようとすんなって・・・』
・・・婚約者の双子の兄という人物に会えば複雑そうな顔をしながらまた王族らしくない口調ながら、気遣う言葉を向けてきた。



・・・正直な所として何故二人がそこまで親身にというか、結婚しなくていいと言うのかと疑問に少女は思っていた。だがその答えはすぐに分かることになった。



『・・・お前が俺の婚約者か・・・何をしている、顔合わせは済んだ。もう行け。結婚してからならまだしもまだそうするとは決まっていないのだろう。そんな奴と必要以上の時間を取る気はない』
・・・婚約者と会って台頭に話したなんて到底言えない、一方的に突き放すなんて言葉では生温い拒絶の言葉に少女は二人が言っていた事を理解した。将来的には性格に佇まいが矯正されることも決して無いとは言えないが、自身に対して関心も何もなく悪態のままに関係を持つ気はないとあからさまに見せるこの存在に、好印象を抱くなど無理だろうと見た上で事実その通りになったことに・・・



















・・・そうして婚約者と初めて顔合わせをした後で国王陛下と婚約者の兄と話し合った少女だが、今回の婚約に関しては婚約者当人にも話してはいるがいざ結婚という段になるまではごく一部のみにしか話をしていないため、その段になるまではライマを出る形を取って自由に暮らしていいし婚約を破棄したいなら先に言ったよう、断っても責任がないようにする・・・との国王からの言葉で少女は一先ずその言葉に甘えるというか、時間をもらうことにした。

ただなんでそのようにただ甘えるというようにしなかったのかと言えば、まだ少女の中に様々な考えがあったからだ。ここでただ陛下達の温情に甘えてしまうような事は良くないだとか、今はあのような様子でも王族の人間として大成するのではないかという希望もあるが、何よりそれでろくに我慢も何もせずスッパリ嫌です結婚しませんなんて言うのは良くないと見ての考えだった。例え自分の立場が丁度いいものと同時に厄介払いのどちらも併せたような物として婚約者にさせられたとしても、それでも亡き両親の事を想えばここで簡単に婚約を断ることは出来ないと。

そんな少女の葛藤に国王もなら仕方ないと言って、折衷案としてしばらくの時間ライマから出て自由に暮らしても構わないようにするから、時間を取ってどうするかを考えてこい・・・というものであり、少女もそれに従う事にしたのである。まだ結婚というようにするには年齢的に見て早すぎるということもあって、まだ本当にどうするのかというのを決定させるような段階に無いから、しばらく自由に考えられる時間を与えられたからこそ見聞を広めるためだったりどうするかを決めるためにも時間を使い、様々に動いていこうと・・・






















・・・そうして数年という時間が経ち少女、いやクロエ=ヴァレンスは成長をして仲間と共にアドリビトムというギルドに参加することになった。これは仲間達と共に行動をするためにアドリビトムに参加した方がいいというようにクロエも判断したからであった。

ただそこまでは良かった。問題だったのは何かと言えば、そのアドリビトムに自身の婚約者やその兄を含めたライマの面々もいたことだった。









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