英雄となった男の侵食

・・・ラムザがホッとした様子になったのは何故かと言えば、簡単に言うならルークに同情的になったからである。そしてそれはアルマもまた同様であった。

これに関してはアッシュの入れ換えの為にとファブレにルークを置いてから、前から交流があったラムザにアルマも時折様子見という形でファブレに行っていたのだが、そうして交流していく内にアッシュに対してではないルークに対する気持ちが芽生えていったのである。庇護欲だとかそういったルークに対して悪くないものがだ。

ただそうして過ごしていたラムザにアルマだったが、ダイスダーグ達の調べた結果もそうだがその策に協力して動いてほしいと頼まれた事に、二人はその中身を受け入れ協力する事にしたのである。話を聞けば聞く程にアッシュが元に戻ればナタリアの気持ちを無視してでもルークの排除をしようとしかねないことや、何の対策も無しに二人を元に戻すであるとかをしたなら他にもやらかしかねない可能性を大いに感じたこと・・・そして何よりルークを守るにはそういった事をするくらいでなければならないと感じてだ。

ただそうしてルークを守る為とは言え、アルマが後室という正妻扱いではなくアッシュ達にもよく思われないだろう位置に行くことに関して、ラムザ達もどうかという考えは無くはなかった・・・だがダイスダーグ達の報告を受けてルークを守るということに加えて、アッシュ達を野放しだったり無条件で信用出来る筈がないと思えたこともある上で、キムラスカの王族を増やすということは将来を見越せば政策的にやらねばならないということだと見たのである。

特に王族を増やすのはアッシュ達は約束はしても実際に行動に移さない可能性というものも有り得ない訳ではないし、かといって数を増やすためとは言えどこぞの誰とも分からない人物もそうだが、下手な貴族から適当な女性を見繕ってというのもルークの立場やら何やらを考えれば迂闊なことも出来る筈もない・・・だからこそアルマというルークに対して良からぬ考えを抱かないどころか、むしろ好意的に思う存在がちょうどいいという訳であった。アルマ自身もそういった話がなければいずれ貴族としての繋がりの為に好きでもない誰かとの政略結婚をさせられるかもしれなかったのが、ルークという気心も知れて他より全然悪くない相手だと思えるからこそそうすると決める形で。






「・・・まぁそういうわけだ。他の細々した条件は省くが二人は一応従うことにはした上で、ナタリア様はまだこちらに反意を見せるようなことはそうそうはないだろう。だがアッシュに関してはルークを引き合いに出す事は特にという形で、手放しで信用出来るものではないのもお前も分かるだろう・・・故にこれよりのルークとアルマの為にも二人は私達が守らねばならん。二人が子どもを安心して育てる事が出来る環境の為にも、もうアッシュ達が勝手に動くことが出来んという状況になるまではな」
「分かっています、ダイスダーグ兄さん・・・だからこそそれまで僕達が油断してはならないことは・・・!」
そうしてダイスダーグはこれまでの話をまとめるように自分達がこれからやるべきことについてを述べていき、ラムザはやる気を漲らせるように頷き返した。自分もその為に頑張っていくと。



















・・・それで話を終えたラムザはダイスダーグがもう今日は後は休むから出るようにと言ったこともあり、部屋を出ていった。









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