英雄となった男の侵食

「まずナタリア様だがこちらは出した条件を呑み込んだというか、呑み込まざるを得なかったというところだ。やはり城を抜け出したという事から陛下を始めとした諸々に悪印象を持たれているとのことや、私からの前置きの話を受けて下手な答えを返すようであれば冗談抜きに王女の立場を失うことになると見てだろうな」
「その辺りはやはりというか自分が行けば全て上手く行くと思っていたから、ということからですか」
「そうなるが、こちらが出した条件の一つである公務は渡した仕事のみを行ってもらい、政治に口出し及び参加する権限の剥奪に関しては流石に不満を口にしてきたが、そこはすぐに黙らせた。抜け出したこと以外は何も落ち度はないだろうと言わんばかりの様子であったが、不満だからに自分が行けばより良い結果になるからという独断で陛下の命に背いた件は同じようなことがあれば、また同じようなことを起こしかねないという懸念が陛下や我々にはある上で、それにすら従えんならもう王女殿下の地位を剥奪する方が手っ取り早いと見れると言ってな」
「それでナタリア様も黙らざるを得なかった、ということですか・・・でもそう聞くと兄さんが動いていなければそもそも今の時点で王女としていられないどころの話じゃなくなってることも、言われなきゃ一切考えないんじゃないかと思いますけど」
「そこについては話が長くなっても後がつかえているから何も言わずに済ませてはおいたが、あの方の頭の中にはそんなことなど一切なかっただろう。今不満を持てている現状がどれだけまだマシなのかなど、目の前の事にしか気が行かない事から僅かたりとて考えることなくな」
ダイスダーグはそこからまずはナタリアについてを話すのだが、その中身が発展していくにつれてラムザも共に呆れを滲ませたように漏らしていく・・・事実、ダイスダーグが動いていないと仮定したならナタリアが簡単に考えるだけでもアクゼリュスで死んでくれと望まれた上で、インゴベルトは頷かざるを得なかったという自身の死について一切考えてないのは確かだった為に。
「その点でもう一つ難色というよりは困惑を示した条件があるが、これはアッシュも同じようなものだった。やはりと言うか」



「アッシュが『ルーク=フォン=ファブレ』に戻るならナタリア様との一刻も早い子作りに勤しんでもらうというのは、二人にとっては色々と性急過ぎるのだろうな」



「え・・・ナタリア様は分かりますけど、アッシュはちょっとその辺りは意外な気がしますが・・・」
「・・・そこに関しては私も正直に感じたこととして意外だったと言わざるを得ん。神託の盾にいて荒事に慣れていたことからある程度はそういった事を見たりしてきた経験はあるのではと思っていたのだが、あの反応を見る限りではナタリア様への気持ちからそういった行為に関してを拒否してきたのだろう。そうでなければあぁも否定をしようとする事はなかっただろうからな」
・・・そうして次の条件はアッシュも含めて二人が微妙な反応をしたのかを話すダイスダーグだが、アッシュの反応に対してラムザも共に何とも言いがたいという様子を浮かべた。今までいた環境から性的な様子に対して慣れていないといった様子に。









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