「・・・だからテメェもそうだが、父上達もそんなことにしたくないなら俺にキムラスカに全部条件やら何やらを呑んで戻れと言いてぇのか・・・キムラスカの為にもと・・・！」
「大まかに言えばそういうことだ」
アッシュはそこから怒りを我慢するようにギラついた目と声を向けてその真意はこうだろうと漏らせば、ダイスダーグは肯定だと頷いて返した。
「ただ更にそこに加えて言うならナタリア様自身もアクゼリュス行きの際に無理矢理城を抜け出した件に関して、あまり良くない物として見られているというような話を先程にしてきたのだが、だからこそお前がキムラスカに戻らないことを断固として譲らんと言うならそうなる可能性は一層高まるだろう。我々がナタリア様の性格やらから何も言わなかった事実は確かであるが、それでも王命に逆らって勝手をした事実には変わりはない事から陛下達の不興を少なからず買ったことを聞いて、少なからず動揺を隠せずにいたのは確かだ・・・そこでお前が拒否を返した後の結末を聞いたならナタリア様が錯乱して今言ったような事になる可能性は決して否定出来んだろうな」
「っ！分かった！キムラスカには戻るしあの屑に関しても仕方ねぇもんだと思う！だからそんなことを言うな！」
しかし更に続けたいかにナタリアが拒否した場合にまずい事態になり得るのかの予想に、たまらないとばかりにアッシュは慌ててキムラスカに残ると口にした・・・何だかんだ言いはしてきたがナタリアに対しての気持ちが残っていたのも確かであって、そんなナタリアが自分のせいでまずいことになる事など望まないと。
「そう言ってくれる事はありがたい・・・と言いたいところだが、今から言う条件を聞いてから改めてどうするかを答えてもらう。こちらが出す条件はお前にとってあまり心地よくないものだということは確実だろう事から、それで嫌だと言うことも有り得ん訳ではないだろうからな」
「っ・・・！」
しかしそれで良し・・ではないとダイスダーグが条件についての前置きをしたことに、アッシュはそっと息を呑んだ。今までの流れからダイスダーグが大袈裟だとか冗談だというような事は言わないのは理解したために。


















・・・そうしてしばらくの時間をアッシュと話したダイスダーグは話を終わらせ、インゴベルトの元を訪れた後にベオルブの屋敷へと帰った。



「・・・お帰り、ダイスダーグ兄さん」
「ラムザ・・・戻ってきていたのか？」
「はい。ルークを指定された所まで連れていったことを報告に来たんですが、兄さんはどうでしたか？」
「概ね成功と言っていい。後はこちらが余程の失敗をしなければ問題はないだろう」
「そうですか・・・良かった」
・・・そうしてダイスダーグが私室に戻ると、そこにはラムザが待って立っていた。
出迎えの声を受けつつダイスダーグは自身の机に向かいながら話をしていき、成功と言うと共に椅子に座る姿にラムザは安堵といった様子を浮かべる。
「話はそれだけか？」
「あ、いえ・・・その中身の概ねの部分が気になるので、話してもらえませんか？元々アッシュがどんな風な様子かを聞いて、今後どういった行動を取る可能性があるかを踏まえたいと思ってここに来たので・・・」
「成程、そういうことなら話をしよう」
ダイスダーグはそれだけならもう出るようにというような言葉を向けるが、ラムザからすぐにそうではないという答えが来たことに話すと頷き返す。









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