英雄となった男の侵食

「・・・意地の悪いことを申し上げましたことについてはお詫び致します。ですがそのように自身の行動についての責任をどのように取るのかを考えているとは思えなかったことから、このように申し上げさせていただいた上で・・・そこで時間を取ってどのように責任を取られるのかを考えていただいた時の答えは、政務にこれまでより一層頑張りますというような実質的な罰などなく、意気込みを見せることが贖罪だというような物だという予想がつきました」
「そっ、それは・・・それでは駄目なのですか・・・!?」
「気持ちを奮い立たせるであったり持ち合わせる事を悪いとは申しません。ですが殿下の起こしたことはその気持ちを奮い立たせたが故に、陛下の制止を振り切って城を抜け出したというもの・・・具体的な罰でないこともありますが、それ以上に言われる事は私はこうするべきだと思ったからこうすると周りに陛下の制止の言葉があっても、同じようなことをされる可能性があるという懸念がどうしても捨てきれないとなるため、そんなことは許されないと言われるのがオチであると共に・・・もし仮にそれで同じような失敗をしたなら次からはもうこのようなことにはしませんからより頑張らせていただきますとなり、堂々巡りになる可能性が非常に高いと思われますので、それは私もですが陛下もとても認められる物ではないでしょうね」
「っ・・・!」
ダイスダーグはそこで一応の謝罪はしつつも時間を与えたならナタリアが考えただろう罪の償いかた・・・より一層頑張るという物は決して様々な意味で認められないとの言葉に、ナタリアは絶句といった様子を浮かばせていた。






・・・何かヘマをした際にどう責任を取るのかというような問い掛けをすることがあるが、これは当人にどれだけの事をしたのかの自覚及び解決の為の考えがあるかを考えているかを確認するものであるが・・・ダイスダーグからナタリアがそういった時にどんな答えを返すのかというのは、まず間違いなくそういったこれから頑張るからというもの以外にないと見ていた。

気持ちがあることを悪いと言うわけではない・・・だがナタリアの性格以上に王女殿下という立場を考えれば、そうするというように言ってしまえばその決定を覆せるだけの立場にいるのはインゴベルト以外にはいないのだ。なのに話に出たような事をして失敗をされればそれこそ次に取り返すという言葉で、駄目だったならそれでとなるのは目に見えている。

勿論そんなことをさせれば下の者達にも示しがつかない為にそうさせるわけにはいかないのだが、これからの話す中身の事を考えれば自分が頑張るからでどうにかと切り出してくるのもまた目に見えたからダイスダーグはそれは駄目だと切り出したのである・・・ナタリアは自分が王族としての自分に自信を持って活動しているが、その反面として王女殿下という立場から人に責められるだとか罰を与えられるといったような事は全く経験がなく、意外と責められ弱い部分があることをダイスダーグは見抜いていた。

そしてだからこそというべきかナタリアからしてみれば我が身可愛さと言うか、そのつもりはないにしても出来るだけ自分のダメージが無いようにと被害を抑える事を考えて動いたことだろう・・・これから言うことを考えれば尚更にだ。

しかし既にダイスダーグはそんな逃げはもう許さないというように仕込みは済ませたし、今から話す事が本題だというように考えている。それこそ自分が頑張るからということなどで到底許される筈のないし、釣り合いが取れる筈がない事を・・・









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