英雄となった男の侵食
・・・二人の会話の中で出てきたが、今ダアトのトップとして活動している導師イオンは本物の導師イオンではない。フォミクリー技術という技術を持って造られたレプリカの人間である。
しかしなんでそんなものを使ったのかに関してはこれもまた話に出てきたが、そんな風に偽物の人物を造ったのは有り体に言うなら本物の導師イオンが死去したことを秘密裏に誤魔化すためにこの技術を使いませんか?・・・とヴァンがモースに持ち掛け、それにまんまと乗ってしまった事にあった。
これに関してはヴァンがモースの預言が絶対大事と言いはするものの、結局の所として都合のいい事しか信じない性格や考え方をまんまと見越したからこその物だった。フォミクリー技術という物を秘密裏にではあるがモースも御用達という形にしたことにより、ヴァンが何故フォミクリー技術を持っているのかと突っ込まれる事のないようにした上で・・・他に何に使うだとか使ってきたのかについては気にしないだろうと見てだ。
その結果としてヴァン達とモース以外のほとんどのローレライ教団の人間が本物の導師が死んでいる事と、レプリカの導師が入れ替わっている事実についてを気付かないままに過ごしていた訳だが・・・それらについてを調べ挙げていたダイスダーグはヴァンにモース達関連を全て片付け終わった後で、ザルバッグに話をさせる形でダアトの首脳陣にそれらを明かした。そこにはレプリカの導師も同席の上でだ。
このレプリカの導師も同席というのは何故かと言えば、確かに導師はヴァンの一味に造られはした・・・しかしそれは導師の身代わりを黙って務めろと命じられただけで、厳密に言えば裏では実はヴァンやモースの部下だったみたいな立場ではなかったからこそだ。これは導師の偽物として入り込むにあたり記憶や人格までも元の被験者から引き継げないどころか、ある程度の知識は刷り込めても人生経験がないことから下手に複雑な関係を築くような事をしたなら、何処かしらで綻びが出かねない事が危惧されたからだ。立場的に上なのは導師の筈なのに、何で導師が頭を垂れているのかといった姿を見られる可能性も全く有り得ない訳ではないと。
故にモースからしたなら導師の身代わりとして入り込んだだけであると共に自分がダアトの実質的なトップだという自覚をオマケに持つことになり、ヴァンからしたら有事の際に無理矢理にでも協力させるための存在だからというよう認識していたのだが・・・そんな二人や配下の者達がキムラスカによって片付けられてしまった上で、残ってしまったのはそんなことを知らされないままに導師を本物として担ぎ上げてきた者達とその導師だ。
・・・そんな何も知らされずにいた者達からしたら、いっそ何も言わずにいてほしかったことだろう。ヴァンやモース達のやろうとしてきたことややってきたこと、そして把握していたことを全て明かされてキムラスカに排除されたローレライ教団からすれば複雑さこそはあるが、それでも両陣営・・・特にヴァン達の行動を止めてくれたことからキムラスカに反旗を翻すようなつもりは、少なくとも残った教団の上層部の面々の考えとしてはなかった。下手に世界を救ったキムラスカ、いやダイスダーグを始めとしたベオルブ家に対抗するのは愚行だという認識だった為に。
だがそこで更に導師の事実を明らかにされた上に導師当人が事実だと認めたことに、教団の上層部はどうするのかと混乱と共に議論していくのだが・・・そこで出てきた結論は要約すれば出来る限りは言うことを聞きますから導師の事は言わずに済ませておいてください、というものだった。
これは教団にヴァンやモース達がいなくなったことから兵力に士気が相当に失われていることもそうだが、ここで被験者の導師が実は二年前に死んでてヴァン達により偽物にすげ替えられた導師になっていた・・・なんて明かされたらただでさえ良くない事が起き続けているダアトに更なる混乱が起きかねないのが目に見えているからだ。
故に上層部はもう事実は言わないようにしてほしいと願うのだが・・・そうして今の教団の上層部達が苦心する事になっていることに二人は皮肉な物だと考えたのである。人の死という預言に詠まれていたであろう事を誤魔化してねじ曲げようとしたことについてで、その騙す側に立っていた者達が今苦しんでいるということに。
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しかしなんでそんなものを使ったのかに関してはこれもまた話に出てきたが、そんな風に偽物の人物を造ったのは有り体に言うなら本物の導師イオンが死去したことを秘密裏に誤魔化すためにこの技術を使いませんか?・・・とヴァンがモースに持ち掛け、それにまんまと乗ってしまった事にあった。
これに関してはヴァンがモースの預言が絶対大事と言いはするものの、結局の所として都合のいい事しか信じない性格や考え方をまんまと見越したからこその物だった。フォミクリー技術という物を秘密裏にではあるがモースも御用達という形にしたことにより、ヴァンが何故フォミクリー技術を持っているのかと突っ込まれる事のないようにした上で・・・他に何に使うだとか使ってきたのかについては気にしないだろうと見てだ。
その結果としてヴァン達とモース以外のほとんどのローレライ教団の人間が本物の導師が死んでいる事と、レプリカの導師が入れ替わっている事実についてを気付かないままに過ごしていた訳だが・・・それらについてを調べ挙げていたダイスダーグはヴァンにモース達関連を全て片付け終わった後で、ザルバッグに話をさせる形でダアトの首脳陣にそれらを明かした。そこにはレプリカの導師も同席の上でだ。
このレプリカの導師も同席というのは何故かと言えば、確かに導師はヴァンの一味に造られはした・・・しかしそれは導師の身代わりを黙って務めろと命じられただけで、厳密に言えば裏では実はヴァンやモースの部下だったみたいな立場ではなかったからこそだ。これは導師の偽物として入り込むにあたり記憶や人格までも元の被験者から引き継げないどころか、ある程度の知識は刷り込めても人生経験がないことから下手に複雑な関係を築くような事をしたなら、何処かしらで綻びが出かねない事が危惧されたからだ。立場的に上なのは導師の筈なのに、何で導師が頭を垂れているのかといった姿を見られる可能性も全く有り得ない訳ではないと。
故にモースからしたなら導師の身代わりとして入り込んだだけであると共に自分がダアトの実質的なトップだという自覚をオマケに持つことになり、ヴァンからしたら有事の際に無理矢理にでも協力させるための存在だからというよう認識していたのだが・・・そんな二人や配下の者達がキムラスカによって片付けられてしまった上で、残ってしまったのはそんなことを知らされないままに導師を本物として担ぎ上げてきた者達とその導師だ。
・・・そんな何も知らされずにいた者達からしたら、いっそ何も言わずにいてほしかったことだろう。ヴァンやモース達のやろうとしてきたことややってきたこと、そして把握していたことを全て明かされてキムラスカに排除されたローレライ教団からすれば複雑さこそはあるが、それでも両陣営・・・特にヴァン達の行動を止めてくれたことからキムラスカに反旗を翻すようなつもりは、少なくとも残った教団の上層部の面々の考えとしてはなかった。下手に世界を救ったキムラスカ、いやダイスダーグを始めとしたベオルブ家に対抗するのは愚行だという認識だった為に。
だがそこで更に導師の事実を明らかにされた上に導師当人が事実だと認めたことに、教団の上層部はどうするのかと混乱と共に議論していくのだが・・・そこで出てきた結論は要約すれば出来る限りは言うことを聞きますから導師の事は言わずに済ませておいてください、というものだった。
これは教団にヴァンやモース達がいなくなったことから兵力に士気が相当に失われていることもそうだが、ここで被験者の導師が実は二年前に死んでてヴァン達により偽物にすげ替えられた導師になっていた・・・なんて明かされたらただでさえ良くない事が起き続けているダアトに更なる混乱が起きかねないのが目に見えているからだ。
故に上層部はもう事実は言わないようにしてほしいと願うのだが・・・そうして今の教団の上層部達が苦心する事になっていることに二人は皮肉な物だと考えたのである。人の死という預言に詠まれていたであろう事を誤魔化してねじ曲げようとしたことについてで、その騙す側に立っていた者達が今苦しんでいるということに。
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