英雄となった男の侵食

・・・今二人は普通に話しているが、こうしてザルバッグがベオルブの家に戻るまでに様々な事が起きたというか、起こしていった。それは今後の事を考えればモースもそうだがそのモースを筆頭にして反逆者していった者達であるヴァン達についてを、有り体に言うなら片付けていく形でだ。

しかしそれを最初から公言というか、敵として見て動くというようにしていった訳ではない。ましてキムラスカ全体で動くようにしていたわけでもない。そういったことをダイスダーグは最初はベオルブと自身の手の者だけで行ってきた・・・これは後々の話になるからここでは詳しくは話さないが、以前からダイスダーグは預言やダアトに対して様々に思うところがあったが為だ。

その為にダイスダーグやその手の者が動いていくのだが、そうして集まっていくモースもだがヴァンの行動の数々の情報により、次第にダイスダーグはその行動の規模を極秘に広めていった。自分の手の者から自身の兄弟達、キムラスカの王族達というよう段階的でいて極秘に協力者を増やす形でだ。

これはその中身が考えも無しに広めるような事をすれば相当な問題が色々と起こりかねない事もあるが、何よりダイスダーグからすればその後の事を考えていたのもあってそこで失敗出来ないと思っていたから、慎重でいて確実に味方を増やしていこうと思ったが故だ・・・そしてその結果として揃ってダイスダーグの行動に賛同し、それまで信頼してきたモースやヴァン達を有り体に言うなら始末する方へと舵を取ることにしたのである。

そうしてキムラスカの王族という国を動かす面々の協力が得られる事になったダイスダーグは時が来るまでに裏で存分に動いていき、いざモースにヴァン達が動くとなったその瞬間に不意打ちを食らわせる形で両者もだが、その両者に従う面々を一気に始末であったり捕縛をしていった。

そしてキムラスカ軍の代表としてザルバッグはダアトやユリアシティという預言保守派にとっての聖地とも呼べる場所に赴き、モースにヴァン達のやってきたことややろうとしてきたことをぶちまけてきてダアトやローレライ教団の人間を黙らせてきた訳である。ダイスダーグの望みを呑み込ませるような形にしてだ。

ただダアトにローレライ教団が何故ダイスダーグの望みを呑み込むというような事を選んだのか・・・これに関してはヴァンがやったことが大いに関係していた。ザルバッグとの会話に出ていた導師とレプリカというこの二つのキーワードが。






「そもそもの事を言うならヴァンがフォミクリー技術をディストを見付けて使うことを思い付いた上で、モースがまんまと乗せられてしまったことが色々な意味で間違いの始まりだったのだ。特にダアトもそうだが預言保守派にとってはな」
「確かにそれは言えることでしょうね。本来なら預言保守派として一貫した行動は何かと言えば、被験者の導師が死ぬと預言にも出ていたのは確かだった筈なのに、ヴァンの甘言により導師の血脈が絶たれないことや混乱に見舞われないということにばかり着目してフォミクリー技術を使うことを選んでしまった・・・そして最早今更本物の導師は既に死んでいたというように発表することすら出来なくなったばかりか、それを明かされまいと兄上の言うことに従うしか無くなってしまったのですから」
そんな中でダイスダーグがフォミクリー技術についてを話題に出すと、ザルバッグも気を取り直して同意とばかりの声を返す。









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