英雄となった男の侵食
・・・ベオルブ家。キムラスカにおいて王族を除いた貴族の中で一番に名前が挙がる貴族はどこかと問われれば、まずベオルブが挙がる。それは何故かと言えばベオルブの人間が代々粒揃いの人間であったこともそうだが、前当主であったバルバネスの強さがあったからだ。戦いに出れば天騎士という異名に相応しい唯一無二の活躍を見せ、平時においても民の為に動いていたことから貴族が模範とすべき貴族というように呼ばれて慕われていた。
だがそんなバルバネスは結果としては戦死した。病魔に犯されていたにも関わらず、戦場に赴いたことによりだ。その為、ベオルブ家の当主の座は息子のダイスダーグに受け継がれる事になったのだが・・・ダイスダーグもそうだが弟であるザルバッグもキムラスカの軍でもだが、貴族内でも高い評判を得られた。何故ならダイスダーグも軍に入って成果を挙げたが本人の資質もあって軍師になった上で、ザルバッグが入れ替りで軍に入るのだがそのザルバッグもまた将軍となる程に成果を挙げたからだ。その結果としてベオルブの名は一層高名になっていった。
その上で貴族の中でも高い評価を得られているのは主に軍を率いて戦うことを得意としていたバルバネスに対し、軍師という立場には立てども戦のない時の立ち居振舞いやら公務への取り組みなどはダイスダーグの方が上だというように活動していたからである。そしてそんなダイスダーグの活動に対しての王族の覚えも非常にめでたいということも加わり、キムラスカ内でダイスダーグというかベオルブ家に歯向かう方が愚かというような暗黙の了解があった。
だがそのように高い評価を向けられているダイスダーグであるが、そんな彼が裏で何をしているかを知る者はほとんどいない上で、更にはその真意が何であるのかを知る者は誰もいなかった・・・
・・・ND2018年。この年はダアトというか預言保守派もそうだが、その預言保守派や預言を信奉する者達を忌み嫌う者達がこぞって行動を起こす為の年だった。これらの行動は預言保守派達からしても、忌み嫌う者達にとっても止められる筈のない行動であった。しかしそれらの企み全てを止めた者達がいた・・・それがダイスダーグの指示の元で動いていたベオルブ家の者達である。
「・・・兄上、ただいま戻りました」
「帰ってきたか、ザルバッグ・・・本来なら役目ご苦労であるとか疲れている所だろうから休めと言うところだが、報告を頼む。手紙では書ききれなかった分もあるだろうし、何か戻ってくる間にあったならそれらも含めてな」
「はっ」
・・・ベオルブ家の執務室にて。
仕事用にあつらえた豪華な机に備え付けられた椅子に座っていたダイスダーグは、入室してきたザルバッグから受けた挨拶もそこそこに詳しい報告をと早速要求する。
「まずマルクトに関してですが予想していた通りにこちらの思う通りになりました。やはり向こうとしても預言の真実を知ったこと及び、それらの影響を受けない真の和平を結びたいというのは確かだったのでしょう。現にピオニー陛下に会いましたところ非常に私達を歓迎してくれた上で、兄上へよろしく伝えてくれとのことでした」
「・・・我々への疑いといった物は見えなかったか?」
「家臣に死霊使いといった面々にはそういった様子はありましたが、ピオニー陛下にはそのような事はありませんでした。この辺りは腹芸がうまいか本心だけで話しているかはともかくとしても、こちらが更に今の状況から裏切りの行動を取るような事はしないと見ての剛毅な態度と私は見ました」
「ふむ・・・それだけの人物とお前は見たか」
そこからザルバッグがマルクトというか出会ってきたピオニーについての話を口にしていく様子に、ダイスダーグは納得という様子を浮かべていく。
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だがそんなバルバネスは結果としては戦死した。病魔に犯されていたにも関わらず、戦場に赴いたことによりだ。その為、ベオルブ家の当主の座は息子のダイスダーグに受け継がれる事になったのだが・・・ダイスダーグもそうだが弟であるザルバッグもキムラスカの軍でもだが、貴族内でも高い評判を得られた。何故ならダイスダーグも軍に入って成果を挙げたが本人の資質もあって軍師になった上で、ザルバッグが入れ替りで軍に入るのだがそのザルバッグもまた将軍となる程に成果を挙げたからだ。その結果としてベオルブの名は一層高名になっていった。
その上で貴族の中でも高い評価を得られているのは主に軍を率いて戦うことを得意としていたバルバネスに対し、軍師という立場には立てども戦のない時の立ち居振舞いやら公務への取り組みなどはダイスダーグの方が上だというように活動していたからである。そしてそんなダイスダーグの活動に対しての王族の覚えも非常にめでたいということも加わり、キムラスカ内でダイスダーグというかベオルブ家に歯向かう方が愚かというような暗黙の了解があった。
だがそのように高い評価を向けられているダイスダーグであるが、そんな彼が裏で何をしているかを知る者はほとんどいない上で、更にはその真意が何であるのかを知る者は誰もいなかった・・・
・・・ND2018年。この年はダアトというか預言保守派もそうだが、その預言保守派や預言を信奉する者達を忌み嫌う者達がこぞって行動を起こす為の年だった。これらの行動は預言保守派達からしても、忌み嫌う者達にとっても止められる筈のない行動であった。しかしそれらの企み全てを止めた者達がいた・・・それがダイスダーグの指示の元で動いていたベオルブ家の者達である。
「・・・兄上、ただいま戻りました」
「帰ってきたか、ザルバッグ・・・本来なら役目ご苦労であるとか疲れている所だろうから休めと言うところだが、報告を頼む。手紙では書ききれなかった分もあるだろうし、何か戻ってくる間にあったならそれらも含めてな」
「はっ」
・・・ベオルブ家の執務室にて。
仕事用にあつらえた豪華な机に備え付けられた椅子に座っていたダイスダーグは、入室してきたザルバッグから受けた挨拶もそこそこに詳しい報告をと早速要求する。
「まずマルクトに関してですが予想していた通りにこちらの思う通りになりました。やはり向こうとしても預言の真実を知ったこと及び、それらの影響を受けない真の和平を結びたいというのは確かだったのでしょう。現にピオニー陛下に会いましたところ非常に私達を歓迎してくれた上で、兄上へよろしく伝えてくれとのことでした」
「・・・我々への疑いといった物は見えなかったか?」
「家臣に死霊使いといった面々にはそういった様子はありましたが、ピオニー陛下にはそのような事はありませんでした。この辺りは腹芸がうまいか本心だけで話しているかはともかくとしても、こちらが更に今の状況から裏切りの行動を取るような事はしないと見ての剛毅な態度と私は見ました」
「ふむ・・・それだけの人物とお前は見たか」
そこからザルバッグがマルクトというか出会ってきたピオニーについての話を口にしていく様子に、ダイスダーグは納得という様子を浮かべていく。
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