きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

そんな自身の本音を明かさないことに関してはさておきとしても、ジャキは主にガイと共にファブレで過ごしていく中でガイと違い庭師としての役割を負っていることから、特にガイ以外の誰かと話すことが無いことを怪しまれること無く成長していった。子どもにしては無愛想といったような態度も庭師だからこそ進んで会話をしなくてもいい立場にいたし、たまに話し掛けられることがあれどもその時に気を付けた話し方をすれば多少影があるくらいは別にいいと許容範囲と見られてだ。

ただガイやたまに来るヴァンとしてはそんなジャキに関してどうにか明るくならないかというように接してきたのだが、そこに関しては効果は今一つなかった。これはジャキ当人の性格もあるが、むしろジャキとしてはうまくいっている二人が変に変貌しないようにと気付かせない程度に気を張っているのもあって、それらの行動はあまり意味がなかったのである。

ただそれでもそんなジャキが今のガイやヴァンを手放しではなくとも、今としてはある程度は信用しているのもまた確かではあった。何故なら予知で見たガイやヴァンの姿から考えたなら、今の二人のルークに対する姿勢は雲泥の差であったからだ。

それが特に顕著だったのはヴァンの方である。予知で見たヴァンの姿というかルークに対する姿勢は表向きはさも師匠としていい顔をしていたが、その実は預言を欺く為だけに使い捨てるレプリカごときに向ける情はないといったような事を平然と言えていたのだ。そしてその他にも様々に自分達の考えを押し通そうとして犠牲にしてきた・・・これらを考えれば今のルークに対して本当の気遣いを持てるヴァンの方が断然に信頼出来るとジャキからは言えた。

その上でならガイは断然にヴァンよりマシなのかと言えるかというと、そうでもないのがジャキが予知した場面にあった・・・ジャキが見た予知にはファブレに入り込んで復讐の機を伺っていたが、その時のヴァンはガイに自身の計画については明かさぬままに事を進められてルークとアッシュの入れ換えを何も知らないまま行われた後、そのルークと接する内に復讐するべきかと迷うようになっていったのだ。

端から聞くなら復讐を思い止まれるのはいいのではないかと思うかもしれないが、そうして迷うだけ迷いどちらに転ぶか分からないという状態のままが続くその姿は予知が出来るジャキからしても、どちらに転ぶか分からないくらいに気持ちが固まっていないのである。それこそ少しのきっかけでどちらにもなり、どちらになったとしてもまた切っ掛け一つで逆を選びかねないくらいにグラグラしていて、それこそ予知の中身がこうなると安定しないくらいだったのだ・・・そんな物を見てしまったジャキからすればヴァンもヴァンだが、ガイをどうにか下手な行動を起こさせないように気持ちを固めさせた方がいいと思うのは、自身の気持ちの安寧の為にも当然の判断であった。下手に放っておけばヴァン以上の爆弾になりかねない可能性を潰すという意味でも。

そんな悪い意味で予測のつかないガイであったが、今はもうファブレをガルディオスの敵として見ていないこともあってであるが、安定した様子を保ったままルークを始めとした人々とその狙いについてを隠しつつも穏やかに交流している・・・そう確認していった時は本当にジャキはらしくなく安堵した物であった。これで後顧の憂いが一つ消えたと。









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