きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

・・・このルークを拐うという考えについて、ヴァンから聞かされた面々は揃って驚愕するしかなかったし理由を詳しく聞いていった。そうするとヴァンから返ってきた返答は要約すればこういうものであった・・・マルクト内でもダアト内でもキムラスカ内でも行動している者がいるが、上層部に自身らの手が入ってない勢力はキムラスカだけであり、もし預言の中身を覆すことが出来たとしてもキムラスカとの関係が悪いままであるならと考えると、預言に関係無く戦争までとは言わずとも小競り合いが続く関係のようなままになるのは望ましくない・・・ならばこそと考えたのがスカウトしてきた中にサフィールというジェイドの幼馴染みであり研究者が有しているフォミクリー技術を用いて、ルークを拐った上で偽物を作り出して代わりの存在をファブレに置いて本物のルークは自身の元に置いて預言やらの話を教え、こちらに付くようにした上で預言のようにしないようにしてからキムラスカに返す予定だと。

そんな話の中身にジェイドがフォミクリー技術を使うことに特に難色を示したのはガイ達も後に聞いたが、それでも今後の事を考えればキムラスカとの関係に関しての取っ掛かりを作ることとのメリットとデメリットを考えた上で、サフィールとどういう関係で技術を提供してもらっているのか・・・といった風な話をヴァンとしたことで、かなり渋々といった様子で頷いたとも伝えられた。

それでその渋々といった中身はサフィールに対してはフォミクリー技術を研究出来る環境に資金を提供する代わりに、自身らにそれらが必要な時に使うように提供してもらうというようにした上で、サフィールには預言の中身についてを明かしてその中身を覆せないならどう足掻いてもその滅びまでしか生きられない・・・というように言ったことでヴァンに協力しなければならないとサフィールが事態の重さを感じて、預言を覆さなければ自分の目的が達成出来なくなるからというものであった。

この中身にサフィールが協力した理由が利己的であることにジェイドは難色を示したのだが、それでも理由が理由であるためにここで協力する方がいいと判断するくらいには預言を盲信せず、理知的にヴァンに協力すると選んだことから渋々と受け入れたのである。フォミクリー技術を用いる事に拒否感はあれどキムラスカの上層部に食い込めていないのは確かであったから仕方無いものと見るが、その代わりとして預言の覆しが成功したならちゃんとヴァンやガイ達が二人の『ルーク』達についてを責任を取るようにすれば、それらは呑み込む事にすると・・・ちなみにサフィール当人に関しては事が済めば即刻逃がさず捕まえた上で、フォミクリー技術に関して封印させるとジェイドは断固として決意を固めているのは余談である。

・・・そうしてフォミクリー技術を使い入れ換えの事を進めることを決定させたヴァンは、バチカルから離れたキムラスカの領内にあるベルケンドという街に研究という名目で連れていかれたルークを秘密裏に拐い、別の場所に連れていった上で偽物のルークを造り出してその偽物のルークをその場に置き、本物のルークはヴァンの元に連れていかれたのである。

そんな偽物のルークが今『ルーク』としてファブレに誘拐の際のショックで赤ん坊同然の状態になったがそれでも『ルーク』なのだからということで受け入れられ、本物の『ルーク』に関しては最初こそはヴァンの言葉を信じられないというように言ってはいたが・・・誘拐されるまでの付き合いでヴァンの事を下手な屋敷の人間より信頼をしていったこともあるが、何よりもキムラスカ側が本物の『ルーク』をベルケンドで研究をするような判断を下した事が自分の持つ力・・・預言に詠まれていた戦争のきっかけになる力を調べるためだったということに、その預言通りになれば自分がその街と共に死ぬことになるという可能性やそれらを報せず済ませようとしていたことを考えると、一概にキムラスカを信用出来ないとも漏らしていたとのことだった。









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