きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

・・・話を戻してそんなラルゴを始めとして、ヴァンが神託の盾として動く傍らで様々に教団に対して強烈に想うところがある人物達をスカウトしていくのだが、そんな中でサラは神託の盾としてではなく敢えて一般の教団員として目立たないように活動をしている。これは元々から性格的に荒事に向いていないサラの性質もあるが、ヴァンの側にだけ人員がいても情報は片寄る可能性が高いしジャキの事もあって、戦うことが必要になるような危険なことに関わるような事にはさせない方がいいと見られてだ。

そんな風にサラは表向きは関係無いというような位置にいるが、それでもダアトの中にいることからヴァンと接触することは度々あるためにサラの事はジャキに伝えられていっているし、ジャキも自分の事を伝えているのである。ジャキが幼い頃からサラと離れて活動しているという事もあるが、二人共に会えない時間は多くとも姉弟として思いあっているからこそ。






「・・・おっと、そろそろ仕事の時間だな。庭に出るか」
「あぁ。一応分かってはいるだろうが、周りの目に注意しておけ。ルークに色々と気を揉みたい気持ちは知っているが、他のファブレの面々と関わりすぎる事に印象を悪くするのは後々に繋がりかねんからな」
「あぁ、分かっているさ。後々にアッシュがこのファブレに戻ることについても考えれば、俺の印象が悪くなるのは良くないから慎重にというのはな」
ただそろそろ仕事にという話をガイが切り出したことにジャキが注意を口にするのだが、理解していると言いつつも余裕を持った笑みを浮かべる様子に何も言わず軽く目を閉じるといった程度にジャキは反応を抑えておいた。端から見れば楽観的な態度に呆れているようだが、長年の付き合いから口や態度が軽いように見えても言ったことは反故にはしないのはジャキも知っているために。






・・・そんな形でヴァンが神託の盾の中で自身に味方をしてくれる者を徐々に見付けつつ動く中で、実際にヴァンは高くした地位を以てバチカルまで来ると共に、ダアトや神託の盾の人間としてキムラスカとの友好の証といったように来訪の際はファブレの子息であるルークを鍛える・・・というようになったと表向きは言って、ファブレの屋敷を訪れることになっていった。

だがそれはあくまでも言ったように表向きであってヴァンが預言保守派へと伝えた思惑としては、預言に詠まれているキムラスカとマルクトの戦争のきっかけがルークによる物だから、バチカルに度々自身が訪れルークに会うことで預言を守るためにと暗に上層部に示すこともだが、預言を達成する際に自分がルークを連れていくと共に信頼を勝ち得ることで疑いを持たせず逃がさないようにする・・・といったように伝えた。

この中身に関して預言保守派やユリアシティの者達はあっさりと納得したが、これは勿論というか本当の目的ではない。ならその本当の目的は何かという話になるが、これはガイ達と時々でもいいから顔を合わせに来るため・・・というわけではないし、ガイ達もその目的についてはちゃんと聞いている。

ならその目的は何かと言えばだが・・・手段は流石に良くないとは認識はしつつも、預言に詠まれた存在であるルークについてを拐う為であった。









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