きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

・・・ホドの消滅が真の目的ではあるが、表向きとしてはホドを侵攻する以上ガルディオスを滅ぼさなければキムラスカ側の面目は保たれないだろうし、下手に逃げ切ることに成功されて以降も生きていたとなればガルディオスはキムラスカから目の敵にされることが懸念された。

故にガルディオスは預言に詠まれた内容もあって表向きは死亡したことにし、マルクト側もそうする方がいいとなったことで偽装死亡工作をすることになったが・・・これに関しては案外と楽に進んだ。要はキムラスカ側としてはガルディオスが死んだというような状況があればいいということであって、死体を確認しなければならないという訳ではないのだ。

だからガルディオス側がやったことは屋敷に侵攻される前に早目に皆屋敷から撤退した上で、屋敷にキムラスカ軍が近付いたら屋敷に大量に配置しておいた火薬に遠くから着火して屋敷ごと大爆発させて、死体など欠片も残るはずもない状況にすればいいとしたのだ。

そして実際に屋敷をキムラスカ軍の攻撃に混ぜる形で爆発させることに成功させ、遠くに離脱していたガルディオスの面々は屋敷が無くなったことに苦痛そうな表情を浮かべていたが、それでもガルディオスは全員亡くなったというよう印象付ける事に成功して・・・無事にガルディオスの関係者は生き残る事になった。

ただこうして生き残る事に成功したはいいが、ジャキが預言を詠んだ中身として本来ホド戦争で生き残っていたのはガイラルディアにペールギュント・・・そして事情があって場にいないフェンデ兄妹くらいであって、予知の映像としてガイラルディアがペールギュントと共にファブレへと復讐の為に入り込むといった物が見えた・・・と聞いた時にガルディオスの面々は揃って表情を歪めるしかなかった。確かにもしそんな状況になっていればガイラルディアが復讐心を抱いてもおかしくないと、そもそもの大本は教団の預言保守派が預言の為にホドを滅ぼさせるようにしたことを考えれば、今となってはキムラスカよりもダアトに対しての不信感が断然に強いが為だ。

ただそんなガルディオスの面々に対してジャキは復讐の為ではなく、これからの為にファブレに入り込んだ方がいいと勧めた。今の気持ちは置いておいてファブレに入り込む方が、簡単ではないにしてもキムラスカの情報もある程度マルクトに流せるだろう上で、預言に詠まれているのだからその事を逆手に取って考えるならファブレからしても人手を欲してるし向こうに詠まれる預言の事もあるだろうから、入り込むことは容易だと考えられると。

そんなジャキの子どもながらも冷静でいて理屈的な言葉にガルディオスの面々はしばらく会議をしたのだが、その結果としてガイラルディア改めガイは名前を変える形でファブレに入ることになった。これはガルディオス側としては生存をマルクト側に黙ってもらうことにはなったが、ずっとそうしてもらえるだけのメリットが何かを提示しなければ表に出ろと言われるだけならまだしも、無駄飯食らいはいらないと切り捨てられる可能性も決して無いとは言い切れないというのが主な理由であった。

これはホドの民の多数の命が助かったという成功があっても、その多数の数は馬鹿に出来ない程に多いものであった。一応この民の受け入れに関しては働く場としては主にエンゲーブの土地の開拓及び食料生産ということで、数年経てばどうにか取り返しどころか更に豊潤な食料が安定して作れるようになると見込まれているが、ガルディオスは領主としてどうするのかという話になるからだ。

一応ガルディオスの面々としては領主としての誇りもあって自分達も役に立てると言いたいところだが、表向きは生存を明かせない以上貴族として役に立てないならその立場を捨ててもらわねばならないと言われる可能性は十分に有り得る・・・だからそういった形でガイが情報を流せば一概にはそう言われないと見られるだろうと考えたのだ。

そしてそんな決定をジャキに伝えると、それならと本来共にファブレに入る筈だったペールギュントの代わりに自分がファブレに入るとしたのである。預言の中身も予知も相当先の事が見えてない以上、もしもガイの死が先に詠まれていたり見えることになったらすぐに逃げ出すようにするからと。









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