きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

「しかし偽名を名乗ってファブレに入り込むなんて、今となってもよくそんなことを言えたなと思うよ」
「預言を詠むとお前がファブレに入り込むようにといった中身の物が詠まれていたからな。大方本来のホド戦争の中で生き残ったお前が復讐の為に入り込もうと思った行動は預言にも詠まれていたんだろうが、これを利用した方が後々の為にいいと見たからこうして私も共にファブレの屋敷に共に入り込んだんだ」
「まぁ確かに今となっちゃこれで正解だと思うよ。色々な意味でな」
ただそんな流れからこのファブレにいることについての話題を振るが、ジャキが平然と返す様子に微笑を浮かべる。言うことを聞いて良かったと。






・・・ホド戦争が始まるとなった頃には、ガルディオスに近しい者達の間ではジャキの事は信頼すべき存在であると共に、秘匿されて守るべき存在という認識となっていた。マルクトの上層部にもその事は最初の内は報せないようにする形でだ。

そんな形を取った理由についてだが、これは当時のマルクトの上層部の者達がジャキの事を知ればガルディオスの守りより、攻めてきたキムラスカの迎撃するための行動に予知を優先して出すようにとの懸念があったからだ。

だがキムラスカ以上に預言の達成の為にダアトが動くことを目的とすることからその行動が過激になることを警戒してもあるのだが、一応というかダアトはその目的を表向きは隠しているのもあって完全な敵国というか敵ではないというような扱いにせざるを得ないのだ。この時点で混乱した戦況で戦うならまだしも完全にそういったように扱ってしまえば、内外共に批難を浴びると共に公然とキムラスカとダアトが同盟を結ぶ状況を作る口実を与えかねない為に。

だが攻められたからこそだったりジャキ達の言葉があるからこそ、マルクトとしてダアトも迎撃すればいい・・・というよう怒りを正論としようと動かれたなら、以降の事が色々と面倒になりかねないと見られたから敢えて最初の内はジャキの事は言わずに済ませておいたのだ。

そしてそんな形でジャキの事を隠しつつガルディオス側は戦争が始まった事から、基本的には戦争が始まるまでに離脱させる事が出来なかった人々を逃がすことに徹底した。これはガルディオス側からしてホドが滅びるならせめて助かる命を助ける事に徹底するためであり、マルクト側もその民の受け入れに従事していった。

ただ中にはもう老い先短い身であるだとか病気の身の上だからこのままホドに残るであったりと頑として聞く耳を持たなかった者も少数いたり、侵略された場所に程近い所に住んでいた者達は救助は出来ずに亡くなることになった。ただそれでも何もしなかったならホド戦争が始まって逃がすことが出来ない者が多数に至り、犠牲者の数は何十倍や百倍以上も有り得たことだったであろう。これは初動の早さがあったからこそであり、ジャキ達がホドに来ていなければ有り得ない成果であった。

そうして民を逃がすことは大方成功したガルディオス側だが、キムラスカ側としてはホドの領主であるガルディオスを滅ぼしてホドを攻め落とすことが表向きに見える目標となる・・・だからこそキムラスカに表向きは共闘はしていないもののマルクト軍の助けを邪魔したいダアトの行動により、激しいキムラスカ軍の侵攻の攻撃がガルディオスの屋敷に向けられた・・・のだが、いざ本丸であるガルディオスの屋敷にキムラスカ軍が突撃していく中で、ガルディオスの屋敷が唐突に大爆発を起こしたのだ。

その大爆発にキムラスカ軍も軍を止める事になった上でどういうことかと協議をしたのだが、その結果としてキムラスカ軍が譜術による攻撃をしていた中でガルディオスの屋敷の中にあった火薬に火が着いて、大爆発を起こしたのではないかというように見られることになった。これは爆発による火災が落ち着いた現場を調べると火薬の燃えカスといった物質が多数見付かったことから、ガルディオスが何らかの対抗手段を講じる為に火薬を集めていた所に譜術が着火して屋敷を丸ごと吹き飛ばしたのではないかという推測がされたからだ。

そしてそういった報告を侵攻していた代表であるファブレにすると納得すると共に、戦争が終わった後にマルクトがガルディオスが滅亡したというように発表したことでキムラスカ側は納得することになった・・・それがガルディオスにマルクト側からしての表向きの発表であるなど、考えることなく。









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