きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

「・・・父さん達は敬虔な教団の信者でした。でも姉さんが言ったように預言に詠まれてたからで助けられる事なんてなくて、父さん達も教団や預言のことを信じて僕の言葉なんか信じないまま死んでいった・・・だから僕は預言に教団なんか信じないし、それを覆す為に姉さんとここに来たんだ・・・!」
「っ・・・!」
そんなジャキが語る子どもとはとても思えない怒りを滲ませる声と顔に、領主はたまらず息を呑んだ。大の大人が子どもに迫力負けしているということなど考えることすら出来ないというよう。
「・・・私もジャキの考えを聞き、被害を抑えつつも教団や預言をどうにかしたいと思って動くことにしました。そして現状やこの後の事を考えれば、私達二人が分かれると共にジャキにこのホドに残ってもらうのがいいとなったんです・・・勿論ジャキとも危険だということは話し合いましたが、ホドの人達もそうですがガルディオスの皆様の命を少しでも助ける為には自分の予知の力が必要になるということから、ジャキは残ると言って・・・」
「成程・・・そういうことか・・・」
サラもそんな気持ちに賛成した上でどうするかと話し合った結果と少し苦い様子に、領主も重々しく頷いた上でジャキの前に立つ。
「・・・君の気持ち、ありがたく思う。そしてその気持ちを受けたからこそ、私も誓おう・・・君の事も死なせないように動くと・・・!」
「・・・ありがとうございます」
そうして領主が両肩に手を置きジャキを守るという宣言を真っ直ぐ力強くしてきたことに、ジャキにサラは恭しく礼と共に頭を下げた。偽りのないその想いに応えるよう。


















・・・そうして程無くしてホドを主戦場とした戦争が行われ、激戦が繰り広げられた後にホドは大陸ごと消滅することになり、それをきっかけとしてホド戦争は終戦となった。

マルクトからすれば大陸がそこに住まう者達を含めて消滅し、キムラスカからすれば優勢だった戦況もあって支配出来たかもしれない土地や兵士達の命がむざむざ失われ、ダアトからすれば仲介の為に送られた・・・とされる兵士達の命と、各陣営に大きな差はあるが失われたものはあった。

しかしそんな表向きの被害に関しては一部の限られた者達からしたなら想定済みな物であったことから、その者達からすれば大したことではないと見られていたのだが・・・その陰で更なる動きがあったことは、誰も知るよしなどなかった・・・そしてそのまま十六年程の時が過ぎたことなど・・・






「・・・あれから十六年か。長いようで短いものだな」
「どうしたジャキ?いきなりそんなことを切り出して」
「いや、今年が山場だと思い返している内にふとそのようなことを思ってな」
「そうか・・・確かに今思ってみれば、ホド戦争が起きてからもう十六年と考えてみれば長いようで短い時間に今なら思えてくるよ・・・」
・・・キムラスカの首都のバチカルの上層部にある、王族に連なる貴族であるファブレの屋敷にて。
使用人の部屋の中にて十六年の時が経って青年へと成長したジャキがふと漏らした声に、ガルディオスの子どもであるガイが反応する中で自分もそう感じたと返す。









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