「・・・話をお続けしますが、この召集に関しては断る事は出来ない訳ではありませんが・・・私のみダアトに戻りたいと思います」
「・・・そちらのみ？ということはジャキはこちらに残していくというのか？」
その様子にサラは自身はダアトに戻ると言うのだが、領主は訝しげな視線を黙って自身を見ているジャキに向ける。
「言わんとする事は分かります。どういう狙いがあってそうするのかと思われているのだと思いますが・・・私達がこのホドに来た本当のきっかけについてをお話しします」
サラはそこで真実を話すと切り出す。預言や教団の上層部についてを知ったからではなく、ジャキの予知があったからこそホドに来たということを。


















「・・・まさか、そんなことが・・・」
「信じられないという気持ちを抱かれるのは分かります。ですがジャキの予知は私達の両親の死を当てたと共に、都合の悪い預言に関しての隠蔽体質についても後々の調べで分かったんです・・・実は両親の死は預言に詠まれていたにも関わらず、その預言の結果があるから死ぬ可能性の高い任や遠征に行かせるといったよう、死の命運を変えるようにはしないどころかむしろそういったように優先させることが」
「・・・それでそちらは弟の能力が確かと見た上で、教団にこのような形で秘密裏に反旗を翻しているというわけか・・・」
「そういうことになります」
・・・そうしてジャキもだが自分達がこういう行動を取ったかについてを説明し終わり、領主が重く納得しているといった様子に頷き返す。
「その上で何故私がジャキを置いてダアトに戻るのかと言えば、将来的な事を見越すと共にガルディオスを始めとした皆様が出来る限り生き残れるようにするためです」
「それは・・・予知はこれからの事を考えれば話は分かるが、そちらがダアトに戻ることに関しては何故だと思うが・・・」
「言い方を選ばずに言ってしまうなら、スパイとして以降の教団の情報をマルクトに流すためです・・・預言保守派は今のまま預言に従えば繁栄が訪れると疑っていないのでしょうが、私達のように最早教団や預言に従えば何も問題ないと思えなくなった者達はこの先増えていくと思われます。現にホドが滅びるまでとなれば教団の意志が裏にあることまでは気付かなくとも、教団や預言に対する不信な気持ちを持つ人々は一気に増えることでしょうし・・・ジャキの予知からという訳ではありませんが、ホドを滅ぼすまでの戦争を引き起こすだけに留まらないような気がするのです。何かそれ以上の事を教団は起こすのではないかという気が・・・」
「・・・もしそうだと言うならそちらとしてもそんなことを避けたいから、ダアトの情報を流して犠牲やら何やらを減らしたいと思って行動するためであり、その中の一貫として弟をこちらに預けるということだろうが・・・弟は納得しているのか？そちらと離れて過ごすこともだが、こちらも戦場になることは避けられぬ事から危険を承知してもらわねばならないことは・・・」
「・・・大丈夫です。姉さんとちゃんと話はしてそうすると決めました」
そのままいかな狙いや気持ちから言ったことなのか・・・それらを余すことなく話すサラに領主は肝心の当人との話はと聞くが、ジャキ本人が慣れていなさそうながらも丁寧な口調で肯定を返した。自分の意志でそうするのだと。









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