きっかけとボタンのかけ違いがもたらす関係

「ただそのように言いはしましたが、この時点ではまだ何も起こっていない事であると共に早く動きすぎたり無闇に話を広めるような事はお止めください。私達がこのように行動をしているのはそういった情報が外に広まっていると悟らせない為ですので」
「うむ・・・確かにそんな情報がダアトの上層部にまで広まったなら、どうなるか分からぬからな・・・」
しかしサラがすぐに冷静にというように話をすれば、領主もまた表情を引き締め頷き返した。こんなことを知ってしまった以上、下手な事は出来ないと。


















・・・それで領主との話を進めたサラ達二人はしばらくの間をガルディオスの屋敷で暮らすことになった。これは領主としては聞き捨てならない情報を聞かせてくれたサラ達に対する礼と共に、一応はキムラスカが本当に戦争を仕掛けてくるかどうかを待つという事もあってだ。

この事に関しては領主は自分の家族も含めて極一部の信頼出来る者達にそれらの事を明かしたのだが、同時にその話が本当に起こることなのかという疑いの声が上がったから下手に二人を離さない方がいいとなってだ。だがそんな声が上がって数ヶ月もしない内に、キムラスカとマルクトの空気は一気に戦争となる流れへと変わっていった・・・






「・・・駄目だ・・・まだもう少しなら戦争にならないだろうが、あくまでももう少しくらい・・・というよりキムラスカの言い分を聞いたとしても、何かしらの難癖をつけて戦争を起こしてきたであろう・・・ユージェニーに騙されただとか被害を与えられただとでも言って、更なる因縁を吹っ掛けてくる形でな」
「そうなっていたでしょうね・・・」
・・・そうして領主の部屋の中で、重苦しく戦争は確定した物と見ている領主にサラも苦い表情を浮かばせる。
「・・・それで、これからマルクトの上層部にはどのように報告されるのですか?」
「うむ・・・そちらのことについては極一部の限られた者達のみに話すようにするよう手紙にしたためた上で、民を今のうちに少しでも避難させる方向に話を向かわせたいと思う・・・預言の中身がホドの消滅だということもだが、その為にダアトが動くというならこのホドが消滅するまでキムラスカにダアトは戦争を止めぬであろうから、救える命は少しでも多い方がいいからな・・・」
「そうですか・・・」
その上でどう報告をと聞くサラに領主は半ば諦めたように民を助けることを第一に考えると漏らす様に、同じように辛さを滲ませる。
「・・・そう言うそちらはどうするのだ?そちらのおかげでこちらは初動はどうにかなりそうだが、そちらは教団の人間である事や手紙を送られて来たことから戻ってくるようにという催促があったと思われるが・・・」
「その事に関してですが、確かに私にダアトに戻るようにという指示でした。これは教団からして私が何も知らない預言士であると見られている上で、死を詠まれていないといったように見られていないからこそだと思われます。今となっては教団の上層部・・・正確に言うなら預言は絶対に守られるべきだという預言保守派の面々のやり方は私達も理解しています・・・預言に生きると詠まれていない存在に対しては厳しく、そうではない存在に優しいというよりは預言に生きると詠まれているからというだけで区別しているのだということは」
「・・・だからこそ預言に滅びが詠まれた我々は遠慮なく滅ぼされるというわけか・・・くそっ・・・!」
ただ領主が今度はサラに立場も併せてどうかと聞くが、肯定と共に返すその話の中身にたまらず苛立ちの声を漏らした。教団の敬虔な信者という訳ではないが、それでも教団や預言に関してを少なからず領主も信用していたのは事実であった為に。









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