暗の知略で望む乱

「と、とにかくこっちもタルタロスの脱出とあそこにいた神託の盾とやらの片付けには成功した!それと色々うるさいあの小娘も黙らせておいたぞ」
「ご苦労様です」
そして空気を変える為官兵衛は急いで現状報告をし、アニスのトクナガの小脇に抱えられる気絶した様子のティアを見て、イオンは気を変えた爽やかな笑みを見せる。
「とりあえず第一段階は成功です。じきにこちらにフリングス少将の指揮するタルタロスが来る頃ですので、タルタロスが来たら中でイオン様はシンクと服を代えてください」
「はい、わかりました」
「ふぅ、これで僕の役目も終わりか・・・」
更にじきにフリングス少将が来る事をジェイドが告げ、イオンは頷きシンクは疲れたように溜息を吐く。



・・・イオンとシンク、この二人が何故互いの服装を取り替えるのか?それは元々のイオンの体にシンクが入り、元々のシンクの体にイオンが入ったからである。

過去に戻るにあたり、出来れば自分も戦えるような体でいたいと思ったイオン。それでイオンは同じよう過去に戻る事になったルークやシンク達と共に過去に戻った訳だが、ローレライの賜物で二人は体を入れ替えて過去に戻ってきた。イオンにしてみれば戦える体を手に入れられて万々歳で、別にどっちの体でもいいかと考えたシンクは別段体が入れ代わったことを不満に思わなかった為、特に衝突はなかった。

そしてそんな二人は時折立場を入れ替え、導師と参謀総長の位置を行ったり来たりしていた。イオンが考える自らを侮るであろう、樽豚の目をひんむく機会を得る為に・・・









・・・そしてタルタロスが来て、中に入ったルーク達。そのタルタロスはセントビナーに向かい、ルーク達は数日程セントビナーに留まった。



そして時期が来たとあることをきっかけにしたイオン達。そろそろ行こうと、タルタロスに乗り込もうとする導師の法衣に着替えたイオンをルークとマルクトの軍服を来たシンクと官兵衛の三人は見送ろうとしていた。
「それでは官兵衛にシンク、ルークを守ってくださいね」
「言われなくてもわかってるよ」
「まぁしばらくセントビナーにいるから、安全だと思うんだけど」
「俺達よりもイオンこそ気をつけろよ、何があるかわかんねーんだから」
「はい・・・では行ってきます」
三人と会話を終えルークだけを名残惜しそうに見て、イオンはタルタロスの中へと足を運ぶ。



・・・そしてタルタロスの中に入ったイオンはジェイド達を引き連れさっさとブリッジに向かい、中に入る。そこにいたのは・・・
「お待たせしました、フリングス少将。それに・・・今はアッシュ、と呼びましょうか」
「・・・導師・・・!」
指揮を取るフリングス少将の近くに縄で縛られ、いらつきを隠さずイオンを睨みつけるアッシュ。その様子にイオンは笑みを崩さず言い放つ。
「フフッ、不満そうですね」
「・・・不満そうだと?それ以外の何に見えやがる!いいからさっさと俺を放しやがれ!」
「解放したらしたで貴方は神託の盾に戻る気でしょう?ねぇ」



「被験者ルーク」



「!?なぜ、それを・・・!?」
捕われてなお威勢だけは無駄に高いアッシュを黙らせる被験者だと知っているとイオンはあっさり言い放ち、アッシュの目をひん向いて勢いを削ぐ。
「今更そんなこと、僕は許しませんよ。だって貴方はこれから」



「ルーク・フォン・ファブレとして、バチカルに戻っていただくんですから」








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