殺意を抱き手にかけるに誰かの意志など介在しない

・・・そうしてハヤテは迷うことなく教会の中を歩いていく。目的の場所へと。






「・・・あ、ハヤテ・・・」
「あぁ、アニス。どうしたんだい、今の時間にここにいるなんて?」
・・・それで来たのはタトリン夫妻の部屋の前だが、そこには頭を下げていたアニスが立っていた。
向こうもハヤテが来たことに頭を上げて元気なく反応するのだが、その様子に先程人を殺してきたとは思えないような微笑でどうしたのかと返す。
「・・・ちょっと色々あって、パパ達に会いに来たんだけど・・・何て言うか、ちょっと家族の事だから気にしなくていいよ・・・」
(あぁ・・・モースに言われたことから借金についてもう止めるようにって両親に話してきたあたりかな・・・それで効果は無しっていうか、モースにスパイにされるっていうことも当然ながら話せずじまいになったのもあって、どうしようかって途方に暮れてたってところだろうね・・・)
だが力無い笑みと声で返すアニスの姿にハヤテはすぐに何があったのかについてを察した・・・アニスなりに両親にどうにかならないかと動いたが、結果に結び付かなかったのだろうと。
(・・・あ~、仕方無いな・・・このまんまじゃアニスがいつまでここにいるか分からないし、流石にアニスに手をかけるのは違うってのもあるし出来るなら夜明け前にはダアトを出ないと面倒になるから・・・アニスに色々と話をしよっかな。後々の為にも・・・)
それでハヤテは内心で考えを早くまとめつつ、アニスに向かって口を開く。
「・・・少し、外に行かないかいアニス?ちょっと話したいことがあるんだ」
「話したいこと・・・?」
「あぁ、ちょっと僕から話さないといけないことがあるんだ・・・気分転換の為にもさ」
「・・・うん、いいよ・・・行こうか・・・」
そうして外にと誘うハヤテの声に、何とも言いがたそうな様子ながらもアニスは頷いて二人は教会の外へと向かう。






・・・そうして二人は教会の外に出て、ダアトの外れの人のいない一角に着いた。
「それで、話って何なのハヤテ・・・?」
「その事だけれど・・・僕はついさっきモースもそうだけど、君の両親を始めとした人達にお金を貸していた金貸しに借金取り達を殺してきたんだ」
「っ!?」
そこで早速何の用かと力なく聞くアニスだが、ハヤテからあっさりと明かされた凶行についてに驚愕に目を見開いた。
「落ち着いてくれ、アニス。嘘と思うかもしれないが、今言ったことは決して嘘じゃない。これに関しては明日になったらダアトが騒ぎになるだろうから、後でモースの部屋に行かなくても分かることになると思うよ」
「そ、そんな・・・ってことは、本当にハヤテがモースに借金取りの人達を殺していったの・・・どうして・・・!?」
「その事に関してはちょっと個人的にモースや借金取り達の事が気に入らなかったのに加えて言うと・・・実はアニスがモースに導師のスパイになれって命令されている時の会話が聞こえてきたんだ。その時にあぁこいつに借金取り達を殺そうかなって思ってね」
「えぇっ・・・!?」
だが更に平然とハヤテは嘘ではないと共に自分が何をきっかけとしたのかを語っていき、アニスは更に混乱といったような様子を浮かべた。その中身を信じられないし、あの時にそれらを聞かれていたということに。
「まぁ驚くのは分かるけど、これから更に踏み込んだ話をしていくよ・・・ちょっと信じがたい事を聞くことになるけど、僕が隠れて調べてきたことな上で教団の暗部に関わることだからしっかり聞いてね」
「え・・・何を話されるの・・・?」
その上でまだ話すべき後ろ暗いことがあるとのハヤテからの言葉に、アニスは不安を隠せない様子で表情を曇らせるしかなかった。これまでの話でも衝撃以外ないというのに、まだ何かあるのかというよう・・・









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