殺意を抱き手にかけるに誰かの意志など介在しない

・・・数年程度の調べに推測ではあるが、ハヤテはモースや借金取りに関する事は間違いない事だろうと見た。だからこそハヤテとしてはそんなモースや借金取り達に対してを強烈に侮蔑に嫌悪の気持ちを抱いた・・・元々から借金取りという存在に対しては前世での経験からもう受け入れられない物になっている上に、モースという聖人君子などとは程遠い人を使い捨てにする実態は暴君以外の何物でもない存在に対して。

しかしハヤテはそういった気持ちこそは抱いても、モース達に対して敵対行動を起こす気にはならなかった。それは何故かと言えばハヤテには前世ほどにお人好しと言えるような気持ちが無くなったこともあるが、今ここで借金取り達もそうだがモースやそこに近しい者達を始末するようなことをすれば折角の安息の地を自らかなぐり捨てるような物になると見たからだ・・・百歩譲って金貸しに借金取り達はまだ殺されても金を巡るトラブルと見なされるかもしれないが、モースは実質的なダアトのトップと言える立場にあるから殺されたなら間違いなく教団は犯人探しに躍起になり、場合によってはアリエッタという魔物を駆使出来る少女にモースを殺した人物の捜索を魔物に匂いから探させるように命じ、その結果としてハヤテに辿り着く可能性は非常に高いと。

そんなことをされれば折角の今の安穏とした生活がまた台無しになるどころか、多勢に無勢と取り囲まれて殺される可能性は非常に高くなる・・・故にこそハヤテはモース達に手を出すことは出来る限りは避けようと考えていた。気に入らないからといって短慮に身を任せた事をするのはやめなければならないと。

だがそこでモースやその近くの者達が裏で様々にやってきたのを知ったからはいそこでおしまいというようにはせず、更にハヤテはダアトの裏を探っていった。何故そうしたのかと言えば最終的にダアトを離れるかどうかを決めるための判断材料を探すのもそうだが、モースの行動を調べていく中で更にキナ臭い存在がいることを確認したからであった。






「しかしいくらなんでも警戒心がないというか、都合が良すぎるというか・・・あまりにも謡将の言うことを聞きすぎてるって自覚がないのがまたって感じだよ。自分に忠誠を誓ってるから大丈夫だとか思ってるのかもしれないけど、その裏で何をしているのかとかっていうのをちゃんと把握する気が一切ないからあんなに色々やられてることに全く気付けてない・・・多分とかそんなんじゃなく、謡将がやってる事に気付く時が来た時がモースがどうしようもない状態になった時に裏切られたって怒りに震えるだけで終わるんだろうな・・・」
そうして独り言を続けていく中で、ハヤテは謡将と口にしつつモースのもしもの可能性についてを考えていく。






・・・今ハヤテが口にした謡将とはローレライ教団の兵力である神託の盾という兵士達のトップという存在であり、同時にモースが最も頼りにしていて最も手駒である。それは表向きの立場としてもだが、裏の事が露見しない方がいい事案に対しての直接の対処者としての意味合いも含めてのだ。

しかしそんな謡将というかヴァンは従順なモースの部下というように表向きも裏の顔でも見せているといったような活動をしているが、ハヤテが調べた限りではそれはモースに対して猫を被った上で騙しているだけの可能性が高いという見方をしていた。

そしてそう思った理由は何なのかと言えば・・・現在表向きは療養中という名目で人前に出ないでいるが、ダアトのトップの導師であるイオンが危篤状態であることからフォミクリー技術という技術を使い、イオンの偽物を作って色々と誤魔化せば導師が死んだとしても表向きは死んではいないと出来るとの言葉に・・・すぐさまに頷いたことにあった。









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