大空に包まれたものと拒否したもの

「・・・俺も出来る限りはアッシュの事はどうにかしよう。あのままではいずれあいつにとっても良からぬ事態になるだろうからな」
「無理はしなくていいよ、ラルゴ。アッシュの性格上、下手に追い掛けるとラルゴも信用出来ないって離れていくだろうからさ」
「分かっている。出来る限りに留めなければならないことはな」
そんなツナヨシに表の立場もあり抑えた表現で頑張ることを口にするラルゴに、ツナヨシが注意を告げると静かに頷いてその場を後にしていった。下手に怪しまれないようにと。
(あ~・・・俺が動けば全部何とでもなるなんて思っちゃいないけど、やっぱり色々と問題は出てくるよな~・・・でもそれでへこたれてなんかいられないんだ・・・オールドラントを存続させるのもそうだし、兄ちゃんの気持ちの為に色々な人を殺させるような事にさせないためにも・・・!)
そしてツナヨシ自身も立ち尽くしてはいられないと自分の仕事場に向かうのだが、その心中では決意を新たにしていた。例え全てが全て思い通りにならなくとも自分は諦めずに動き、事を成そうと・・・






(・・・思えば私はツナヨシに苦労ばかりかけているな・・・やることがあるからとダアトでの事を任せきりにしたり、モースを始めとした愚物どもとのやり取りにティアに関しての確認であったりと・・・ツナヨシがいなければ私がやらねばならないと思う中で、余裕がなく心を削るような事になっていたのだろうな・・・)
・・・一方その頃のヴァンは、ツナヨシに対する考えを頭の中で巡らせていた。ツナヨシがいるからこそ自分が助けられているというように。
(・・・だがそれも後精々三年の辛抱だ・・・お前の苦労が報われるよう、私は止まらず動くぞツナヨシよ・・・!)
その上でヴァンは決意を新たにするのだが、その中身はツナヨシの言ったことを受け入れて改めるというものではなく、自分のやりたいようにやらせてもらうといった類いの物であった。様々に理由はあれどもやはりヴァンとしては今のやりやすい環境をツナヨシの気持ちはあれど、変えるには色々と惜しいと思うからこそ今のままある程度の負担を背負ってもらい、同士達の目的を果たすことが報いるための最適な道だと考えて・・・


















・・・兄弟の在り方の違い。それらに触れて変わる物もあれば変わらぬ物もあり、触れることすら拒否する者もある。だからこそ時は流れていく・・・思い通りになりつつもならない時もありつつも、違う目的を達成すべき目的の為の時は・・・



END










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