大空に包まれたものと拒否したもの

・・・それでヴァンと話すべきを話終えたツナヨシは部屋を出て、修練場の方へと足を運んだ。






「・・・あ、アッシュ」
「っ・・・チッ・・・」
・・・それで修練場に来たツナヨシは場にいたアッシュに気付き近付こうとするが、すぐさまに不機嫌そうに離れていく。
「・・・すまんな、ツナヨシ。毎度毎度ながら」
「気にしてないよ、ラルゴ。アッシュが俺を避ける理由ってのも見当はついているしさ」
「・・・謡将とお前が似ていないことか」
「あぁ・・・あくまで俺は兄ちゃんの弟ってだけで兄ちゃんに似てないし、アッシュからしたら俺は情けない存在だって思えてるからだってことから気に入らないって見ていることはさ」
代わりにツナヨシに近付いたのはアッシュと対していたラルゴで申し訳なさそうな言葉をかけてくるが、苦笑しながら気にしていないというよう首を横に振る。






・・・リグレットにディストがツナヨシの協力者になっているのと同様、ラルゴもまたツナヨシの協力者になっていた。これはラルゴのやり場のない怒りを利用すると共に協力関係になろうと持ちかけたヴァンに対し、その怒りに影で向き合ってきたツナヨシのおかげで様々に思い直すことが出来た為だ。まぁこの辺りであまり演技が出来そうではないラルゴの事がバレないかという危惧もあったが、基本的に物静かでいて表情も豊かではないラルゴにヴァンは必要ない会話も表情を崩すような関係性も築いて来なかった為、特に怪しまれることはなかった。

だがアッシュに関しては前述した三人とは違い、ツナヨシは良好な関係を結ぶどころかまともな会話をすることすら稀な状態であった。そしてその稀な状態も任務の事があるからとツナヨシが上官の立場としてから話し掛けて、それにアッシュが仕方無いと受け入れる時くらいである。

このツナヨシとアッシュの関係に関しては何故かというようにヴァンも気になってアッシュを呼び出して聞いてみたのだが、あのヘラヘラした顔が気に入らないからという答えが返ってきたとツナヨシに告げた。そしてヴァンの弟というだけで、別に敬うつもりはないと。

この辺りに関してはツナヨシはそこまでアッシュに言われる理由に関して何故かという物は言葉通り気に入らないという以上に、何だかんだ言いつつも死ぬべきという立場にあったアッシュを助けたのはヴァンであってツナヨシはそこに関わっていなかったから・・・ということにあると見た。神託の盾に所属してからは口は悪くてヴァンに対しても敬うような態度を見せることはないが、それでも元々はヴァンを師として純粋にアッシュは慕っていたとツナヨシは聞いたからだ。

そんなヴァンを今でも隠してはいるが慕っている部分があるアッシュからしてみれば、弟ではあるが然程性格としても見た目としても似てはいないツナヨシのことは、ヴァンの身内だからと言ってもというかむしろ身内だからこそアッシュが気に入らないのだろう・・・とツナヨシは見たのだ。こんな男がヴァンと同じほどではなくても信用など出来ないとなり、元々から愛想も良くはないが話など仕事でも出来る限りしたくはないといった態度になっているのだと。

・・・ツナヨシとしては今後の事があるから出来るなら関係の改善というか、リグレット達と同じように引き込めないかというように考えている。だがそのアッシュ当人はツナヨシに近付こうともしないし、近付けようともしてくれないことからどうしようかと内心悩んでいるのだ。アッシュに関しては色々とあるのもあって。










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